【患者の権利章典】(アメリカ病院協会、1973 年)


  1. 患者は、思いやりのある[人格を]尊重したケアを受ける権利がある。

  2. 患者は、自分の診断・治療・予後について完全な新しい情報を、自分に充分理解できる言葉で伝えられる権利がある。そのような情報を<直接>患者に与えることが医学的見地から適当でないと思われる場合は、その利益を代行する適当な人に伝えられねばならない。患者は、自分に対するケアをコーディネートする責任を持つ医者はだれであるか、その名前を知る権利がある。

  3. 患者は、何かの処置や治療を始めるまえに、インフォームド・コンセントを与えるのに必要な情報を医者から受け取る権利がある。緊急時を除いて、そのような知らされたうえでの同意のための情報は特定の処置や治療についてだけではなく、医学上重大なリスクや予想される障害が続く期間にも及ばなくてはならない。ケアや治療について医学的にみて有力な代替の方策がある場合、あるいは患者が医学的に他にも方法があるなら教えてほしいといった場合には、そのような情報を受け取る権利を患者は持っている。

  4. 患者は、法律が許す範囲で治療を拒絶する権利があり、またその場合には医学的にどういう結果になるかを教えてもらう権利がある。

  5. 患者は、自分の医療のプログラムに関連して、プライバシーについてあらゆる配慮を求める権利がある。症例検討や専門医の意見を求める際、検査や治療に際しては秘密を守って慎重に行なわれなくてはならない。ケアに直接かかわる医者以外の者は、患者の許可なしにその場に居合わせてはならない。

  6. 患者は、自分のケアに関係するすべての通信や記録が守秘されることを期待する権利がある。

  7. 患者は、病院がそれをすることが不可能でないかぎり、患者のサービス要求に正しく応えることを期待する権利がある。病院は症例の緊急度に応じて評価やサービスや他医への紹介などをしなくてはならない。転院が医学的に可能な場合でも、転院がなぜ必要かということと転院しない場合どういう代案があるかということについて完全な情報と説明とを受けた後でなければ、他施設への移送が行なわれてはならない。転院を頼まれた側の施設は、ひとまずそれを受け入れなくてはならない。

  8. 患者は、かかっている病院が自分のケアに関してどのような保健施設や教育機関と連絡がついているかに関する情報を受け取る権利を持っている。患者は、自分を治療している人たちの間にどのような専門職種としての[相互の]かかわり合いが存在するかについての情報をうる権利がある。

  9. 病院側がケアや治療に影響を与える人体実験を企てる意図がある場合は、患者はそれを通報される権利があるし、その種の研究プロジェクトへの参加を拒否する権利を持っている。

  10. 患者は、ケアの合理的な連続性を期待する権利がある。患者は、予約時間は何時で医者は誰で診療がどこで行なわれるかを予め知る権利がある。患者は、退院後の継続的な健康ケアの必要性について、医者またはその代理者から知らされる仕組みを病院が備えていることを期待する権利を持つ。

  11. 患者は、どこが医療費を支払うにしても請求書を点検し説明を受ける権利がある。

  12. 患者は、自分の患者としての行動に適用される病院の規定・規則を知る権利がある。


上農 哲朗 訳

NIFTY-Serve:医と社会のフォーラム(FMEDSOC)より転載しました。上農哲朗氏に感謝いたします。