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■◇■  JCRB 研究資源バンク メールマガジン                 
◆    【第7号 2007/ 2/21】                             
◆=========== 医薬基盤研究所・生物資源研究部
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◆ ♪∽ 今年は大阪で日本組織培養学会を開催します ∝♪ ◆

    日本組織培養学会ホ−ムペ−ジ => http://jtca.umin.jp/ 

日本組織培養学会第80回大会は(独)医薬基盤研究所 生物資源研究部
細胞資源研究室が主催し、北摂の中心地、千里中央にあります千里ライ
フサイエンスセンタ−にて開催する運びとなりました。参加型プログラ
ムとしまして、マイコプラズマ検査を実施いたします。是非多くの研究
者の方々に参加していただき、学術、人的交流のお役に立てればとスタ
ッフ一同準備をさせていただいております。

【開催日】 平成19年5月14日(月)・15日(火)
【場所】  千里ライフサイエンスセンタ−
         => http://www.senri-lc.co.jp/lc-index.html
【最寄駅】 千里中央駅
     〔北大阪急行(地下鉄御堂筋線経由)または大阪モノレ−ル〕 
         
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◆ インデックス ◆
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T細胞バンク事業

1.事業紹介
2.新規細胞情報
3.細胞バンクが出来た頃
(第7回:写真データの公開・・ロッカーの肥やしを有効活用)

U遺伝子バンク事業

V実験動物バンク事業

 事業紹介

Wあとがき

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◆T◆  ★★ 細胞バンク事業の紹介F ★★
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細胞バンクでの品質管理C由来動物種確認検査と研究倫理のお話。

** 細胞バンクでの品質管理C **

細胞の品質管理の中で由来動物種確認検査を実施しております。培養細胞
のクロスコンタミネーション(混入や置き換わり)は複数の細胞を同時に
扱う場合に注意しなければならないことです。特に細胞の形態が似ている
細胞は気付かないうちにコンタミしてしまいます。ヒト由来の細胞がいつ
の間にかマウス由来の細胞になっていたなんてことも有るのです。

由来動物種確認検査法にはいろいろな種類がありますが、細胞バンクでは
アイソエンザイム(アイソザイム)と呼ばれる、酵素としての活性がほぼ
同じでありながら、蛋白質分子としては別種である(アミノ酸配列が異な
る)ような酵素を等電点電気泳動して、由来動物種ごとのパターンを得る
方法を使用しています。今ではより簡便な方法として種特異的な配列の
シークエンス解析など多くの検出法が利用できます。

研究室に代々受け継がれている細胞はいつ、誰が、どんな使用をしたのか
わからないものがあると思います。自分がコンタミをさせていなくても、
最初からコンタミしていたら別の細胞になっているかもしれません。
是非、一度自分の使っている細胞を調べてみて下さい。

 < ★PR★ =受託検査業務=>
   @ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査
   A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査

 受託検査は有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関す
 る データを取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなります
 ので、是非ご検討ください。

** 研究倫理に関する活動 **

 ● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(7)
            
◇ 匿名化と包括同意の問題 ◇

先回は、包括同意という問題の一面をお話ししました。それは、提供のと
きの研究内容の説明と同意に縛られていては、科学の新奇性を支えること
はできないのではないか、ということでした。

この包括同意を支えるという問題は、思っている以上に難しい問題なので
す。国際的にもスタンダードがあるわけではありません。例えば、北欧諸
国は多くの疾病登録が、患者の承諾なしに、国家によってなされています。
そのような国でも事情はまちまちです。

昨年スウェーデンとフィンランドをバイオバンク法についての聞き取りの
ために訪問しました。2つの国は、最近バイオバンク法を作ったのです。
ここで、バイオバンクというのは、国民の医療情報や生体試料を保管し、
研究者へ提供する公的なヒト研究資源バンクと考えてください。

福祉国家という同じ枠組みの国でありながら、2つの国の姿勢は異なるの
です。スウェーデンでは包括同意は許されず、一つ一つの研究計画で同意
の取り直しが求められます。法律には、以下のように書いてあるのです。
「5条.バイオバンクに保存される組織サンプルは、事前に説明され、か
つ、同意された目的以外の目的のために利用されてはならない。それらは、
同意している者が、新しい目的について説明され、かつ、これに同意する
ことなしには利用されえない。」

一方、フィンランドでは、包括同意が許されています。倫理審査を受け、
承認された研究計画は、提供時の包括同意が有効であり、更なる個別の研
究計画に固有の承諾は必要ありません。

スウェーデンの法律は急いで1年ほどで作ったために、広範な研究者、市民
の意見を取り込むことができなかったと言うことです。この法律へは、批
判が強く、近く改訂をせざるを得ないと医学、法学、哲学の研究者たちは
話しています。

このように福祉政策に優れた北欧諸国のように医療が国により提供され、患
者の承諾のない形で疾病登録が伝統的に完璧に近い形で行われている国にお
いても、包括同意の問題は科学研究の根幹を揺るがす問題となっています。

個人情報保護法の考え方の中にある「目的を限定した収集」、「目的外使用
の禁止」、「第三者提供の禁止」というような考え方は、明らかに包括同意
を許さない方向での議論が進められています。

今後の日本の議論も含めて動向が注目されるところです。包括同意は、公的
バンクの存続、あるいは、ヒト由来の研究資源の流通にとって、大きな問題
であることを考え、細胞バンクとしても議論をしておく必要がある問題と考
えています。来年度、その検討を計画しています。皆さんのご意見をお寄せ
いただければ幸いです。

*** 研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
  http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html

ご質問やご意見があれば、是非 cell@nibio.go.jp へお寄せください。


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◆2◆  ★★    新規細胞    ★★
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● 新規分譲細胞のお知らせ:下記細胞3株が新たに分譲可能になりました。

○ ヒト胎児性精巣由来複合型胚細胞
  AFP産生能のほか、Type IV collagen, fibronectin, lamininなど
  細胞外基質の産生能を保持した細胞株

  JCRB1167:NCR-G2
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1167.htm

  JCRB1168:NCR-G3
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1168.htm

JCRB1175:NCR-G4
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1175.htm

♪☆=--=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-♪☆

● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
   http://cellbank.nibio.go.jp/

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◆3◆  ★★    細胞バンクが出来た頃(第7回)    ★★
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写真データの公開・・ロッカーの肥やしを有効活用

思えば細胞バンクが始まった年、1985年はIBMの手によるパーソナルコン
ピュータが世に登場して5年目でした。アメリカ留学中に上司としてお世
話になったNIHの掛札先生と時々手紙で情報の交換をさせて頂いておりま
したが、その掛札先生から『今度出たIBM・PC/XT』は素晴らしいコンピュ
ータだぞ、と私を羨ましがらせる情報を頂きました(こうした趣味は共通
していました)。しかし、このIBM・PC/XTはすぐにハードディスクを標準
搭載したIBM・PC/ATに置き換えられることになったのですが、細胞バンク
でデータベースを作るにあたって、このAT互換機が必需品になるだろうと
強く感じたのです。IBM・PCはパーソナルコンピュータの国際標準のプラ
ットフォームになるだろうと多くの人が考えていたからです。

そこで、秋葉原に出かけて、台湾のメーカから市販されたIBM・PC/ATを購
入して担いで帰ってきたことを懐かしく思い出します。これを使ってデー
タベースの構築を開始しました。細胞バンクのデータベース構築の原則は
『塵も積もれば山となる』法則に基づき、毎日少しずつコツコツとデータ
入力することに尽きると考えました。写真データを取り上げて言うと、コ
ツコツ入力した細胞の写真データは昨年1万枚を超えました。

この20年間、細胞バンクの発展はコンピュータの発展にも支えられたよう
です。細胞バンクが始まったころは真っ黒な画面にコマンドを打ち込むス
タイルで使われていましたので、マッキントッシュSE30のグラフィックな
画面が羨ましかったものです。

それでも、ちょっと気の利いたソフトウエアを使うと写真データを自由に
取り込むことが出来ることを発見し、細胞培養のたびに撮影していたポラ
ロイド写真を電子ファイル化してデータベース化したらどうだろうという
アイデアが生まれたのもこの初期の頃でした。もともとは培養の確認と記
録のためにポラロイド写真を撮っていたのですが、ファイルにしまい込ん
で棚の中にしまうだけなのはもったいなと思っていたので、コンピュータ
で写真データがこんなにきれいに見えるのだということを知った時は衝撃
的でした。細胞の写真を電子ファイル化したら、写真データを有効利用出
来ると考えると、是非活用したいものだと思ったのです。
この頃から蓄積を始めた写真データはWEBによるホームページの利用の開
始とともに、すぐに利用され、多くの人に見てもらえるようになったので
した。ちょっと自慢ですが、私達が写真データの公開を始めて少しした頃、
ATCCでも同様なサービスを始めました。ATCCより先にやったことがちょっ
と嬉しい私でした。
              生物資源研究部(JCRB細胞バンク)水澤 博 

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◆U◆  ★★ 遺伝子バンク事業 ★★
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■ マウス129系統BACクローンの分譲開始

JCRB遺伝子バンクでは、マウス129/Ola系統BACクローンのスクリーニン
グ分譲サービスを2006年12月1日より開始いたしました。この BACクロー
ンは東海大学医学部大塚先生より寄託を受けたものです。

129/Ola系統はES細胞作製に用いられるマウスの系統で、そのBACクローン
はトランスジェニックマウスやノックアウトマウス作製に有用です。納期、
価格、スクリーニング方法についての詳細はWebサイトをこ参照ください。

http://genebank.nibio.go.jp/gbank/bac_mouse.html


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◆V◆  ★★ 実験動物バンク事業 ★★
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医薬基盤研究所では2006年11月に実験動物資源バンク事業を正式に開始
いたしました!疾患・創薬研究を支える疾患モデル動物の分譲、サポート
サービス、関連情報の発信を行いますので、是非ご利用ください。

**実験動物バンクの事業**

○疾患モデルマウスの収集/収集したマウスの品質管理、凍結胚での保存
○疾患モデルマウスの分譲 マウス胚50個/チューブを融解し、胚移植後、
             生まれた産仔すべてを分譲します。
             (97000円/1件)
○ 凍結胚・凍結精子の保護預かり業務
             (動物の情報は非公開でお預かりします)
             クライオチューブ4本保管で11000円/1年
             ストロー16本/1年保管で11000円/1年
           凍結胚・凍結精子作製サービスも行っております。
○疾患モデルマウス関連情報発信

**疾患モデルマウスの紹介**

 ELマウス(てんかんマウス)
 資源番号nbio002

1954年国立予防衛生研究所にて,自然発症脳水腫マウスの研究中に見出され
たアルビノのマウスです。抛り上げなどの体位変換刺激により容易に癲癇発
作が惹起されます。脳波などの研究から,ヒトの二次性全般化を伴う複雑部
分発作(側頭葉癲癇)のモデルであると考えられています。かつてはElと表
記されていましたが,現在は命名規約からELと大文字で表記することが推奨
されております。なお,繁殖に関しては,特に雄が比較的若齢で尿閉を呈す
ることが多く,注意を要します。

医薬基盤研究所 実験動物バンクのホームページ
             http://animal.nibio.go.jp/
分譲可能な動物、サポートサービスの情報はこちらのホームページで公開し
ております。

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あとがき
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当所のあります彩都は街開きからもうすぐ3年が経ちます。3月19日には、
阪大病院からのモノレ−ル延伸区間が開通し彩都西駅が開業します。そ
の前にガ−デンモ−ル彩都という商業施設もオ−プンするそうです。今ま
で街の中にス−パ−マ−ケットもなく、買い物などは大変不便でしたから
便利になりますが、交通費は高く、駅が今までの最寄のバス停より遠くな
るので職員にとって便利かどうかは?です・・・・。街並みもどんどんに
ぎやかになり、小学校は開校時と比べ、来年度は5倍以上の生徒数になるそ
うです。併せて図書館や運動公園などが整うとより快適な街となると思い
ます。
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★ JCRB e-mag へのご意見・お問い合わせ先:
  (独)医薬基盤研究所 メールマガジン発行事務局
  メール: cell@nibio.go.jp

★ 細胞分譲の依頼先
  (財)HS研究資源バンクまでどうぞ。親切丁寧に対応いたします。
  メール: hsrrb@osa.jhsf.or.jp
  
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★ 発信元
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独立行政法人医薬基盤研究所
◆ 細 胞 バ ン ク (http://cellbank.nibio.go.jp/)
◆ 遺伝子バンク (http://genebank.nibio.go.jp/)
◆ 実験動物バンク (http://animal.nibio.go.jp/)
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