1984年設立。当初は、対がん10ヵ年総合戦略の一環として研究資源の面から支援を行うものとして設立された。しかし、培養細胞研究資源は多くの研究者が望んでいたものであって、がん研究以外の研究を行う研究者の要望も強く、それらを特に区別することなく広く配布することとした。事業費は、中曽根民活の一貫として船舶振興会からの補助金に依存し、補助金をガン研究振興財団が得て、それを現場に再配分する形で実施された。
10ヵ年総合戦略終了(1995)後、細胞バンクをどうするかという点が大いに問題になったが、せっかく収集した資源を無駄にすることは出来ないということになり、一般会計から『培養細胞維持育成事業』として事業費が国立医薬品食品衛生研究所に付けられることとなった。しかし、これに先立ち総務庁が研究資源に関する査察を実施し、事業の重要性と維持をすることの必要性を認めた上で、頒布については無償は好ましく無いという勧告を出した。
その後、HS財団が細胞バンク事業を実施したいとの意向を示し、国立研究機関からの有償頒布は大変煩雑になるという問題点を吸収できるということになり、国立医薬品食品衛生研究所の細胞バンクがマスターバンク、HS財団が分譲バンクとして機能し、双方の共同作業としてバンクを運営するという方針が厚生省より示され、現在に至っている。
平成13年度予算において基盤研建設のための予算が急遽承認された。基盤研の設置については10年ほど前から委員会等が設置され検討されてきていたが、平成11年度に経済事情の悪化などにより暫くは建設が不可能であるという話を厚生労働省より受けていたので、平成13年度の予算承認は少々驚きだった(細胞バンクが基盤研に移転することは既に決まっていた)。
細胞バンクの運営は、人、予算、設備に大きく依存している。当初10年間は正規職員が室長1名のみで推移したが、8年め、9年目に1名づつの増員が認められ、現在3名の正職員と、4名の補助職員によって業務が遂行されているが、もうひとふんばり職員が欲しいところである。理想を言えば、正職員5名、補助職員6−10名程度が経済効率等を考えて妥当なところであると考えている。
図の注:上の図は、作者のPC上で画面に納まるよう10%ほど縮小をかけて表示するようにしてあります。そのため、文字の部分が若干潰れが目立つかもしれません。もし、読みにくい部分があるようでしたら、この図を一旦各自のPC上にダウンロードして、それをブラウザーから呼び出して頂くと正しいサイズで読むことができるはずです。一度お試しください。なお、JPGフォーマットですので、画像処理ソフトウエアで読んで頂いても結構です。但し、図の版権は細胞バンクに属しますので、転載等をしたい場合は一言お声をかけてください。