参考1

知的基盤の整備に関する進め方(案)

平成12年3月10日
研究基盤課

1.知的基盤整備小委員会

    知的基盤整備小委員会では、その検討事項として科学技術振興調整費によリ実施する知的基盤整備推進制度の推進に関する調査検討及ぴ我が国おける知的基盤整備方策に関する検討を行うこととなっている。

    現在、科学技術基本計画特別会合WGにおいて、知的基盤の整備を含めた論点整理メモ(案)が作成されたところであリ、当小委員会でも、我が国の知的基盤整備の在り方について目標を提案することは重要である。

    具体的には、関係省庁からの知的基盤整備に関する方策のヒアリングを実施するとともに、科学技術基本計画特別会合WGの論点整理メモ(案)に基づき、知的基盤整備小委員会として、関係各省庁の役割についてのコンセンサスを形成しながら、知的碁盤整備の在り方について、短期(5年後)と中期(10年後)の目標を提案していく。

    その際、産業技術審議会・日本工業標準調査会合同会議の知的基盤整備特別委員会(事務局:通産省工業技術院標準部知的基盤課)と連携しながら進めていく。

2.スケジュール

    知的基盤整備小委員会での検討は、平成12年6月までに中間報告、平成12年中に報告書の取りまとめを目指す。

    ○知的基盤整備小委員会

    • 4月中旬開催(関係省庁ヒアリング)
      • 進め方(スケジュール等)
      • 関係省庁の現状(通産、農水、厚生、文部、環境庁、理研、国土庁等)
      • 次期科学技術基本計画特別会合WGの論点整理メモ提示
    • 4月下旬開催(方向付け資料提示、自由討論)
    • 5月下旬開催(中間報告)
    • 7月中旬開催(各論詳細検討)
    • 8月開催(報告書(案)提示) 中問報告の具体的イメージ

    ◎平成10年7月17日にライフサイエンス部会脳科学委員会で取りまとめた重点指針のように今後5年、10年を見据えた方向性を示す。(別紙参照)

留意事項

  • 科学技術基本計画特別会合WGでの論点整理のまとめ(知的基盤の整備)を踏まえ、知的基盤整備小委員会で、現在の各省庁の整備状況を考慮し、今後5年、10年の方向性を提示していく。

  • 総合計画部会(仮称)では、6月頃に中間報告を作成する予定なので、それに間に合うように4月〜5月で集中的に審議を行う。

検討の根拠

    「政策委員会における重要政策課題等の審議の進め方について」(平成9年3月27日科学技術会議政策委員会決定)の(別紙)「9.知的基盤整備小委員会」の検討事項として、「知的基盤整備小委員会は科学技術振興調整費により実施する知的基盤整備推進制度の推進に関する調査検討及び我が国における知的基盤整備方策に関する検討を行う。」との記載に基づ<。

議論の進め方

    ☆科学技術基本計画特別会合WGでの論占整理のまとめ(案)の知的基盤の整備に関する記述部分を基礎として進める。
    ☆関係各省庁から整備の現状等について、ヒアリングを行うとともに、知的基盤整備特別委員会等で検討された事項等を考慮しながら、我が国の知的基盤整備の在り方について検討を行う。(全体に整合性がとれたものにする必要性あり)

議論のポイント

    ☆知的基盤の定義(我が国の知的基盤を整備するとの観点〉

    ・研究開発基盤のうち、情報基盤、施設・設備を除いたもの
     (次期科学技術基本計画の検討状況によっては対象範囲の再検討を要する。)
    ・知的基盤としては、科学技術と産業技術の両面から把握。

    ☆5年後、10年後の知的基盤の整備の方向性

    (必要なものと整備計画のあるものとの整理)


参考2

科学技術基本計画に関する論点整理(抜粋)

平成12年3月24日
科学技術会議政策委員会

1 はじめに

    現行科学技術基本計画(平成8年度〜12年度)について、科学技術会議において平成10年秋からフォローアップを実施しており、その中間取りまとめを平成11年6月の科学技術会議本会議に報告した。

    そのポイントは、大きく次の2点である。

  • 現行計画については、科学技術に対する国の研究開発投資の増加や様々な制度改革の実施の結果、研究開発の現場が大いに活性化したことが大きな成果である.しかし、今後は更に世界水準の成果をいかに多く生み出していくか、そのための仕組みはどうあるべきか、また、科学技術創造立国に向けてどのような分かり易い目標を掲げて資源の重点配分を進めていくかが大きな課題である

    平成11年6月の科学技術会議本会議において、新たな政策展開を見据えて、具体的な取組について政策委員会を中心として引き続き検討を行うようにとの総理指示を受けた。そこで、昨年秋以来、科学技術目標WG、知的基盤WG、研究システムWG、産業技術WGの4つのWGを設け検討を深め、その結果を以下の通り整理した。(各WGの論点整理を別添1〜3に添付する。)なお、この検討は現行計画のフォローアップ作業として、現状の分析・評価とその上に立った今後の政策の課題について論点整理を行ったものであり、今後の次期基本計画の本格的な検討に当たっての基礎とすべきである。

2 論点整理(4つのWGでの検討をもとに整理したもの)

     これまでの議論の中では、以下のような指摘がなされている。

    (1)科学技術をとりまく主な現状認識

    • 情報通信革命、生命科学の目覚しい進展は、これまでとは質の異なった新しい科学技術文明の時代の幕開け

    (2)研究基盤

      ア.知的基盤

         研究開発活動、経済活動の円滑化・促進に資する知的基盤整備に関しては、これまで、工業技術院の関係審議会や科学技術会議の関係する委員会を中心として検討がなされ、その結果に基づき整備が進められるとともに、学術情報センター、科学技術振興事業団等においても整備・提供が進められてきている。

         しかし、例えば、化学物質安全管理や人間生活・福祉に関する情報をとってみても、米国、欧州は、互いに競争しつつ、新たな研究の展開とそれを基にした産業化の基盤とすることを目指し、官民挙げて強力に取り組んでいる。これに対し我が国では、全体としては、我が国の研究開発を効果的に行うための基盤、あるいは、研究開発の成果を社会全体として共有・活用するシステムとしての整備が戦略的に行われているとは言い難く、データや資料・試料・試験評価方法等の分野や件数について、欧米諸国に大きく立ち後れていると言われている。

      これらを踏まえ、以下の指摘がなされた。

      • 関係省庁、国の研究機関、大学等、さらに学協会等の民間団体を含めた、国全体としての戦略的整備に向け早急な取組が不可欠である。

      • 現在整備中の計量標準・標準物質、生物資源情報、化学物質安全管理に関する情報等に加え、新たな視点に立って整備を図る必要があると考えられる分野(例えば、実験動物・系統種等が考えられる)についても戦略的方針のもと、両者の整合性にも配慮しつつ整備を促進する必要がある。

      • 現在整備が進められている分野のうち、計量標準・標準物質、各種データベース及び試験方法等に関しては、産業技術審議会と工業標準調査会の合同部会では2010年(平成22年)までに世界トップレベルの米国並みの水準を目指すとしている。このことを視野に入れ、さらに、これら以外の分野についても早急に整備の具体的方向付けが求められている。

      • 上記のデータや知見の利用に関し、知的財産権に関する問題、利用のコスト・整備を促進するようなデータ等の提供へのインセンティブ等知的基盤整備のための広い意味でのルールと環境整備を急ぐ必要がある。

      • 知的基盤の整備に関し、関係する学協会がその目的や活動の特性を踏まえつつ積極的に参画するなど、産学官の連携を強化し、その下で適切な官民の役割分担の具体的方策を打ち出す必要がある。

      • 各種の基盤だけでなく、研究の基盤となるような貴重な標本や資料、文献等の体系的整備と安定的確保のための体制の整備が、研究とその成果の活用に関して・ますます重要な意味を持つようになってきている。これらの資料等を収集・分析・保存・展示するユニバーシティ・ミュージアムの整備の促進、大学図書館等国内の拠点図書館の電子化と研究者等へのサービス提供の充実が求められる。

      • 我が国において、世界の研究者から投稿され、国際的に高い評価を受ける科学系専門誌の出現が強く期待される。例えば、生物や化学の分野では、NATUREは各国の研究者から投稿を受けて高く評価されており、各国の研究者はそこに掲載された論文を基本資料として研究に取り組むという、研究活動の世界共通の「拠り所」、「基盤」の地位を占めている。我が国研究社会がこのような専門誌を有すれば、国際的な研究社会に対して貢献するとともに、アジア諸国の研究者の研究活動をさらに活性化させる効果も期待される。このため、例えば、まず、我が国の研究成果が国際的に高く評価されている分野で、関係の学協会等の主体的努力を基として、当該専門誌が上記のような評価を確立できるよう方策を検討する必要がある。

      イ、研究情報基盤

        現行基本計画に示された当面の目標である、国立大学相互、国立試験研究機関相互の基幹的幹線速度を150Mbpsとすることはほぼ達成され、また、各種データベースの整備も着実に進展している。しかし、この間の情報通信技術の進歩はめざましく、また、研究開発活動では、国内外においてシミュレーションや観測データ、多様にメディアを利用するもの等、大量の情報を取り扱う状況が急速に発展しており、さらに整備を推進しなければ、最悪の場合、国際的な研究開発動向の中で、研究情報基盤の整備状況がネックとなって立ち後れてしまう事態も懸念されている。

      これらを踏まえ、以下の指摘がなされた。

      • 研究開発に活用される専用回線、ネットワーク及び接続される高速計算機等のハードについて、世界水準を目指した整備を引き続き推進することが必要である。

      • 大学等研究機関内のLANについては、これまでの整備を踏まえ、一層の効果的利用を促進するため、新技術の導入による高度化・高速化を含め、継続的・計画的な整備を推進する必要がある。

        また、産業界を含む各分野の利用者から、学術情報ネットワーク及び省際研究情報ネットワークを通じ、大学・国の研究機関等に蓄積された研究情報等の利用の利便向上への期待が強まっており、情報利用環境の高度化を図ることが求められている。

      この観点から、以下の指摘がなされた。

      • 今後、データベース、ネットワーク、アプリケーション等、必要なシステム整備の一層の推進が必要である。

        このため、研究成果情報を高品質な形で集積し、データベースとして整備・更新するのに必要な、データ形式の統一、データマイニングとナビゲーション機能の充実に向けた取組を強化すべきである。

      • 研究開発に関わる出版等も電子化が始まっており、電子的に投稿を受け、審査・発信する試みや、特定分野のすべての専門誌の論文をインターネット上に掲載しようとする計画も発表されている。このような世界の動向を踏まえ、国際的にも流通しうる国内の主要な学協会の論文誌等を電子化して、国内外に向けて発信するシステムの構築・運用や、大学図書館等の電子化等の推進が重要である。


科学技術会議とは?

    科学技術会議は、政府の科学技術政策の総合的な推進に資するため、昭和34年2月に科学技術会議設置法(昭和34年法律第4号)に基づき内閣総理大臣の諮問機関として総理府に設置された。

    科学技術会議設置法において、内閣総理大臣は、

    1. 科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)一般に関する基本的かつ総合的な政策の樹立に関すること
    2. 科学技術に関する長期的かつ総合的な研究目標の設定に関すること
    3. 上記の研究目標を達成するために必要な研究で特に重要なものの推進方策の基本の策定に関すること
    4. 日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申又は勧告に関することのうち重要なもの

    に関して関係行政機関の施策の総合調整を行う必要があると認めるときは、同会議に諮問しなければならず、これに対する答申があったときは、これを尊重しなければならないことが定められた。

    また、昭和39年の法改正において、諮問事項に関して生じた、答申時には予想できなかった情勢変化にも適切に対処できるよう、答申後においても、その答申が現状に即しているか、将来の施策もそれに沿って進めるのが適当かどうか等について常時調査審議を進め、必要に応じて意見の申出を行う権限が与えられた。

    その後、国全体として調和のとれた総合的な科学技術政策の展開が一層緊要なものとなってきたことから、臨時行政調査会等から科学技術会議の総合調整機能強化のための体制強化の必要性について提言がなされたことを踏まえて、昭和58年3月、科学技術会議における重要事項の適時的確な決定に資するため、学識経験議員を含む各界の有識者で構成される政策委員会が設置された。

    さらに、平成7年11月に施行された科学技術基本法(平成7年法律第130号)において、政府は、科学技術基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、科学技術会議の議を経なければならないことと定められ、科学技術会議の役割はますます重要となっている。

学技術会議政策委員会

    (1)設置の経緯

      近年では、科学技術振興のため、より具体的かつ機動的な政策展開を要する問題も増大し、科学技術会議においても、科学技術に関する諸問題について常時検討を行い、科学技術政策の適時的確な運営に資するための体制を整備することが必要とされてきた。また、経済、社会、外交等多方面において科学技術の果たすべき役割が急速に拡大し、国全体として調和のとれた総合的な科学技術政策の展開が一層緊要なものとなっきたことから、科学技術会議の総合調整機能の強化が臨時行政調査会をはじめ各方面から提言されるに至った。

      昭和58年3月、科学技術会議における重要事項の適時的確な決定に資するため、学識経験議員を含む産・学・官の有識者から構成される政策委員会が設置された。

      政策委員会 委員名簿

        委員長井村裕夫科学技術会議議員(常 勤)
        委 員石塚 貢科学技術会議議員(常 勤)
        吉川弘之科学技術会議議員(非常勤)(日本学術会議会長)
        熊谷信昭科学技術会議議員(非常勤)(大阪大学名誉教授)
        佐野陽子科学技術会議議員(非常勤)(東京国際大学教授)
        前田勝之助科学技術会議議員(非常勤)(東レ株式会社会長)
        猪瀬 博国立情報学研究所長
        大崎 仁国立学校財務センター所長
        太田朋子国立遺伝学研究所客員教授
        貝沼圭二生物系特定産業技術研究推進機構理事
        金井 務株式会社日立製作所会長
        平石次郎財団法人化学物質評価研究機構理事長
        廣田榮治総合研究大学院大学長
        藤野政彦武田薬品工業株式会社会長
        村上陽一郎国際基督教大学教授
        矢田部厚彦ソニー株式会社顧問

      (平成12年4月現在)

    (2)組 織

      [政策委員会]

      [研究調査小委員会]

      • 科学技術振興調整費により実施する重要研究課題に関する調査検討

      [研究評価小委員会]

      • 研究評価のあり方一般に関する調査検討
      • 科学技術振興調整費により実施した研究についての中間・事後の評価

      [基礎調査小委員会]

      • 科学技術政策の立案に当たって特に必要となる主要科学技術分野の動向等の基礎的調査分析
      • 科学技術振興調整費により実施する的確かつ先見性ある科学技術政策を樹立するために必要な調査分析に関する検討

      [中核的研究拠点(COE)育成委員会]

      • 科学技術振興調整費により実施する中核的研究拠点(COE)育成制度の対象となる研究機関の選定及び対象となった研究機関のCOE化の推進状況に関する調査検討

      [生活・社会基盤研究小委員会]

      • 生活・社会基盤研究の新規課題選定に係る調査検討

      [情報科学技術委員会]

      • 情報科学技術の戦略的な推進方策の具体的な実施に関する調査検討

      [知的基盤整備小委員会]

      • 科学技術振興調整費による知的基盤整備推進制度に関する調査検討及び知的基盤整備方策の検討

      [国際共同研究小委員会]

      • 科学技術振興調整費により実施する国際共同研究総合推進制度の推進に関する調査検討

      [革新技術審査委員会]

      • 革新的技術開発研究推進事業により、広く研究や技術開発に携わる国民から提案された革新的技術開発研究についての調査検討

      [国際問題懇談会]

      • 我が国の科学技術に関する国際問題全般について検討

      [産学官連携懇談会]

      • 産学官連携の円滑な推進について検討

      [特殊法人等における新たな基礎研究推進制度に関する懇談会]

      • 特殊法人等に対する出資金を活用した新たな基礎研究推進制度の運用の基本に関することについて検討

      [21世紀の社会と科学技術を考える懇談会]

      • 科学技術とそれを取り巻く社会の動向・相互の係わりについて幅広く分析を行い、今後の社会における科学技術・科学技術政策の在り方、果たすべき役割等について検討