25 その他の技法


染色体標本の作り方

 染色体の標本は、分裂増殖中の細胞集団でなくては作れません。染色体が分析できるように、きれいに散らばらせるには、低張処理が必要です。具体的な手順は
  1. 細胞の分裂周期をM期にためるために、コルヒチンがコルセミドを添加する。濃度は細胞によって適量が異なり、高濃度では致死的、低濃度ではM期でとまらない。
      コルヒチン0.2μg/ml〜1μg/ml(10^-4 Mは40μg/ml)又は、コルセミド0.05μg/ml〜0.2μg/ml添加。
      37℃で1時間〜6時間処理(倍加時間によって調節)

  2. 細胞を集めて遠沈(1,000〜1,500rpm)培地を捨て、低張処理をする。低張液は1%クエン酸ソーダ。細胞は低張液に浮遊させ室温で20分。

  3. 固定液(メタノール1:酢酸1)を低張液と等量静かに加え、そっと混ぜて30分放置。

  4. 遠沈して上清を捨て、沈渣(細胞)に固定液を添加。静かに攪拌し再び遠沈。この操作を2〜3回繰り返すと、細胞は完全に固定される。
    (固定液は当日作ること)

  5. 少量の固定液中に細胞を浮遊させ、50%エチルアルコール(メタノールではないことに注意)に浸したスライドグラスに滴下して乾燥。

      滴下して、点火乾燥するのが一番簡単できれいな標本ができるが、Cバンドは加熱標本では作れない。

      1m位上から滴下、または冷保存(−20℃)のスライドグラスに滴下するなどの方法では加熱の必要がない。

  6. ギムザで染色
      固定液が酸性なので、染色体は赤く染まる。
      グリーンのフィルターをかけて鏡検する。

    染色体の標本作製の文献を調べると方法が少しずつ違います。
    たとえば、固定液は メチルアルコール 1 : 酢酸 1
                       2 :    1
                       3 :    1
         低張液との混合比は 低張液 1 : 固定液 0.5
                       1 :    1
                       1 :   10
    といった具合です。
    結局、自分の使う細胞ではどの条件が一番適しているかを経験的に割り出して下さい。

    標本が出来たら封入して、顕微鏡写真をとり、焼き付けて染色体核型の分析をします。

    ヒト染色体の分析法の参考図「大きさと形による分類法」「分染法を用いた分類法」をつけておきます。

    「ヒト染色体の大きさと形による分類法」


    「ヒト染色体の分染法を用いた分類法」


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