ガラスアンプル開封法(事故多発のため注意)
ガラスアンプル開封法 !
破裂事故、指先の切り傷等に注意!

JCRB細胞バンク:大西清方
水沢 博


注意1

    ほとんどの細胞バンクでは,細胞の保存にガラス製アンプル、Wheaton 1.2ml CRYULE, prescored, gold band:651483、を使用していますが,これはガラス製のために,液体窒素タンクから取り出す際に爆発事故が発生すると眼などに重篤な障害を受けることがあるので注意してください!!!。重要な点は液体窒素(液相)から取り出す際に必ず長袖の実験着とフェースプロテクターを着用し,腕や顔などの皮膚を露出させないことです。布一枚でも防御効果があります。

    爆発の原因は、ガラス製アンプルを火炎で封じる際に目に見えないほど小さな穴が残ることがあり、そこから液体窒素がアンプル内に引き込まれて、室温に戻す際に急激に膨張するためであると考えられています。十分注意しているのですが、今の技術では100%防止できません。

    このような事故を防止するには、長期間の保存を行う場合以外は、気相式の液体窒素保存容器を利用するのが良いでしょう。液体窒素に漬けて保存する場合(液相式)は-196度ですが、気相式の場合は、-160度ぐらいになります。これでも十分長期間の保存に耐えます。


注意2

    このアンプルはヤスリでキズを付けることが不要になっているタイプですが、硬質ガラス製なのでかなり強く力を入れないと開封できません。そのため指先を切るなどの事故の発生も多いので注意を要します。細胞バンクでは以下の要領で開封していますので,是非参考にして注意して作業をしてください。


アンプルの開封 => 解凍培養の開始

  1. 直径 10 cm のガラスシャーレにガーゼを4ー6層ぐらいに畳んで入れてオートクレーブにより滅菌しておく(120 C, 20 min.)。

  2. 遠心管に培地(細胞添付のデータシート参照)を無菌的に約 10ml 遠心管に取り分けたものを準備しておく。

  3. 開封しようとするアンプルの頚部を70%アルコール綿で十分に清拭する。

  4. ピンセットをアルコールで火炎滅菌した後、1)で準備したガーゼの端をつまんで取りだし、4−6層に折り畳んだまま左手(右利きの方の場合)上に置き,そのガーゼでアンプル全体を包むようにして持つ

  5. 包んだガーゼの上からアンプルの頚部を両方向に引き加減にしながら折り曲げるようにして首を折る。

  6. ガーゼを静かに開いてアンプルを取りだした後、パスツールピペットなどを使用して細胞浮遊液を採取し、これを 2)で準備した遠心管に移して1000-1200 rpm で 3-5 min 遠心して細胞を沈殿させる。遠心後上澄を捨て、沈殿を新鮮培地に再浮遊する(遠心は1回)

  7. 細胞数、細胞生存率を計数した後培養を開始する。

    注意

      添付資料あるいはカタログなどに記載のない限り、解凍した細胞の再培養のスケールは、アンプル1本あたり底面積 25cm2 の組織培養用フラスコ1本、あるいは 直径 6cm の組織培養用シャーレ 1枚につき 5ml 程度の培地を目安にする。添付資料やカタログに記載した『継代時の細胞密度』は、解凍時の場合とは異なるので注意。

      細胞を極端に希釈すると、特に血液・リンパ系細胞では死滅の恐れがある。この条件で細胞の増殖を確認した上で適宜継代して下さい。