JCRB0028 A−172
◆培養上の全体的注意
- 培地:Dulbecco's modified Eagle's meium with 10% heat inactivated FCS.
- A-172 の増殖は,やや早く7日間で7〜8倍になる.
- 凍結細胞の解凍は出来るだけ短時間で終了するよう心掛ける.
- 凍結細胞を解凍して培養を開始する場合は,増殖速度のたちあがりがやや遅い場合もあるので通常よりも濃い目に播くような注意も時には必要である.(特に viability の低い時は重要).
- 継代は細胞密度が 1x10^6細胞/ml 以上になったところでおこなう.3X10^6 細胞/ml 以上の細胞密度にならないように注意する.およそ,6,7日ごとに継代培養する.
- 培地が黄色く変色する場合(pHの低下)は,すみやかに培地交換をしてpHが大きく変化しないように注意する(2,3日に1度)
- 培養開始後は,常にディッシュを顕微鏡下でよく観察し,細胞の形状,密度,コンタミの有無等を確認する.
- 使用する培地は事前に室温に戻しておいてから使用する.
- 培養に必要な器具類は事前に準備しておくこと.
- 参考書:日本組織培養学会編,組織培養の技術(第2版),朝倉書店
◆凍結細胞の解凍と培養の開始
- チューブに新鮮培地を9ml取る(無菌的に).
- 液体窒素タンクからアンプルを取り出し,すぐに37℃の水浴に移し,強く振とうしながら一気に解凍し、完全に解ける直前に氷の中へ移す.
(重要:液体窒素からアンプルを取り出す際は爆発に注意し,フェースプロテクターを付け,手や腕の皮膚が露出しないようにすること).
- アルコール綿でアンプルの周囲を滅菌し、滅菌ガーゼで包んでアンプルを開封する.
(重要:手などを切らないように注意すること)
- アンプル中の細胞縣濁液をパスツールピペットで,あらかじめ準備してある9mlの培地(1)に加えて懸濁させた後 4℃, 1000-1400rpm, 5min 遠心する.
- 上清を捨てて、細胞を新しい培地10mlに懸濁させた後 4℃, 1000-1400rpm, 5min 遠心.
- 上清を捨てて、細胞を正確な量(1.0ml)の新しい培地に懸濁させる.
- ピペットマンで20μlをサンプリングし、0.25%トリパンブルーを用いて正確に希釈して(5〜10倍程度の希釈が適当)血球計算盤を用い細胞数をカウントして viability と濃度を算出する.
- 細胞数とViabilityを考慮して、適当量の培地とともにディッシュにまく.
(生細胞密度:1〜2x10^5cells/ml 程度).
- ディッシュの蓋に日付、細胞名、継代数、細胞数を記入して、37℃の CO2 インキュベーターにて培養する.
◆培地交換
- ディッシュの培養液を吸引し,廃棄する
- 同量の新鮮培地をディッシュに加える.
◆継 代
- 10cm ディッシュ1枚あたり 5ml の PBS(-) を加え,ディッシュをゆすって細胞表面を洗う.
- PBS_(-) を吸引し,PBS(-)/0.02% EDTA + 0.25% trypsin を 2ml 加える.37℃の CO2 インキュベーターに5分間入れる.細胞がディッシュの底からはがれ,丸くなって浮遊しはじめたことを確認する.ディッシュの壁との結合が弱く,容易にはがれる.
- 培地を 5ml 加えて(trypsin の作用を止める)十分にピペッティングし,単一細胞の浮遊液にして遠心管に移す.ディッシュを顕微鏡で観察し,細胞が残存していないことを確認する.
- 4℃, 1000-1400rpm, 5 min 遠心した後,上清をなるべく残さないように吸引して廃棄する.
- 細胞を正確な量(100m/m ディッシュ1枚あたり 5ml 程度)の培地に懸濁させる.
- ピペットマンで20μlをサンプリングし、0.25%トリパンブルーを用いて正確に希釈し,血球計算盤を用いセルカウントを行う.
- 細胞数とViabilityを考慮して適当に希釈し、新しいディッシュにまき(生細胞密度:1x10^5cells/ml 程度),37℃のインキュベーターにて培養する.