本稿では、日本における高齢出産並びに晩婚傾向について検討してみたい。
女性の高学歴化、社会における男女の性差別の減少あるいは撤廃による、職場における女性の地位の向上、職域・職種の拡大などにより、従来は男性が占めていた役職や職務への女性の進出が考えられる。
最近の傾向として、いわゆる結婚適齢期になっても結婚せず、職についても親元を離れず、経済的に安定した中で、娘時代の状態を満喫している女性が急増しているそうである。
このような状況にいる男女を指して、「パラサイト・シングル(parasitesingle)」と呼ぶそうであるが、パラサイト・シングルの女性たちが急増している。
また、結婚しなくても、その気になれば、男女関係の欲求を満たせるような自由な性行動を許容する社会的雰囲気もあって、不自由はない独身者もいるようである。
女性の独身期間の長期化の結果、二八、九歳になってやっと結婚を考え始めるが、職場など男性との接点が多い社会生活で、男性を見る目が肥えてしまい、結婚相手の男性選びの目が厳しくなり、素直に結婚に飛び込めなくなっていることも多いようである。
三○歳代のみならず四○歳代になっても未婚の男性が増加しており、これも少子化に影響を及ぼしている。
女性の社会進出とともに、男性を部下として活躍している女性も増えている。実力主義の職場では、男女差は考慮するべき条件ではなくなりつつある。
このような世相の変化が、男性優位の結婚を求める男性にとっては結婚をますます難しくしているのかもしれない。結婚後の共同生活の難しさを予想して、自由な独身生活から結婚に踏み切れない男性も多いに違いない。また、職場での働きを考える時、仕事の成績や実績を上げるには独身のほうがよいだろうと、結婚を躊躇する男性もいるであろう。
また、最近は見合いという社会慣行も減少し、見合いを世話してくれる人も少なく、未婚の男女とも、知り合う機会がなくなってきた。仮に、見合いを勧めてくれる人がいても、女性から断られたら、と考えて躊躇してしまう男性も多いようである。筆者が、四○歳代初めの男性に見合いを勧めた時に、彼は写真をみて、「素晴らしい美人ですね。僕なんか断られるに決まっているから」と見合いを断られ、驚いたことがあった。
国立社会保障・人口問題研究所の「第十一回出生動向調査」では、結婚して五年目の夫婦についての五年ごとの比較の結果、次に表記する報告がされている。
1982年 | 1987年 | 1992年 | 1997年 | |
---|---|---|---|---|
妻が年上 (1〜3年) | 12.5% | 11.7% | 14.5% | 23.2% |
同い年 | 11.5% | 13.8% | 15.2% | 16.5% |
同い年の夫婦は、一九九七年まで増えており、妻が年上の夫婦の数は、一九八七年以来増え続けている。 |
二〇〇一年に行われた厚生省人口動態調査によれば、日本における出生率は急速に低下して、現在の人口を将来維持するのに必要な合計特殊出生率(二・〇八)を大きく下回る一・三三となっている。合計特殊出生率の低下の原因は、平均初婚年齢の上昇いわゆる晩婚化と、生涯未婚率の上昇にある、と報告されている。
〔高齢出産のもたらす利点〕
・妊婦の年齢が 25歳までの出産では 1040回の妊娠に 1回
・妊婦の年齢が 30歳までの出産では 700回の妊娠に 1回
・妊婦の年齢が 35歳までの出産では 300回の妊娠に 1回
・妊婦の年齢が 40歳までの出産では 86回の妊娠に 1回
というように、妊婦の年齢が 35歳では発症の確率が高くなる(カナダ・マウントサイナイホスピタル資料より)。
「ダウン症候群」に罹っている場合には、重症奇形や精神発育遅滞がある場合もあり、乳児期初期に死亡することが多い。そのほか、次のような合併症を持っていることがある。先天性心疾患(心室中核欠損などの心臓の疾患)や消化器疾患、白血病や甲状腺疾患などである。精密検査が必要である。
生存して成長していくことも多い。ダウン症候群患者の顔貌は、人種とは無関係に、共通したmongoloid顔貌(蒙古人種的な顔貌)をしているので、世界中どこででも即座にダウン症患者であることが分かるものである。ダウン症患者の多くは、性格が優しく、多くの人たちから親しみをもたれ、可愛がられることが多い。
本法は、平成一一年六月二三日に公布・施行されている。そして、本法は、男女共同参画社会の形成の基本的枠組みを国民的合意の下に定め、社会のあらゆる分野における取組みを総合的に推進していくことを目的としたものである。今、わが国が創ろうとしている男女参画社会は、女性も男性も、互いにその人権を尊重し、喜びも責任も分かち合いつつ、性別にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮できる豊かな社会である、という基本的考え方を示している。
第一条(目的)この法律の目的は、育児休業及び介護休業に関する制度を設けると共に、この養育及び家族の介護を容易にするため勤務時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めるほか、子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする。
と明記されている。本法律の施行規則は、平成一四年一月二九日に厚生労働省令第九号「育児・介護休業法施行規則」として制定された。
本法律は、最低基準を示すもので、休業中の生活保障については規定しておらず、より充実した制度の導入が望まれた。
育児休業に関しては、以下の内容が含まれている。