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■◇■  JCRB 研究資源バンク メールマガジン
◆    【第9号 2007/ 4/27】
◆=========== 医薬基盤研究所・生物資源研究部
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●陳謝:メルマガ発送システムに問題が発生し、大幅に送信が遅れて
    しまいました。楽しみにしていた皆様申し訳ありませんでした。
    原因を調査したところ、研究所のメールサーバのIPアドレスが
    変更になっていたことに気付かなかったためでした。

◆◆☆★ 大阪での日本組織培養学会はもうすぐ開催!! ★☆◆◆

    日本組織培養学会ホ−ムペ−ジ => http://jtca.umin.jp/ 

日本組織培養学会第80回大会は(独)医薬基盤研究所 生物資源研究部
細胞資源研究室が主催し、北摂の中心地、千里中央にあります千里ライ
フサイエンスセンタ−にて開催します。講演以外に参加型プログラムと
しまして、マイコプラズマ汚染検査を実施いたします。学会受付に限り
無料実施ですので、この機会に使用されている細胞の培養上清(1ml程度)
をお持ち下さい。是非沢山のサンプルをお持ち下さい。学会1日目に受付、
2日目に結果をお知らせ予定です。また多くの企業協賛も頂き情報提供さ
せていただきます。多くの研究者の方々に学術、人的交流を提供できれ
ばと思っております。是非ご参加下さい。

【開催日】 平成19年5月14日(月)・15日(火)
【場所】  千里ライフサイエンスセンタ−
         => http://www.senri-lc.co.jp/lc-index.html
【最寄駅】 千里中央駅
     〔北大阪急行(地下鉄御堂筋線経由)または大阪モノレ−ル〕

◆☆★◆☆★◆☆★ 名称変更のお知らせ ★☆◆★☆◆◆☆★◆☆★

 2006年11月に開始した医薬基盤研究所実験動物研究資源バンクは2007年
4月より「疾患モデルマウスバンク」となります!
疾患・創薬研究を支える疾患モデルマウスの分譲、サポートサービス、関
連情報の発信を行いますので、是非ご利用ください。


◆♪∽高発がん性遺伝病患者由来細胞コレクション(京大放生研)♪∽◆

京都大学放射線生物研究センターは、厚生労働省細胞バンク事業開始以来、
提携機関として事業に協力頂いてきましたが、当該研究所で1970年代から
収集してきたコレクションは、発がんの遺伝的背景の解明に役立つ日本人
における高発がん遺伝病患者とその家系に由来する細胞です。
このたびこれらの細胞を広く公開して、疾患の解明ならびに治療法の確立
などの研究に役立てていただくことを目的に、医薬基盤研究所・JCRB細胞
バンクに寄託されることになりました。

細胞は、現在移管作業が終了してリストの整理が終わった段階です。品質
管理と分譲用細胞の作成はこれから開始するところで、まだ資源として配
布できる体制にはなっておりません。細胞の種類が膨大なため、満遍なく
作業を行うことはかえって非効率的ですので、まずは概要のリストを公開
し、分譲の希望が出てきた細胞から順に作業を開始したいと考えておりま
す。従って、興味のある細胞がありましたらJCRB細胞バンクまでご相談く
ださい。あまりに希望者が多い場合には必ずしも御希望に添えないことも
生じるかもしれませんが、出来るだけご希望に添えるよう努力したいと考
えております。

お問合せはFAX又はメールでお願いいたします。
医薬基盤研究所、生物資源研究部、細胞資源研究室
〒567-0085 大阪府茨木市彩都あさぎ 7-6-8
FAX:072-641-9851, e-mail:cell@nibio.go.jp 
         
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◆ インデックス ◆
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I 細胞バンク事業
1.事業紹介
2.新規細胞情報
3.細胞バンクが出来た頃
(第9回:マイコプラズマ検査の開始)

II 遺伝子バンク事業
事業紹介

III 実験動物バンク事業
事業紹介

IV あとがき

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◆T◆  ★★ 細胞バンク事業の紹介(9)★★
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細胞バンクでの品質管理(6)染色体プロファイリングと研究倫理のお話。

** 細胞バンクでの品質管理(6) **

細胞の品質管理の中で染色体プロファイリングを実施しております。
がん細胞は染色体(ゲノム)が不安定であることはご存知のとおりかと思
います。しかし、細胞の種類によっては染色体のプロファイリングが非常
に重要な意味を持ってきます。特に最近JCRBに寄託された高発がん性遺伝
病患者由来細胞コレクションは染色体に特定の異常を持っているものが多
く、これをプロファイリングすることによって細胞の特徴を把握できるの
です。

また、もうひとつの流れとして、再生医療等に用いる細胞は安全性から考
えて染色体が安定であることが望ましく、染色体プロファイリングによっ
てしっかりと管理されている細胞の特性研究は今後の再生医療において重
要な役割をになうことでしょう。

 < ★PR★ =受託検査業務=>
   @ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査
⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 今回の培養学会では参加者に限り
                  無料実施・翌日報告のサ−ビスを
                  行ないます。
                  是非学会にご参加下さい。
   A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査

 受託検査は有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関す
 る データを取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなります
 ので、是非ご検討ください。

** 研究倫理に関する活動 **

 ● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(9)
 
先回は、今の日本の研究倫理の枠組みの中で、インフォームド・コンセン
トが自己決定に基づく人権擁護のシステムとして働いている様子について
解説しました。今回は、それでは、本人がいやといっている問題を、他人
が或いは、血族はどのように関われるかという問題について考えます。

欧米の議論の中で家族内での病気に関する情報の共有を許すかどうかとい
う問題は、自己決定の問題が生じるといいます。日本では大きな問題して
とらえられてはいない点は、欧米との差を鮮明に写しだしています。

例えば、家族内に遺伝病がある場合に、発症した個人の遺伝情報が、本人
だけのものであるかという問題があります。伴性遺伝病の場合にX染色体上
の異常は、男性のみに現れます。それは、男性がX染色体を1本だけ持つた
めに、X染色体上の変異が体の不調に直接現れるからです。女性の場合は
X染色体を2本持つので、変異が重なるのはまれです。
伴性遺伝の場合に、以下のようなケースが議論されています。

家族の持っている遺伝子上の変異を知るためには病気を発症した男子の遺
伝子を調べる必要があります。というのは、1つの病気の原因となる遺伝
子上の変異にはその家系での特性があり、それをまず押さえることが重要
です。そしてその変異があるかどうかをその家族内で検査するのです。し
かし、本人が知りたくないという自己決定をしている場合があります。
特にその検査を受けてもそれが治療法につながらない場合には、変異の位
置がわかっても本人にはメリットはありません。ところが、この発症した
男子には姉妹がいて、彼女は自分の受け継いだ可能性のある遺伝子の変異
を知りたい。結婚して子供持つときに、これは大きな決断のための判断材
料となるからです。このような検査は女性がキャリアーであるかを確かめ
る検査(保因者診断)と呼ばれます。

この場合に、血縁関係内で利害が相反するのです。その点について、発症
している男子の意思を優先することが何を意味するのでしょうか。
 
ある筋ジストロフィー(この病気は先に説明した伴性遺伝の典型です)の
患者会の会長は、自分の家族の場合には発症した男の子がだめだといって
も、私は検査を受けさせますという発言をしていました。その人の男性の
子は発症しています。そして会長にはその男の子のほかに、複数の女の子
がいるのです。このような発言は、親の心情としては理解はできますが、
かなり微妙な問題があります。

インフォームド・コンセントはリアルタイムで起こることに対する決定の
表明を意味します。そのために、後での理由を問わない撤回が保障される
ことが重要なのです。それは、強制のない、自主的な決断が不可欠だから
といわれています。

*** 研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
  http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html

ご質問やご意見があれば、是非 cell@nibio.go.jp へお寄せください。


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◆2◆  ★★    新規細胞    ★★
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● 新規分譲細胞のお知らせ:下記細胞3株が新たに分譲可能になりました。

   
○ ヒト網膜芽腫細胞株

  JCRB1182:NCC-RbC-51
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1182.htm
  

  JCRB1183:NCC-RbC-54
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1183.htm
 
○ マウス抗体産生ハイブリドーマ細胞株

JCRB1189:F56
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1189.htm


♪☆=--=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-♪☆

● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
   http://cellbank.nibio.go.jp/

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◆3◆  ★★    細胞バンクが出来た頃(第9回)    ★★
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マイコプラズマ検査の開始

細胞バンクが設立されて20年。日常生活の連続的な変化に浸っていると大
きな変化は無いように見えます。しかし、この20年姿は大きく変わりまし
た。

1980年に登場した16ビットコンピュータをMS-DOSというOSで動かしたほう
が良いことを知っていたユーザは当時まだ僅かでしたが、今ではほとんど
の方はWidowsというOSで動いていうことを知っています。画面は真っ黒な
ものからカラフルなものへと変わりしました。電子メールも今では一般的
ですが当時はまだ使えませんでした。

当時、PCRという技術も出きたばかりでまだ一般的ではありませんでした。
なんとなく、将来これが利用されるようになるだろうとは思いつつ、とり
あえず緊急なマイコプラズマ検査をするためにハンディーな小型嫌気培養
装置を購入してコロニーを作らせて、数を数えていました。その頃、ATCC
からヘキスト社の33258という蛍光色素でマイコプラズマのDNAを染め
て検出する方法を習って開始しました。

しかし、この方法では細胞もうっすらと染まってしまうことがあって正確
な判定ができないと気になる事態が持ち上がってきました。しかし、その
頃にはPCR法の実用化が進み、現在岩手大学の農学部におられる原澤先生が、
マイコプラズマ検出用のPCRプライマーを作成したので、それを頂いて細胞
バンクでも使い始めました。その結果、異なる二つの実験法を使って同じ
結果が出た場合に確定的な判定をしようということになりました。最近マイ
コアラート法という新しい方法が簡便法として出てきましたが、これもなか
なか使い勝手は良いようです。ともあれ、細胞にマイコプラズマが汚染して
いるのは大いに問題ですので、皆様は是非ご注意ください。

細胞バンクでは、マイコプラズマの汚染検査などを受託することにしました
が、これは細胞バンクとしてマイコフリー細胞を使おうというキャンペーン
の一環でもあります。実験開始時と終了時にマイコプラズマ汚染が無いこと
を確認しておくのは意味があることです。検査は有償ですが、是非ご利用く
ださい。

なお、汚染細胞からマイコプラズマを除去する試薬があると細胞バンクが出
来て間もない頃大日本製薬の方が持ってきてくださいました。ためしに除去
してみるとマイコは除去できたのですが、染色体異常も少し出てしまうとい
うことがありました。その結果、さらに改良した除去試薬としてMC210が市
販されました。細胞バンクでは汚染を発見すると、こうした試薬を使って極
力除去するようにしているのですが、最近は忙しくなって職員がそこまで手
が出せない状況が続いていて、ちょっとご迷惑をかける事態になってしまっ
ているかもしれません。

             生物資源研究部(JCRB細胞バンク)水澤 博 

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◆U◆  ★★ 遺伝子バンク事業 ★★
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■ マウス129系統BACクローンの分譲開始

JCRB遺伝子バンクでは、マウス129/Ola系統BACクローンのスクリーニン
グ分譲サービスを2006年12月1日より開始いたしました。この BACクロー
ンは東海大学医学部大塚先生より寄託を受けたものです。

129/Ola系統はES細胞作製に用いられるマウスの系統で、そのBACクローン
はトランスジェニックマウスやノックアウトマウス作製に有用です。納期、
価格、スクリーニング方法についての詳細はWebサイトをこ参照ください。

http://genebank.nibio.go.jp/gbank/bac_mouse.html


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◆V◆  ★★ 実験動物バンク事業 ★★
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**名称変更のお知らせ**

2006年11月に開始した医薬基盤研究所実験動物研究資源バンクは2007年4月
より「疾患モデルマウスバンク」となります!疾患・創薬研究を支える疾患
モデルマウスの分譲、サポートサービス、関連情報の発信を行いますので、
是非ご利用ください。

**疾患モデルマウスバンクの事業**

○疾患モデルマウスの収集/収集したマウスの品質管理、凍結胚での保存
○疾患モデルマウスの分譲
マウス胚50個/チューブを融解し、胚移植後、生まれた産仔すべてを
分譲します。(97000円/1件)
○ 凍結胚・凍結精子の保護預かり業務
(動物の情報は非公開でお預かりします)
クライオチューブ4本保管で11000円/1年
ストロー16本/1年保管で11000円/1年
凍結胚・凍結精子作製サービスも行っております。
○疾患モデルマウス関連情報発信

**凍結胚・凍結精子の保護預かりサービスのご案内**

保護預かりサービスは、マウスから凍結胚・凍結精子を作製し、保管する
サービスのことです(もちろん凍結胚・凍結精子作製技術をお持ちの場合は、
チューブあるいはストローを送っていただくことも可能です)。
マウス系統情報は非公開で、各研究者が所有権を維持したままであり、第3
者に分譲することはありません。マウス飼育スペースの節約・飼育コスト削
減・液体窒素タンクの故障事故に備える等、多用な目的でご利用できるサー
ビスです。ぜひご利用ください!

医薬基盤研究所 疾患モデルマウスバンクのホームページ
http://animal.nibio.go.jp/

分譲可能な動物、サポートサービスの情報はこちらのホームページで公開
しております。


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あとがき
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あれは一年前、GWの帰省でマンションにあまり人がいない頃。よく話には
聞いていた「やつ」が山から降りてきた。関西人が箕面と聞けば、皆が
「やつ」がでることで有名な箕面という。まさか自分のマンション駐車場
に「やつ」が現れるとは・・。人や車が近づいても全く逃げる様子も無く、
ゴミ漁りに精を出している。噂に聞くところによると「やつ」は自販機で
ジュースまで買うことができるらしい!今のところ自分に実害が出ていな
いので興味本位で写真を取ったりしていますが、ベランダに置いた野菜な
どが荒らされたら、本気で「やつ」と戦わなければいけない日がやってく
るかも?
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☆☆      JCRBメ−ルマガジンへのアクセス      ☆☆
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★ JCRB e-mag へのご意見・お問い合わせ先:
  (独)医薬基盤研究所 メールマガジン発行事務局
  メール: cell@nibio.go.jp

★ 細胞分譲の依頼先
  (財)HS研究資源バンクまでどうぞ。親切丁寧に対応いたします。
  メール: hsrrb@osa.jhsf.or.jp
  
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★ 発信元
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独立行政法人医薬基盤研究所
◆ 細 胞 バ ン ク (http://cellbank.nibio.go.jp/)
◆ 遺伝子バンク (http://genebank.nibio.go.jp/)
◆ 実験動物バンク (http://animal.nibio.go.jp/)
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