2001年5月22日

染色体標本作製プロトコール

国立医薬品食品衛生研究所
JCRB細胞バンク 田辺秀之
Ⅰ.準備

  • KaryoMax Colcemid Solution(GibcoBRL 10ug/ml; Cat. No. 15210-040)

  • 1ml ツベルクリン注射針付きシリンジ

  • 15ml チューブ

  • 駒込ピペット(3ml、5ml、10ml)

  • ピペット豆

  • メスシリンダー(100ml)

  • メタノール

  • エタノール

  • 酢酸

  • 低張液 0.075M KCl(略してK)

  • 低張液 1%(W/V) クエン酸-3-ナトリウム(略してC)

  • スライドグラス(Matsunami; S-2111)

  • ピンセット

  • プラスチック容器(スライドグラス保存用)

  • ポリエチレンビニール袋

  • マジック

  • 鉛筆

  • その他

II.方法

  1. 手順の概要

    1. 細胞培養

    2. コルセミド処理

    3. 細胞の回収

    4. 低張処理

    5. カルノア固定

    6. スライド作成

    7. スライドグラスの保存

      詳細な手順は以下の通り。通常培養している様々な種類の細胞に対応できるようにしたが、細胞によっては多少修正を要する場合もあるので注意すること。

  2. 染色体標本作製プロトコール

    1. 60m/m または100m/m dishに細胞を播種し、継代培養する。その際、培養液量をチェックしておく。

    2. 細胞の対数増殖期を見計らって、コルセミド溶液(10ug/ml)を1mlシリンジにて添加する。添加する量は、培養液2.5mlあたり中〜大粒1滴(約10〜20ul)を滴下する(最終濃度約0.04〜0.08ug/ml;ロットごとに最適条件を決めておく)。

    3. 培養を継続し、増殖速度に応じて、コルセミド処理の時間を決める。通常2時間程度(30分〜6時間)。

    4. 細胞を15mlチューブに回収する。接着性細胞の場合は、トリプシン処理の時間を短めにする。また、最適低張液の組成が未知の場合は、細胞懸濁液を数本に分けておく。

      (例)4等分した場合;C:K=4:1、C:K=1:1、C:K=1:4、KClのみ など

    5. 遠心1200 rpm室温 5分間の後、上清をデカントで捨てる。

    6. 低張処理を行う。最初1mlの0.075M KClのみで各チューブのサンプルを懸濁させ、次に予め設定しておいたC:Kの比率になるように総量5mlの低張液を加える。

    7. 37℃インキュベーター内にチューブを寝かせて、22分間静置。

    8. カルノア液(メタノール:酢酸=3:1)を調整し(用時調整、1時間以上経ったものは使用しない)、各チューブに1mlずつ加え、駒込ピペットで静かに混和させる。

    9. 遠心1200 rpm室温 5分間の後、上清をデカントで捨てる。

    10. カルノア液を各チューブに5mlずつ加え、駒込ピペットで混和させる。

    11. 遠心1200 rpm室温 5分間の後、上清をデカントで捨てる。

    12. カルノア液を各チューブに5mlずつ加え、駒込ピペットで混和させる。

    13. 遠心1200 rpm室温 5分間の後、上清をデカントで捨てる。

    14. カルノア液を各チューブに0.5mlずつ程度加え、駒込ピペットで混和させる。

    15. スライドグラス上にカルノア液の細胞懸濁液を展開させる(詳細は口述)。

    16. 各スライドグラスの右端に、日付、細胞名、細胞番号、ロット番号、C:Kの比率、スライド番号を表記し、2枚ずつペアでセロテープで留め、ポリエチレンの袋に封入する(ポリシーラー)。

    17. 使用時までフリーザー内(−20℃または−80℃)で保存する。