17 同型培養法


この培養法は細胞の増殖率を調べる時に利用される代表的培養方法です。

細胞をいったん浮遊状にして、試験管や培養皿に同じ細胞数になるように均一に分注すると、全部の培養が同型になるわけで、これを同型培養と言います。英語では Replicate Culture と呼ばれることから、重複培養法と呼ぶ方もおられますが、分注した全ての培養が皆同一条件で増殖しているものと考えると、重複という言葉より同型という言葉のほうが適切では無いかと私は思うのです.

さて、分注した一群を10本とし、培養を開始してから一定期間ごとに3本づつの試験管を取り出して細胞を数えます.特に付着性の細胞の場合、細胞数を計測してしまうと、計測したものについてはその後継続して培養することが出来ませんから、同型培養の一部を取り出して計測するという方法を取らざるを得ないというわけです.

ここでは、培養2日、4日、7日に3本ずつクエン酸クリスタル紫で処理して核数を数え、その3本の計数値の平均をグラフにしました.その結果1週間の増殖カーブが得られたわけです。

左図の実験は1群なので、培養液の中へ細胞を浮遊させて分注するだけでよいのですが、右図の実験では、2群の培地組成が異なるので、少し複雑になります。即ち、短試験管1本当たりの培地量は1.5ml、その中の0.5mlを両群に共通の液中に細胞を浮遊させて、分注します。残りの1.0mlは各群それぞれ濃厚培地として添加するのです。実験を始める前に計画表を作って下さい。



同型培養の培地の計算法:

培養開始日の1本当たりの計算

培養開始日は細胞浮遊液を試験管当たり0.5mlずつ分注し、濃厚培地1.0mlを添加する。

培地更新には全量の組成液として1.5mlずつ更新する。

1群10本分の計算

培地の必要量

余分をみて30本分の濃厚培地を0日に作っておく。

       牛血清    0.15ml×30= 4.5ml

       インスリン液 0.15ml×30= 4.5ml

       DM−160 0.7 ml×30= 12.0ml

(更新時はDM−160でうすめること) 計 30.0ml


細胞培養の基礎と歴史へ