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■◇■ JCRB 研究資源バンク メールマガジン    
    【第2号 2006/09/21】         
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◆ インデックス ◆
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細胞資源
1.事業紹介
2.新規細胞情報
3.細胞バンクが出来た頃

実験動物資源
1.事業紹介
2.疾患モデルマウス(心筋症マウス)

あとがき

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◆1◆  ★★ 細胞バンク事業の紹介 A ★★
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 今回は細胞バンクの主な業務全体像と研究倫理のお話。

** 主な事業項目 **

 ● 培養細胞の収集
 ● 収集した培養細胞についての品質管理と長期安定的保存
 ● 収集した培養細胞に関する情報収集とその公開に関する作業
 ● 個別研究者が利用している細胞の品質の向上を目指す啓蒙活動
 ● 細胞の分譲(窓口はHS研究資源バンク http://www.jhsf.or.jp/index_b.html)

 啓蒙活動の一環として、下記の受託業務を開始しました。
 ◇受託検査業務◇
   @ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査
   A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査

  受託検査は有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関する
  データを取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなりますので、
  是非ご検討ください。

** 研究倫理に関する活動 **

 ● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(2)
            
◇ 包括同意(1) ◇

現在おこなわれている人体由来組織・細胞と情報の利用についての
研究倫理指針の枠組みでは、インフォームド・コンセント、倫理審査委員会の
審査、個人情報の保護の3つの柱が重要であるとされています。その中で、
インフォームド・コンセントは、自己決定権の重要性からもっとも重視されている
といってよいでしょう。

しかし公的バンク活動を通じた人体由来組織・細胞と情報の研究利用では、
次に誰によって、どのような研究に利用されるかが明らかでない状態で
バンクに収集・保存されます。そのために、包括同意と呼ばれる同意の形
なしには、人体由来組織・細胞と情報の研究利用は成り立ちません。

この考え方を支えるためにJCRB細胞バンクは、公的バンクとして業務の
透明性を重視し、独自に倫理問題への取り組みを行っております。
また、このような活動を通じて、市民・社会、科学者集団における公的バンクの
位置づけが明らかになり、公的バンクを通じた人体由来組織・細胞と情報の利用
についての理解が得られるよう努力を続けてまいります。

公的バンクの利用者の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。


*** 研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
  http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html

ご質問があれば、(cell@nibio.go.jp)へお寄せください。


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◆2◆  ★★    新規細胞    ★★
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● 新規分譲細胞のお知らせ:下記 細胞5株が新たに分譲可能になりました。

○ ヒト骨髄由来不死化間葉系幹細胞(2種)
  p16/RB経路を不活化できるBmi-1やヒトパピローマウイルス癌遺伝子E6,E7、
  ならびにテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子(TERT)
  を導入した株です。

  JCRB1159:UBE6T-15
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1159.htm
  
  JCRB1160:UE6E7-16
http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1160.htm

○ ヒト間葉系細胞, 多指症患者・指由来(3種)

  JCRB1158:Yub633
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1158.htm

  JCRB1162:Yub635
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1162.htm

JCRB1163:Yub636
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1163.htm

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● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
   http://cellbank.nibio.go.jp/

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◆3◆  ★★    細胞バンクが出来た頃    ★★
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JCRB細胞バンクのルーツはおよそ20年前になります。当時、分子生物学研究は
成熟しつつあり、いよいよガンという病気の本質を理解することが出来るよう
になるのではないかと多くの研究者が考え始めたころ、厚生労働省は「対がん
10ヵ年総合戦略」を立案しました。「ガン遺伝子」の存在が明らかになって間
もない時でした。

このガン研究を効率的に推進するにはどうしたら良いだろうかと当時の厚生労
働省、厚生科学課の面々は考えたそうです。そしてアメリカのNIHやNCIなどを
調査し、その結果「研究資源バンク構想」を立案しました。発ガンのターゲッ
ト遺伝子の検索や機能解析はガン研究の大きな柱となり、細胞は、そうしたガ
ン遺伝子を探したり、解明した遺伝子を機能させる場として重要な研究資源と
なっていました。また、我が国の研究リーダーだった方々は、日本ではマイコ
プラズマに汚染されている細胞が多く使われているという状況も解決しなけれ
ばならないと考えておられました。

こうしたことがきっかけとなり細胞バンクは国立医薬品食品衛生研究所の変異
遺伝部の石館基部長により設置されて事業が始まりました(遺伝子バンクは感染
研に設置されました)。名称はJCRB細胞バンク、JCRB遺伝子バンクとされました。
細胞バンクがまず取り組んだのは、培養細胞の汚染の除去を進めようとマイコプ
ラズマを検出する実験系を導入することでした。最初は培養により検出するシス
テムの導入からスタートし、蛍光染色法などを試みつつ、後に外部の研究者(原
澤)に協力を仰いでPCRによる検出系を確立しました。正確なデータを出すには
異なる2種類の実験手法の両方が陰性となるようにシステム組む必要があると考
えたのです。

その結果、多くの研究者が陰性だと信じていた培養細胞からも多くの汚染が検出
され、問題点が明らかになってきたのです。そして、汚染の広がりは複数の細胞
にまたがって培地を使いまわししたりする習慣にあることが推定されました。そ
こで、培地の使い回しを防止するルールを構築しましたが、これは、後に紹介す
る細胞のクロスコンタミネーションを防止するのにも有効です。

                生物資源研究部(JCRB細胞バンク)水澤 博 


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◆1◆  ★★ 実験動物バンク事業紹介 ★★
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医薬基盤研究所では近日中に実験動物資源バンク事業を本格的に開始いたします。
医学・創薬研究を支える疾患モデル動物の分譲、関連情報の発信を行いますの
で、是非ご利用ください。

** 実験動物バンクの事業 **
・ 疾患モデルマウスの収集
・ 収集したマウスの品質管理、凍結胚・凍結精子での保存
・ 疾患モデルマウスの分譲(生体・凍結胚・凍結精子での分譲を行っています)
・ 疾患モデルマウス関連情報発信
・ 凍結胚・凍結精子の保護預かり業務(動物の情報は非公開でお預かりします)
・ 体外受精、胚移植

医薬基盤研究所 実験動物バンクのホームページ
http://animal.nibio.go.jp/
分譲可能な動物の情報はこちらのホームページで公開しております。


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◆2◆  ★★ 疾患モデルマウスの紹介 ★★
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毎号1系統ずつ疾患モデルマウスを紹介しております。分譲を希望される方、ご
興味をもたれた方はlarb@nibio.go.jpまでご連絡ください。

今回は「心筋症マウス」の紹介を行います。

心筋症マウス(4C30)

シアル酸転移酵素を導入したトランスジェニックマウスで、通称4C30と呼んでい
ます。 pCAG-GSベクターの発現カセットにマウス由来 β-galactoside
α-2,3-sialyltransferase 2遺伝子(ST3GalIIまたはSiat5)cDNAを挿入したもの
をC57BL/6CrSlcマウスの前核期胚の前核へ注入することにより作製したトランス
ジェニックマウスの1ラインです。
挿入遺伝子をホモでもつ個体は7ヶ月程度で心拡大を伴う呼吸不全で全例死亡し
ます。心臓の症状から、このマウスは拡張型心筋症モデルマウスとしての可能性
を示唆しております。

詳しくはホームページをご覧ください_http://animal.nibio.go.jp/

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あとがき
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先日、世の人が言うマイナー映画(大阪で2箇所だけ上映)を
楽しんできました。
(もちろん前売りチケットをしっかり買って!)
普通の人は内容が気になるところでしょうが、私にとっては
「ある俳優さん」が出ているだけで大満足なのです。
以前の映画は100人以上入る映画館に私一人だけっていう
とっても贅沢な経験もしました。
(私のためのホームシアターみたい!)
もう季節は秋です。読書もいいですが、たまには映画を見る
のもよいですよ。


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  (独)医薬基盤研究所 メールマガジン発行事務局
  メール: cell@nibio.go.jp

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★ 発信元
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独立行政法人医薬基盤研究所
◆ 細胞バンク (http://cellbank.nibio.go.jp/)
◆ 遺伝子バンク (http://genebank.nibio.go.jp/)
◆ 実験動物バンク (http://animal.nibio.go.jp/)
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