細胞培養に関する参考書


ここでは、細胞培養関連の書籍を紹介します.マニュアルも紹介しておりますが、是非関連する原著を探して目を通すようお願いします.本サーバーでも、マニュアルを補完できるよう、我が国で培養技術を確立してきてくださった諸先輩方にお願いをして、コメントを頂くよう努力しておりますので、そうしたコメントも是非参考にして頂ければと思います.

書名:細胞培養 なるほどQ&A
編者:許 南浩、組織培養学会(JCRB細胞バンク協力)
出版:羊土社
出版年:2004年
内容:
知っているようで意外に知らない基礎知識を集めて解説した本です。普段培養を行っている方でもちょっと不思議に思う気持ちが涌いた時に参考になるでしょう。トラブルが生じた時にも良いアドバイスを与えてくれると思います。培養学会と細胞バンクが協力して運営している掲示板での質問を元に項目を作成しました。


書名:Safety in Cell and Tissue Culture
編者:G.Stacy, A.Doyle, P.Hambleton
出版:Kluwer Academic Publishers
出版年:1998
内容:
1:Source materials (Glyn Stacey, Alan Doyle and David Tyrrell),
2:Cell biology aspects of safety in cell culture (Trevor Littlewood),
3:Viral contamination of cell cultures (Alan Jennings),
4:Laboratory practice (Bruce Jones),
5:Planning and design of a cell and tissue culture laboratory (Christopher Morris),
6:Quality control and validation (Alan Doyle and Glyn Stacey),
7:Containment facilities: design, construction and working practices (John Benbough and B. Andrew Curran),
8:Scale-up of animal cell culture systems (Bryan Griffiths and Wolfgang Noe),
9:Production and containment of bioreactor processes (Geoffrey Leaver),
10:Risk assessment (Heather Sheeley),
11:Safety aspects of genetic modification procedures (Caroline MacDonald),
12:International guidelines for safe packaging and transport of biological materials (Christine Rohde and Dieter Claus)

1999年10月3日


書名:分子生物学研究のための 新培養細胞実験法(改訂 第2版)
編者:黒木登志夫,許 南浩,千田和広 編
出版:羊土社
出版年:1999
内容:第1章:細胞培養実験のストラトジー,第2章:培養の準備,第3章:細胞の取扱,第4章:初代培養,第5章:細胞増殖・細胞周期,第6章:細胞社会,第7章:形態観察,第8章:生化学的分析法,第9章:遺伝子/蛋白質導入,第10章:癌細胞の特性,第11章:変異細胞と不死化細胞の分離,第12章:細胞分化


書名:Freshney's Culture of Animal Cells, A multimedia Gide
編者:R.Ian Freshney
出版:Wiley-Liss
出版年:1999
内容:同名の書籍が出版されているが,そのCD-ROM版。マルチメディアガイドとサブタイトルが付けられており,電子ファイルの特徴がフルに生かされている。特徴は,ハイパーリンクによる関連項目の容易な参照ができるようになっている点と,ビデオによる技術の解説が付けられている点である。マルチメディアの作成には Folio Views 3.0 が採用されている。

書名:ATCC Catalogue of Cell Lines and Hybridomas
編者:Robert A Hay
出版:ATCC
出版年:2年ごとに更新(有料)
内容:ATCCから提供されている培養細胞に関する全情報が掲載されている.細胞に関連する学術的情報、分譲用細胞に関する品質管理情報が掲載されているほか、培地情報なども詳細に掲載されているので、培養のテキストとしての利用価値も高い.ATCCでは、この他の研究資源に関するカタログに加えて、品質管理マニュアルなども提供している.これらは最近有料化された.

書名:細胞培養ハンドブック
編者:鈴木利光
出版社:中外医学社
出版年:1993年
内容:I.細胞培養法とは、II培養細胞を用いた種々の実験法、III細胞培養の実際とその応用、IV特殊な培養法

医学系研究者向けの、基礎から応用までをカバーした細胞培養に関する実験書で、各項目について専門家が執筆している.即戦力となる実用的な書籍.


書名:組織培養辞典
編者:日本組織培養学会、日本植物組織培養学会共編
出版社:学会出版センター
出版年:1993年

内容:学会が編集した辞典で、動物及び植物細胞の培養に関する用語の解説書として標準的書籍である.細胞培養を利用した研究に関与している研究者には必携の書籍.


書名:細胞バンク・遺伝子バンク
情報検索と研究資源の入手法
編者:日本組織培養学会 細胞バンク委員会 編
出版社名:共立出版社
出版年:1998年

内容:序章、[第一部 日本の細胞バンク・遺伝子バンク]国内細胞バンクと遺伝子バンクの相互協力、JCRB/HSRRB細胞バンク・遺伝子バンク、理研ジーンバンク、東北大学加齢医学研究所・医用細胞資源センター、生命工業技術院・特許微生物寄託センター、民間の細胞バンク、[第二部 細胞・遺伝子とその情報の入手法]JCRB/HSRRB細胞バンク・遺伝子バンク、HS細胞バンク・遺伝子バンク、理研ジーンバンク、東北大学加齢医学研究所・医用細胞資源センター、民間の細胞バンク [第三部 世界の細胞バンクと細胞の入手法]世界の主要な細胞バンク、研究資源としての細胞と遺伝子、細胞バンクの維持と情報管理、[付録]インターネットへの接続とWEB情報のナビゲーション.


書名:組織培養の技術 [第2版]
編者:日本組織培養学会編
出版社名:朝倉書店
出版年:1988年

内容:序説、培養のための準備、基本的手技、化学物理学的実験手法、各種培養技術、培養内機能・分化発現、各種臓器からの細胞の培養法、ヒト細胞の培養法、体細胞遺伝学実験法、ウイルス実験法、免疫学実験法、毒性および遺伝毒性検査法、付録.
日本組織培養学会の編集による細胞培養の入門書.教科書として最適である.


書名:組織培養の技術[第3版]、基礎編、応用編
編者:日本組織培養学会編
出版社名:朝倉書店
出版年:1996年

1. 基礎編
序説、培養のための準備・基礎知識、基本的手技、癌細胞培養法、各種臓器からの細胞の培養法、 培養内機能発現・分化誘導(I)、分子細胞生物学的手法(I)

2. 応用編
各種の培養技術、培養内機能発現(2)、分子細胞生物学的手法(2)、毒性および遺伝毒性検査法、癌研究への応用、ウイルス研究への応用、免疫研究への応用、体細胞遺伝学への応用、細胞工学的手法.

組織培養の技術[第2版]を大幅に改定して、1988年以降1996年までのおよぼ10年間にわたる発展を新たに取り入れたものである.特に、応用編として実際の実験例を多数取りいれたことで、入門書としてだけでなく、実際の研究に際しても大変参考になると思われる.


書 名:動物培養細胞マニュアル(研究テーマ別)
著者/編者:瀬野悍二、小山秀機、黒木登志男 編著
出版社名:共立出版
出版年:1993年

細胞分化、体細胞遺伝学、ホルモン・整理活性物質、増殖因子、細胞周期、突然変異・細胞毒性アッセイ、遺伝子移入と発現、癌遺伝子、ヒト癌細胞、化学物質とトランスフォーメーション、癌化学療法、骨代謝、DNA修復、ヒト2倍体細胞と老化、ヒトの遺伝疾患、リンホカイン・サイトカイニン、生化学実験、発生工学、ハイブリドーマと免疫、ウイルス発癌、ウイルス感染、神経科学、哺乳類以外の有用細胞、などに関連する培養細胞について、細胞ごとに起源、培養方法、実験方法などの概略について解説した書籍で、細胞バンクから入手する際に事前に目を通しておくと便利な書籍である。



書名:バイオ実験イラストレイテッド
著者:渡辺利雄
出版社名:秀潤社
出版年:1996年
内容:細胞株の情報を得る、細胞株を分与してもらう、培養への準備をする、培地・試薬を作成する、細胞を培養する、細胞の成長を見る、コンタミを防ぐ、細胞をクローニングする、細胞を保存・譲渡する、付録など.

始めて培養細胞を使おうという初心者向けの実用的な解説書で、図もふんだんに使われていて大変分かりやすい.しかし、いくつか留意すべき点が欠落しているので他の参考書などで補って頂きたい.
培養細胞を使用する際に問題になるコンタミ(汚染)は、マイコプラズマとウイルスによる汚染である.これらは、少々面倒な実験をしなければ汚染を確認できない点が問題の理由である.本書に記載されている一般汚染は目視によって容易に確認できて廃棄すれば問題は後に引かない.しかし、マイコプラズマやウイルスによる汚染は、汚染されたのに気が付かない場合がほとんどなので、実験を撹乱されることが多々あるので積極的な注意が必要とされている.細胞バンクに寄託される際の細胞はほとんどがマイコプラズマに汚染されており、まずはその除去が重要な仕事となっているのである.
なお、クロスカルチャーコンタミネーションも培養細胞を利用するうえでは重大な問題となるが、これも本書では触れられていない.本書で足りない部分は、日本組織培養学会編の「細胞培養の技術」が良いであろう.
ウイルスによる細胞の汚染も重要な問題であるが、国内の細胞バンクではやっと検査体制を作り始めているところである.厚生省細胞バンクはBVDV検査を試験的に始めつつあり、理研細胞バンクは、HIV検査を導入した.


書名: Culture of Animal Cells (Third Edition)
A Manual of Basic Technique
著者: R.Ian Freshney
出版社名: Wiley Liss
出版年: 1994

Contents = Biology of the cultured cell, Design and Layout of the Laboratory, Equipping the Laboratory, Aseptic Technique, Laboratory Safety and Biohazards, The Culture Environment: Substrate, Gas Phase, Medium and Temperature, Preparation and Sterilization, Disaggregation of the Tissue and Primary culture, Maintenance of the Culture: Cell Lines, Cloning and Selection of specific cell types, Physical Methods of Cell Separation, Characterization, Induction of Differentiation, The Transformed Phenotype, Contamination...... など、細胞 培養を始めるに当たって必要な事柄を網羅した良書。


書名: Atlas of Human Tumor Cell Lines
著者: Robert J. Hay, Jae-Gahb Park, Adi Gazdar
出版社名: Academic Press
出版年: 1994

内容:Quality Control and Characterization of Cell Lines, Human Glioma Cell Lines, Tumor Cell Lines of the Peripheral Nervous System, Head and Neck Tumor Cell Lines, Cell Culture of Lung Cancer, Cell Lines from Human Breast, Hepatocellular Carcinomas, Hematopoietic Cell Lines, Human Sarcoma Cell Lines in Culture, Cell Lines from Esophageal Tumors, Gastric Tumor Cell Lines, Colorectal Cancer Cell Lines, Cell LInes from Urinary Bladder Tumors, The Female Reproductive System: Cell LInes from tumors of the Human Ovary and Uterus, The Male Reproductive System: Prostatic Cell Lines, Melanocyte and Melanoma Cell Lines, Exocrine Pancreatic Tumor Cell Lines, Cell Lines from Human Germ-Cell Tumors.

編者の一人である Hay 博士は ATCC の培養部門のヘッドであり、もう一人の J-G Park 博士は、ソウル 大学のがん研究所のヘッドで、韓国に細胞バンクを設立する努力をされている.こうした編者によって作成されているため、第1章に細胞の性状確認・品質管理に関する話題を置いて、細胞の質に対する注意を喚起している点にも特徴は現れている.内容からもわかるとおり、あらゆるヒトの培養がん細胞について網羅している.


書名: Human Cell Culture Protocols
Methods in Molecular Medicine
著者: Gareth E. Jones
出版社名: Humana Press
出版年: 1996



古 典

以下は現在では絶版になっている書籍であるが、培養技術が確立しつつある時期にまとめられた、細胞培養の全般について概念と技術について詳細に解説した書籍である.現在、一部用語の混乱が生じているが、これらの書籍を学ぶことによりその原因などについて理解が深まると思われる.
書名:Cell and Tissue Culture(Fourth Edition)
編者:John Paul
出版社:E. & S. Livingstone, Edinburgh and London
出版年:1970年
注:John Paul 先生が故人となられたことから既に絶版となっていると思われるが、細胞培養の基本に関する実用的な入門書として評価が高い書籍である.

内容:I Principles of Cell Culture, II Preparation of Materials, III Special Techniques, IV Special Applications of Cell and Tissue Culture Methods
Lancet Recommendation:
We warmly recommend this excellent monograph to those seeking guidance about current tissue-culture techniques. The publishers are to be congratulated on its high quality and low price.


書名:動物組織培養法、モダンバイオロジーシリーズ 23
著者:黒田行昭
出版社:共立出版株式会社
出版年:1974年
注:現在は絶版だが重要な実験書、写真は古い本でカバーが無くなってしまったため、扉の部分を示した.

内容:
1培養のための準備、2器具類の洗浄法、3滅菌法、4平衡塩類溶液、5合成培養液、6天然物質を含む培養液、7細胞培養法、8株細胞培養法、9組織片培養法、10器官培養法、11組織再構成法、12全胚培養法、13生体内培養法、14培養組織・細胞の観察法、15培養組織・細胞の増殖度測定法、16培養細胞を用いたウイルス研究法、17細胞融合による雑種細胞形成法、18突然変異細胞分離法、19無脊椎動物組織の培養法、20細胞の保存法および輸送法.


PDFファイル

書名:組織培養
著者:木村廉著
出版社:南條書店
出版年:1947年

恐らくわが国で最も古い組織培養に関する書籍。絶版。


PDFファイル

書名:組織培養法
著者:勝田甫
出版社:納谷書店
出版年:1955年

勝田甫先生による培養技術の解説書。