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■◇■  JCRB 研究資源バンク メールマガジン                 
◆    【第4号 2006/11/24】                             
◆=========== 医薬基盤研究所・生物資源研究部
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『実験動物バンク事業』正式にスタートしました!!!2006年11月1日!!!

実験動物バンク事業が正式にスタートしました。現在は19種のマウスを
保有しておりますが、今後どんどん増える予定です。卵を凍結胚で保存し、
動物に戻して分譲する効率的なマウス胚バンクを関西圏に確立します。

皆様のお役に立つ動物胚バンク事業とするよう一同頑張りますので、宜し
くお願いします。

詳細情報はこちらへ=> http://animal.nibio.go.jp/

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◆ インデックス ◆
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細胞資源
1.事業紹介
2.新規細胞情報
3.細胞バンクが出来た頃(第4回:あのころ僕は若かった)

実験動物資源
1.事業紹介

あとがき

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◆1◆  ★★ 細胞バンク事業の紹介 C ★★
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細胞バンクでの品質管理@細胞性状・形態確認と研究倫理のお話。

** 細胞バンクでの品質管理@ **

=細胞性状・形態確認=

 細胞を使用して研究を開始するとき細胞の購入を考えますが、論文で調べた
細胞に写真が載っていれば細胞の形態はわかりますが、細胞の形すらわから
ず細胞を研究に使わなければいけないことも有ります。細胞バンクでは細胞が
どのような状態で増殖するのかや、写真・動画をホームページ上で公開するこ
とにより研究に使用する細胞の性状や形態を研究者に提供しています。
 特に動画は細胞の増殖の過程を詳細に見ることができますので研究利用の
一助として有効利用して頂いております。

  < ★PR★ =受託検査業務=>
   @ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査
   A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査

 受託検査は有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関する
データを取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなりますので、是非ご
検討ください。

** 研究倫理に関する活動 **

 ● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(4)
            
◇ 包括同意(3) ◇

先回お話しましたように、細胞バンクの活動は、現在の人試料等の利用枠組
みから考えると、例外的な活動を含んでいます。そして、ゲノム研究の倫理
指針だけが、「ヒト細胞・遺伝子・組織バンク」について述べています。そこで
は、公的ヒト資源バンクが想定されています。

述べられている規定は「当該バンクが試料等を一般的な研究試料等として分
譲するに当たり、連結不可能匿名化がなされていることを確認するとともに、
バンクに提供することの同意を含む提供者又は代諾者等の同意事項を遵守
しなければならない(14(2))」というものです。

新規に収集される細胞株、細胞系に関しては、提供時のインフォームド・コン
セントを遵守して、寄託を受けるとともに、分譲をしております。

もうひとつ私たちが重要と考えて実施しておりますことがあります。それは、
先にも述べた、細胞バンクの活動の透明性を保つことです。

現在の仕組みの中では、インフォームド・コンセントと活動の透明性によって、
公的細胞バンクからの細胞の分譲が可能になると同時に、活動を進めること
によって、信用をつみますことができるのではないかと考えています。

今回は、現在とっているBest practiceについてお話しました。しかし、実際に
は昔に作られた培養細胞株など、現在の基準に対応しないものがあります。
次回は、その問題についてお話します。

公的バンクの利用者の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

*** 研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
  http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html

ご質問やご意見があれば、是非 cell@nibio.go.jp へお寄せください。


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◆2◆  ★★    新規細胞    ★★
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● 新規分譲細胞のお知らせ:下記細胞3株が新たに分譲可能になりました。

○ ヒト間葉系幹細胞,多指症患者・指由来

  JCRB1171:Yub642p (periosteum 骨膜)
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1171.htm

  JCRB1172:Yub642  (bone marrow 骨髄)
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1172.htm  

  JCRB1173:Yub637s (skin 皮膚)
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1173.htm


♪☆=--=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-♪☆

● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
   http://cellbank.nibio.go.jp/

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◆3◆  ★★    細胞バンクが出来た頃(第4回)    ★★
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細胞バンクが厚生労働省によって設置されたのは1985年でした。 20年も前で
すから、ふたむかしということになります。 私自身ふり返って、20年もこんな仕
事をやっていたのかと、自分を褒めたくなってしまいます(笑)。

それはともかく、細胞バンクが設立された当時を懐かしむ気持ちが芽生えてく
る昨今です。バンク事業を国立医薬品食品衛生研究所で開始した当時、部長
の石館先生とは良く喧嘩をしました。喧嘩友達と言ったら大変失礼にあたるで
しょうか、大先輩ですから。 毎日のようにバンクの運営方針で対立して、夕刻
から始まる議論は延々と続き、夜中の12時頃までやりあって、挙句の果てに
中華料理をご馳走して頂くようなこともありました。

しかし、今になって考えてみますと、石館先生はホントに良く議論に付き合って
くださったと思います。大変感謝しております。そして、石館先生の研究室のメ
ンバーは、出身大学が皆違うことに気がつきます。考えてみますと、これは驚
くべきことではないでしょうか。石館先生ご自身は東北大学のご出身ですが、
部下は弘前大学、関西学院大学、東京大学、都立大学、農工大、大阪大、名
古屋市立大、東大等々、出身大学はバラバラです。それが理由かどうかはわ
かりませんが、部下の不満も良く聞いてくれたと思います。それが喧嘩のよう
でもあり、議論でもあり、いずれにせよ、その研究室の仕事をどのようなものに
するのか、譲るところは譲るが、そこにいたるまではとことん議論をする、そうい
う雰囲気は大事なことだと思います。

当時細胞バンク事業を進めるにあたって話題になったのは、品質管理をどの
程度まで行うのか、集める細胞の種類をどこまで拡大するのか、事業の手順
をどういうものにするのか、細胞の誤謬はどのようにして確認するのか・・・ そ
うしたこと1つ1つが喧嘩のネタになっていました。

結局、バンク事業というと最先端の研究とは異なるかもしれないけれども、それ
を真面目に行ったらどういうことになるのか、投入される予算ぶんの成果をどう
やったら上げることが出来るのか・・・ 。そうした課題は実に重いものでした。そ
うしたことを真面目に議論した結果が現在に繋がっているとしたら、石館先生も
『売られた喧嘩を買った意味はあった』と許してくださることでしょう。

ともあれ、今回はひたすら懺悔であります。

              生物資源研究部(JCRB細胞バンク)水澤 博 

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◆1◆  ★★ 実験動物バンク事業紹介 ★★
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医薬基盤研究所では11月1日に実験動物資源バンク事業を本格的に開始いた
しました。疾患・創薬研究を支える疾患モデル動物の分譲、関連情報の発信を
行いますので、是非ご利用ください。

**実験動物バンクの事業**

○疾患モデルマウスの収集/収集したマウスの品質管理、凍結胚での保存
○疾患モデルマウスの分譲マウス胚50個/チューブを融解し、胚移植後、生ま
れた産仔すべてを分譲します。(97000円/1件)
○ 凍結胚・凍結精子の保護預かり業務(動物の情報は非公開でお預かりしま
す)
クライオチューブ4本保管で11000円/1年
ストロー16本/1年保管で11000円/1年
○疾患モデルマウス関連情報発信

**保護預かりサービス**

今回は「凍結胚・凍結精子保護預かりサービス」の紹介をさせていただきます。

これまでにこんな困ったことありませんか?

○ マウスを維持している間に、繁殖のタイミングを逃して、系統が絶えてしまった。
○ 微生物学的に汚染し、処分せざるを得なくなった。
○ 遺伝子改変動物の解析が終了してからも、実験に使うわけではないのに
飼育を続けている。数年後に使う予定もあり、処分したくないけれど、飼育スペ
ースやコストが厳しい。

私たちの実験動物バンクはそんな問題を解決いたします!
ぜひ「保護預かりサービス」をご利用ください。

皆様が維持されているマウスから凍結胚・凍結精子を作成し、私たちのバンクで
保管いたします(もちろん凍結胚・凍結精子作成技術をお持ちの場合は、チュー
ブあるいはストローを送っていただくことも可能です)。マウス系統情報は非公開
で、各研究者が所有権を維持したままであり、第3者に分譲することはありません。
また、凍結胚あるいは凍結精子から生体にするサービスも行っておりますので、
再度、研究に利用されるときはこのサービスをご利用ください。

凍結胚・凍結精子作成技術をお持ちの場合でも、液体窒素タンクの事故など万が
一に備えて、1チューブを基盤研に預けてみてはいかがでしょうか?

チューブ1本、ストロー1本からお預かりいたします。

医薬基盤研究所 実験動物バンクのホームページhttp://animal.nibio.go.jp/
分譲可能な動物の情報はこちらのホームページで公開しております。

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あとがき
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「あらしを呼ぶ男」・・・我々バンクの職員も交代で夏休みを取りますが、ある職員
は夏休みの度に嵐を連れてきます。過去3回も嵐により休暇を台無しにしている
O君とは全体に一緒に旅行に行きたくないというのが細胞バンク一同共通の意見
です。皆さんの周りにもそういう人はいませんか?