品質管理検査について
当バンクでは、微生物に汚染されていないかなどを確認するために品質管理を行っています。また、細胞が樹立時に持っていたとされる様々な性質が維持されているかを確認するために必要に応じて品質検査を行っています。現在行っている品質検査の内容を中心に以下に紹介します。微生物汚染の有無(ウイルス検査は順次実施中)、細胞の相互混入に関わる検査以外は必要に応じて実施しております。実施した検査の結果は各細胞の細胞情報で公開しておりますのでご確認下さい。
- 一般無菌検査 細菌、真菌についてそれぞれに適した培地に細胞を接種して菌が発育しないことを確認しています。(下記条件で発育しない特殊な菌の否定は出来ません。)
- 使用培地 血液寒天培地
- 培養温度:35℃
- 培養期間:1週間~2ヶ月(培地による)
- マイコプラズマ汚染検査 マイコプラズマという微生物により細胞が汚染されていないことを下記の3検査を行って確認しています。
- マイコプラズマ酵素活性検査 マイコプラズマ特有の酵素活性を測定して存在の有無を確認します。
- VERO細胞を指標とした蛍光染色法 蛍光色素(Hoechst Stain No.33258 )で細胞核やマイコプラズマのDNAを染色します。汚染細胞は核の周辺に蛍光が観察され、蜘蛛の巣状に見えることもあります。マイコプラズマ以外の細菌・真菌も存在すれば観察されます。
- Nested-PCR法 マイコプラズマのDNA断片を増幅して検出する検査(最初のプライマーセットの内部に二つ目のプライマーをデザインして二段階PCRを行うことで増幅産物の特異性を上げることができます。☞参考文献
- ヒト細胞認証試験 ヒト培養細胞に関するクロスコンタミネーション(細胞相互の混入)が無いことを確認します。
- ウイルスDNA・RNA検出検査(順次実施中です) ウイルスのDNA・RNA断片の検出検査を順次進めています。
- DNA検査 検査方法:Real-time PCR, TaqMan Probe 法
- RNA検査 検査方法:Real-time PCR, TaqMan Probe 法(One Step RT-PCR Kit)
- アイソザイム検査 細胞の由来動物種を特定の酵素で調べます。酵素の電気泳動の移動度で、どの動物由来かということが概ね確認できます。以前は実施していましたが、現在は試薬の入手が困難なため実施していません。
- 染色体検査 分裂期の細胞を固定し、Gバンド法などによって染色体を可視化して顕微鏡観察します。染色体の本数や形状は、細胞の特徴を表すものとして細胞を識別する指標となります。STR-PCR法による分析が染色体上のミクロの変化を観察するのに対して染色体のマクロな変化の観察も細胞の特徴を確認するうえで重要な指標です。この検査は時間と手間が大変かかるので、全ての細胞について検査をするということは出来ません。特徴のある細胞を重点的に検査しています。
Nutrient broth with 2% yeast extract(NB培地)
Thioglycollate medium(TGC培地)
使用試薬名:MycoAlert™マイコプラズマ検出キット参考☞
検査方法:STR-PCR法
参考☞細胞認証試験によるリスク管理の必要性
文献1☞
文献2☞
詳細はこちら☞ようこそ細胞認証データベースへ
使用試薬名:PowerPlex®16 STR システム参考☞
(注意!!)陽性がウイルスを産生するということではありません。
抽出試薬:AllPrep DNA/RNA mini kit
(陽性コントロール:GAPDH)
検査項目:CMV・EBV・HHV6・HHV7・BKV・JCV・ADV・parvoB19・
HBV・HTLV1・HTLV2・HIV1・HIV2・HPV18
(陽性コントロール:β-actin)
検査項目:HCV・HTLV-1・HIV-1・HTLV-2・HIV-2・HAV