平成13年3月29日
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」について文部科学省、厚生労働省及び経済産業省においてヒトゲノム・遺伝子解析研究を行う際の一般的な倫理指針の策定作業を行ってきたところですが、この度確定し、本日官報への指針本文の掲載及び文部科学省研究振興局長、厚生労働省大臣官房厚生科学課長及び経済産業省製造産業局長の連名による通知を発出いたしましたのでお知らせいたします。 指針は4月1日より施行とし、指針の適切な運用に努めるとともに、研究の推進や社会の動向を踏まえながら適切な指針となるよう、注意を払っていくこととしております。 ●御意見募集について
また、御意見募集の結果については整理表としてとりまとめ、指針本文とともに情報公開室において一定期間閲覧できるよう設置しており、別途厚生労働省ホームページにも掲載しておりますことお知らせいたします。 照会先
中垣(内線3803)野口(内線3804) (代表)03(5253)1111 (直通)03(3595)2171
平成13年3月29日
12文科振第266号
関係試験研究機関の長 殿科発第146号 平成13・03・27製局第3号 大学等の長 殿 関係学会の長 殿 都道府県知事 殿 特別区の長 殿 保健所政令市の長 殿 関係団体の長 殿
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の施行等について
そのため、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省の三省が共同して、今般、ヒトゲノム・遺伝子解析研究一般に適用されるべき倫理指針として、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成13年3月文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)」(以下「指針告示」という。)を告示した。 また、指針告示の運用に資するため、指針告示の「15 細則」に基づき、別添のとおり、細則及び注を定めたので通知する。 (注1)別添については、わかりやすくするため、指針告示の該当部分に細則及び注を挿入する形式としている(以下、指針告示並びに細則及び注を合わせて「指針」という。) (注2)指針の策定の趣旨、検討経過等については、別添の中の(参考4)を参照。 (注3)本指針の本年4月1日からの施行に伴い、「大学等における遺伝子解析研究に係る倫理問題への対応について(平成12年8月31日付け文学助第253号 文部省学術国際局長通知)」及び「「遺伝子解析研究に付随する倫理問題等に対応するための指針」について(平成12年5月30日付け厚科第305号 厚生省大臣官房厚生科学課長通知)」は、廃止することとしている。 (注4)本通知及び別添の内容については、下記1.(1)、(2)及び(3)に掲げる関係三省のホームページにも掲載している。 本指針については、広く一般に遵守を呼びかける方針であり、特に三省の補助金等の交付を受けてヒトゲノム・遺伝子解析研究を行う場合に、当該補助金等の交付に当たって遵守を前提とするなど厳格な運用を行う方針である。ついては、貴機関又は貴団体管下のすべてのヒトゲノム・遺伝子解析研究に携わる者に本指針の周知徹底及び遵守の要請をお願いする。
また、本指針の施行に当たって運用上の疑義が生じた場合の問い合わせ窓口、指針運用上必要な倫理審査委員会の設置及び運営の状況の把握のための報告について、下記のとおりとするので、本指針の円滑な運用に向け、あわせて関係者に対して周知徹底をお願いする。
1.三省指針運用窓口の設置について
2.倫理審査委員会の設置及び運営の状況の把握について
(注)倫理審査委員会の設置及び運営に関する報告については、上記1.(1)、(2)及び(3)に掲げるホームページに掲載しているフォーマットを用いた電子媒体による提出又はFAXによる提出をお願いする。 [別紙様式]
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ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針 |
(参考1)
○ ヘルシンキ宣言(1964年6月第18回世界医師会採択)、「ヒトゲノム研究に関する基本原則」(平成12年6月14日科学技術会議生命倫理委員会取りまとめ)等を踏まえ、すべてのヒトゲノム・遺伝子解析研究に適用され、研究現場で遵守されるべき倫理指針として策定 ○ 人間の尊厳及び人権が尊重され、社会の理解と協力を得て、ヒトゲノム・遺伝子解析研究の適正な推進が図られることを目的 2.「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」の定義 試料等の提供者の個体を形成する細胞に共通して存在し、その子孫に受け継がれ得るヒトゲノム及び遺伝子の構造又は機能を、試料等を用いて明らかにしようとする研究をいう。本研究に用いる試料等の提供のみが行われる場合も含まれる。 3.主な内容 ○ インフォームド・コンセントを基本とすること ● 文書による事前の十分な説明と自由意思による同意(インフォームド・コンセント) ● 本人の意思を尊重して遺伝情報の開示、非開示の決定 ● 既に提供された試料等についての慎重な取扱い ○ 個人情報の保護を徹底すること ● 試料等の原則匿名化による研究の実施 ● 個人情報管理者による保護の徹底 ● 守秘義務の徹底 ● 本人の意思を尊重した試料等の保存と匿名化した上での廃棄 ○ 倫理審査委員会が適切に構成され運営されること ● 研究機関の長の諮問機関として設置し、その意見を尊重 ● 公正、中立な審査のため、専門家・一般の立場の人(外部委員を含む)から成る適切な構成 ● 委員、議事内容の公開など透明性の確保 ○ 研究の適正性を確保すること ● 倫理審査委員会による研究計画の事前審査 ● 研究機関の長による研究計画の許可 ● 研究計画に従った研究の適正な実施 ○ 研究の透明性を確保すること ● 外部の有識者による実地調査 ● 研究結果の公表 ● 苦情窓口の設置 ○ 遺伝性疾患に配慮すること ● 遺伝性疾患の場合の遺伝カウンセリングの実施 ● 遺伝性疾患の場合の本人の利益保護のための配慮 |
(参考2)
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(参考3)
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(参考4)
策定の背景、経緯等について
○ その一方で、ヒトゲノム・遺伝子解析研究は、個人を対象とした研究に大きく依存し、また、研究の過程で得られた遺伝情報は試料等提供者やその血縁者の遺伝的素因を明らかにし、その取扱いによっては様々な倫理的、法的、社会的問題を招く可能性があるという側面がある。 ○ そこで、人間の尊厳及び人権を尊重し、社会の理解と協力を得て、適正に研究を実施することが不可欠であり、そのためのルールづくりが求められてきた。
○ この点に関しては、既に (2) 「遺伝子解析研究に付随する倫理問題等に対応するための指針」(平成12年4月28日厚生科学審議会先端医療技術評価部会取りまとめ)が策定されているが、(1)は、具体的な指針の前提となる基本的な考え方を示したものであり、(2)のいわゆる「ミレニアム指針」については、ミレニアム・プロジェクトという特定のヒトゲノム・遺伝子解析研究を対象としていることから、ヒトゲノム・遺伝子解析研究一般に関する具体的な指針の策定が緊急の課題となっている。
○ このような状況の下、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省の3省が共同して、今般、ヒトゲノム・遺伝子解析研究一般に適用されるべき倫理指針として、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を策定するものである。
○ この倫理指針案の策定については、検討委員会[別紙1]における原案の作成過程において、アンケート調査の実施や、作業委員会[別紙2]の設置による意見交換、パブリック・コメントの募集(昨年12月20日〜本年1月31日)、3省関係者会議[別紙3]、関係審議会における審議[別紙4]等の経過を経て、可能な限り様々な意見を反映するよう努めてきた。 ○ この倫理指針の位置付けについては、関係する国の研究機関において、又は国の補助金の交付を受けて実施されるヒトゲノム・遺伝子解析研究については、遵守が義務付けられることとなるが、それ以外の民間の研究機関等で実施されるヒトゲノム・遺伝子解析研究についても、遵守されるよう周知に努めていきたいと考えている。
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(参考4)−[別紙1]
検討委員会名簿
<平成13年3月現在。五十音順(敬称略)。◎は委員長> |
(参考4)−[別紙2]
作業委員会名簿
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<平成12年11月現在。五十音順(敬称略)。○は座長> |
(参考4)−[別紙3]
3省関係者会議の開催について
平成13年3月
文部科学省 厚生労働省 経済産業省 1.開催の趣旨 文部省、厚生省、通商産業省及び科学技術庁(平成13年1月6日以降はこれらの省庁を引き継いだ文部科学省、厚生労働省及び経済産業省)が共同して策定を進めていた「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(案)」(以下「指針案」)について、これまで文部省学術審議会、厚生省厚生科学審議会、通商産業省化学品審議会及び科学技術会議生命倫理委員会においてそれぞれ御審議いただいてきたところであるが、このたびパブリック・コメントの意見も参考にして最終案を策定したことを踏まえ、関係3省の審議会の委員等の専門家にお集まりいただき、ご意見を伺うものとする。 2.関係者会議の役割
文部科学省科学技術・学術審議会、厚生労働省厚生科学審議会及び経済産業省産業構造審議会の委員等、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省が依頼した専門家にお集まりいただき、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省へ指針案に対する意見を述べるものである。 文部科学省、厚生労働省及び経済産業省は、その意見を参考に指針案の内容を確定し、年度内に「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を告示し、来年度より施行することとする。 3.出席者
4.開催日 平成13年3月15日(於 経済産業省別館8階 第827号会議室) |
(参考4)−[別紙4]
についての関係審議会等の審議経過
平成13年3月19日
(2)意見の概要及びそれに対する考え方 いただいた意見の概要及びそれに対する考え方については、整理表の形で取りまとめ、関係3省(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)のホームページで公表している。 (3)意見本文等の公開
いただいた意見については、提出者の意向を踏まえ匿名化を行った上で、その全文を、(2)の整理表とともに、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課、厚生労働省大臣官房総務課情報公開文書室、経済産業省製造産業局生物化学産業課において公開している。 |
(参考5)
3省事務局名簿
○ 文部科学省(研究振興局 ライフサイエンス課)
○ 厚生労働省(大臣官房 厚生科学課)
○ 経済産業省(製造産業局 生物化学産業課)
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