試験管内ガン化
ヒトの組織から取り出して培養した正常細胞を人為的にガン化させることは大変難しいのです。人為的なガン化の方法には、①何もせずにそのまま培養を続ける、②発ガン物質(突然変異誘発剤, 4NQO, MNNG, B(a)Pなど)を与えて培養する。③ガンウイルスの遺伝子を入れたり感染させたりする。などがありますが、③の方法以外では今のところヒトの正常細胞を試験管内でガン化(不死化等の形質転換)させることには成功していません。特に発ガン物質を入れて培養してもガン化しないというのは大変興味が持たれるところです。
一方でマウス(げっ歯類)から取り出した細胞については、容易にガン化させることができることが知られています。
このことから、2つの点が重要であると考察されていると思います。
- ウイルスが原因で無いヒトの発ガンのしくみに関する考察。
- げっ歯類の細胞は色々な薬の安全性を考えるうえでの指標になっているのが現状だが、その結果をヒトに当てはめることがどれほどの意味があるのだろうかという疑問に関する考察。
大変難しい問題で、結論は得られていません。
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