Adopted by the 18th World Medical Assembly, Helsinki, Finland, June 1964
and amended by the
〈序言〉
世界医師会のジュネーヴ宣言は、医師を「私の患者の健康は私の第一の関心事である」という言葉にむすびつける。また「人間の肉体的・精神的抵抗力を弱めるような医療を医師が行なおうとする場合、それは『患者の利益』のためだけに行なわれるべきである」と医学倫理に関する国際コードは宣言している。 人間を対象とした生物医学的研究は、診断的・治療的・予防的手段および疾病の原因と病理発生についての理解を改善するものでなくてはならない。 こんにちの医療の場では、診断的・治療的・予防的手段の多くは偶発事故を招くことを避けられないが、ことに生物医学的研究の場合はそうである。 医学の進歩は、一部分は”直接”人間を対象とした実験に最終的には依拠せざるをえない研究にその基礎を置いている。 生物医学的研究の分野においては、患者の診断と治療を本質的な目的とした医学研究と、研究対象となる人間に対しては直接の診断的・治療的価値をもたない純粋に科学的な医学研究との間の区別を認識しなければならない。 環境に影響を与えるような研究の遂行には特別の注意が必要である。 研究に用いられる動物の福祉(welfare)もまた尊重されねばならない。 科学知識の増進をはかり、悩み苦しんでいる人々を助けるためには、研究室内の実験の成果を人間に適用することが必要欠くべからざるものであるという理由から、人間を対象とする生物医学的研究を行なう医師のための指針として、世界医師会は次の勧告を作成した。この勧告は将来も引き続いて検討されねばならないものである。しかしこの基準は全世界の医師たちのための単なる指針として起草されたものに過ぎないことを強調しておかなければならない。医師たちはそれぞれの国の法律が定める刑事上・民事上そして道義上の責任を免れることはできないのである。
〈1 基本原則〉
〈2 専門的ケアに結びついた医学研究(臨床研究)〉
〈3 治療に無関係な生物医学的研究(非臨床的生物医学的研究)〉
|
NIFTY-Serve:医と社会のフォーラム(FMEDSOC)より転載しました。上農哲朗氏に感謝いたします。