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■◇■ JCRB 研究資源バンク メールマガジン
【第3号 2006/10/21】
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お知らせ:タイトルと送信者欄の文字化けを修正しました。
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◆ インデックス ◆
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細胞資源
1.事業紹介
2.新規細胞情報
3.細胞バンクが出来た頃(第2回)
実験動物資源
1.事業紹介
2.疾患モデルマウス(YPCマウス(貧毛・縮毛マウス))
あとがき
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◆1◆ ★★ 細胞バンク事業の紹介 B ★★
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細胞バンクでの品質管理と研究倫理のお話。
** 細胞バンクでの品質管理 **
細胞バンクで行っている品質管理には以下の項目があります。
1.細胞性状・形態確認
2.無菌検査
3.マイコプラズマ汚染検査
4.由来動物種確認検査
5.ヒト細胞個別識別検査
6.染色体プロファイリング
研究における信頼性向上のためにはしっかりとした品質の細胞を使うことが
必要です。特に国内細胞資源のマイコプラズマ汚染、クロスカルチャーコンタ
ミネーションの現状はかなりひどいものであり、細胞バンクに寄託された細胞
においてマイコ汚染が約20%、クロスコンタミが約8%という結果が出ており
ます。
**細胞培養を行われている研究者の方、
今一度自分の使っている細胞を見つめなおしてください**
< ★PR★ =受託検査業務=>
@ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査
A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査
受託検査は有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関する
データを取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなりますので、是非ご
検討ください。
** 研究倫理に関する活動 **
● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(3)
◇ 包括同意(2) ◇
包括同意に関しては、あまり評判が良くありません。提供者の意思を奪
う行為であるといわれて、なんとも分の悪い話しです。包括同意は、承諾
ともいえないという人もいるくらいです。しかし、公的バンクの活動にと
っては欠かすことのできない問題なので、そのことについてお話したいと
思います。
通常は、ある研究計画のために患者から細胞や組織などを提供頂く時に、
研究目的や提供組織・細胞の利用法を限定するように定められています。
しかし、公的バンクは研究資源を収集・保存して、将来の広い研究に供給して、
医学・生物学研究を活発にすることを目指しています。そして、医学の研究が
これまで保存してあった細胞や組織を「これまで思っても見なかった新しい研究
に利用ができる」ことができるようになることが、実は研究の発展なのではない
でしょうか。そのような状況がないことは、科学の進歩がないといっても良いのです。
となると、提供をいただいた過去の時点で限定した「研究目的や研究方法」のみ
にしか、将来も使えないとしたら、研究が進歩した時にはそれらの研究資源は使う
ことができなくなってしまうと思うのです。皆さんはどのようにお考えどうでしょうか。
この矛盾を何とか解決するために公的バンクがとっている対応について、
次回はお話したいと思います。
公的バンクの利用者の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
*** 研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html
ご質問やご意見があれば、是非 cell@nibio.go.jp へお寄せください。
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◆2◆ ★★ 新規細胞 ★★
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● 新規分譲細胞のお知らせ:下記細胞3株が新たに分譲可能になりました。
○ カニクイザル由来のCD4陽性T細胞株
サル免疫不全ウイルス(SIV)に高感受性な細胞株
JCRB1164:HSC-F
http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1164.htm
○ ヒト胎児性精巣由来複合型胚細胞
AFP産生能のほか、Type IV collagen, fibronectin, lamininなど
細胞外基質の産生能を保持した細胞株
JCRB1166:NCR-G1
http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1166.htm
○ ヒト間葉系細胞, 多指症患者・指由来
JCRB1161:Yub634
http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1161.htm
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● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
http://cellbank.nibio.go.jp/
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◆3◆ ★★ 細胞バンクが出来た頃(第2回) ★★
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生命科学研究に従事している方々はどのようにして研究材料を手に入れている
でしょうか?生命科学はヒトを対象にした研究からサクラの研究まで幅が広い
分野なので、研究材料の確保からが研究の始まりです。材料の確保はかなり大
変です。素性が正しい材料を使わないと良い研究はできないでしょう。
培養可能な材料は、大腸菌、枯草菌、酵母、線虫、などから培養ヒト細胞まで、
これも幅が広いものです。こうした研究材料を間違えないで使うというのは意
外に大変なのだということはおわかりでしょうか?私はうっかりものですから、
これが「あの材料だよ」と言って渡されたものが「ホントに正しいの?」と、
気になってしまう口です。神経質なのでしょうか。実は、うっかりものを自覚
しているからこそ、確かめないと不安になるということなのですネ・・・ホン
トは。
細胞バンクに赴任してすぐ(1985年)、培養の様子を見学していて、培養の腕が
立つxxxさんに『この細胞がホントに正しいかどうかはどうやって確かめる
の?』と聞いたものです(告白:実は私は細胞培養をしたことが無いのです)。
もう20年も前の話です。すると、xxxさん答えていわく、『腕ですよ!』と
おっしゃったのでした。
これを聞いて思わずウーンと唸ってしまいました。大腸菌を材料とする場合は
マーカーチェックをして、正しいかどうかの確認をしてから実験するのが慣わ
しでしたが、培養細胞ではそれをしないというのですから。
今、STR 分析法が確立して細胞の素性を確認する手段が出来ましたが、当時は
まだその前夜で、培養細胞を遺伝的に確認する方法はありませんでした。
だからこそ、腕としかいいようが無かったことはわかりますし、ちょっとした
ジョークだったのです。だからこそ、これは近い将来、細胞バンクの重要課題
となるだろうと大いに自覚したのでした。そして、その後すぐにVNTR(制限酵
素切断長多型)遺伝子による細胞同定法がテーマになりました。英国の Jeffreys
らが Natureに発表したDNAフィンガープリント法(1985)が、この流れに火をつ
けたのでした。
生物資源研究部(JCRB細胞バンク)水澤 博
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◆1◆ ★★ 実験動物バンク事業紹介 ★★
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医薬基盤研の実験動物資源バンク事業の本格開始に向けて現在ラストスパート
かけて準備しております。ご期待ください!!
医学・創薬研究を支える疾患モデル動物の分譲、関連情報の発信を行いますので、
是非ご利用ください。
**実験動物バンクの事業**
・ 疾患モデルマウスの収集
・ 収集したマウスの品質管理、凍結胚・凍結精子での保存
・ 疾患モデルマウスの分譲(生体・凍結胚での分譲を行っています。)
・ 疾患モデルマウス関連情報発信
・ 凍結胚・凍結精子の保護預かり業務(動物の情報は非公開でお預かりします)
・ 体外受精、胚移植
分譲を前提とした『寄託』と分譲をしない『保護預かり(預託)』を実施します。
医薬基盤研究所 実験動物バンクのホームページは
http://animal.nibio.go.jp/
分譲可能な動物の情報はこちらのホームページで公開しております。
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◆2◆ ★★ 疾患モデルマウスの紹介 ★★
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YPCマウス(貧毛・縮毛マウス)
YPCマウス(PC: poor coat)はSwiss albino 系マウスコロニーに発見
された1匹の被毛異常雄をもとに近交化したマウスであり、 生後まもな
く貧毛および縮毛を呈します。 正常マウスと同様、生後10日までに細く
短い毛が体表面を被うようになりますが、長い硬毛に発達しません。
2004年にYPCの原因遺伝子として、Sgk3/Sgkl/CISK遺伝子が同定されま
した。連鎖解析の結果、YPCマウスのSgk3遺伝子のnt1382の"C"が"A"に
置換されることによって、461番目のSerinが終始コドンに置換されるナ
ンセンス変異であることが分かりました。同時期にSgk3ノックアウトマ
ウスが被毛異常を呈することも報告されており、Sgk3が毛包において重
要な役割を果たす因子であることが分かりました。
さらにWnt pathwayで重要な役割を担うβ-cateninの核内蓄積がYPCマ
ウスで少ないことが示され、毛包形成におけるWnt pathwayの相互作用
の可能性も示唆されています。
詳しくはホームページをご 覧ください http://animal.nibio.go.jp/
毎号1系統ずつ疾患モデルマウスを紹介しております。分譲を希望される
方、ご興味をもたれた方は larb@nibio.go.jp までご連絡ください。
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あとがき
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日々研究に没頭されている皆さんの中には、肩こりや腰痛などに悩まされて
いる方もいらっしゃるかと思います。運動不足も原因になりますので、適度
な運動は欠かせませんね。
先日、六甲山系のロックガ−デンにハイキングに出かけました。風吹岩でか
わいい瓜坊4匹と母猪に出会いました。これからが紅葉の季節です。基盤研
近くの北摂山系の色も美しくなって参ります。より健康的な食欲の秋を過ご
すため紅葉の山に是非お出かけしてみて下さい。
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