厚生労働省は、独立行政法人医薬基盤研究所(仮称)の設置法案を来年の通常国会に提出する方針を明らかにした。2004年10月の同法施行を目指しており、05年4月にも非公務員型の独立行政法人として本格稼働させる方針だ。
厚労省は、基盤研を、医薬品開発のための基盤技術研究や研究資源の供給を目的とした研究拠点とする考えだ。予定されている業務内容は、1)ゲノム科学・蛋白質科学の基盤的技術開発、2)資源供給、3)医薬品開発に関する研究振興——の3点で、これらの業務を取り入れたかたちで立法作業を進めている。
研究施設は、大阪府茨木市の国際文化公園都市「彩都」に建設中で、来年3月完成予定。厚労省は04年度予算概算要求で、基盤研の設備整備費等として13億円を要求している。
ゲノム科学・蛋白質科学の基盤的技術開発としては、厚労省が02年度から開始したトキシコゲノミクスプロジェクトと、03年度から開始した創薬プロテオームファクトリーを推進する。このほか来年度以降、新たな研究プロジェクトにも着手する計画だ。
基盤研は当初、国立医薬品食品衛生研究所(国衛研)大阪支所を発展的改組し、これに国衛研の細胞バンクと国立感染症研究所(感染研)の遺伝子バンクを移転させる計画だった。しかし総務省から規模が小さいという指摘を受け、国立感染症研究所筑波霊長類センターと、国衛研の薬用植物栽培試験場(筑波)を加えることになった。これにより基盤研は、遺伝子、細胞から霊長類、薬用植物まで、幅広いバンク業務を担うことになる。
また当初は研究振興は業務としていなかったが、医薬品副作用・被害救済研究振興調査機構(医薬品機構)が廃止され独立行政法人医薬品医療機器総合機構に変更されるのに伴い、1つの機構で医薬品審査と研究振興を併せて行うことは適当でないとの国会決議を受け、この研究振興業務を基盤研が担うことになった。
03年度から最大十数名の研究者を新規採用へ
また厚労省は、基盤研を05年4月に非公務員型の独立行政法人として本格稼働させるため、最大十数名の研究者を新たに採用する考えだ。05年4月から非公務員になることを前提として、今年度、04年度は国家公務員として採用する。(佐原加奈子)
*厚生労働科学研究費補助金
7.疾患関連タンパク質解析研究経費研究費5億円+設備整備費30億円
*試験研究機関医薬基盤技術研究施設の整備13億円 試験研究機関の要求概要
国衛研
3.医薬基盤技術研究施設移転等経費9.87億円
4.大阪支所半紙関連経費1.28億円
5.医薬基盤研究所の設立に必要な経費(独法化経費)8274万円
感染研
3.医薬基盤技術研究施設移転等経費0.44億円
4.医薬基盤研究所の設立に必要な経費(独法化経費)2050万円