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無血清培養細胞用凍結保存培地
JCRB0648:L.P3, JCRB0649:HeLa.P3 細胞など無血清細胞の凍結保存
「極東製薬:凍結保存培地、FM-1」を使用.(製品マニュアル転記)
1988年、大野らにより発表された無血清培養細胞用の凍結保存培地です.細胞の凍結保存は一般にジメチルスルオキシド(DMSO)またはグリセリン並びに血清を含む培地が広く利用されておりますが、無血清培養が盛んになるにつれ無血清状態での凍結保存用培地が望まれるようになってきました.近年、血清に代わるものとしてメチルセルロースを使用することにより精細胞の回収率を高めることが知られるようになりました.本培地はこの処方に基づいております.
この凍結保存培地は、通常の血清で培養している細胞の凍結保存にも利用できます.使用法はまったく同じです.
「組 成」(本培地1L中)
Eagle's Minimal Essential Medium(高圧滅菌用)
9.42g
メチルセルロース
2.0 g
ジメチルスルホキシド(DMSO)
200.ml
L-グルタミン
0.3g
炭酸水素ナトリウム
1.0g
蒸留水
800.ml
全 量
1000.ml
「使用方法」
本培地(製品は液体)は凍結保護剤が2倍濃度に調整されています.
本培地1本(5ml)に対して、通常の培養に使用している培養液に懸濁した細胞浮遊液を5ml加えます(1:1).または細胞浮遊液に本培地を1:1になるように加えます.
1)で作成した細胞浮遊液をセラムチューブ(ガラスアンプル)に分注し、密封してから各研究室で実施している凍結保存法に従って凍結します.細胞密度は 10^6 cells/ml 以上となるとなるようにします.
「凍結細胞の融解と裁培用の方法」
−80℃以下に保存されているアンプルを一気に37℃の温湯の中に入れて手で振りながら急速に融解します.
融解後アンプルを開封し、通常の培養液(無血清培地)で5−10倍に希釈して1000rpmで3−5分遠沈します.
上澄を捨て、通常の培養液を必要量添加して培養用容器に移して培養を開始します.必要なら、遠沈操作を繰り返して細胞の洗浄をもう一度繰り返します.一夜培養後、培養液を交換すると培養状態は良くなります.
「参考文献」
大野忠夫:細胞工学、7:171−172(1988)
T.Ohno, K.Kurita, S.Abe, N.Eimori and Y.Ikawa: A simple freezing medium for serum-free cultured cells. Cytotechnology 1:257-260 (1988)
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