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■◇■  JCRB 研究資源バンク メールマガジン                 
◆    【第6号 2007/ 1/21】                             
◆=========== 医薬基盤研究所・生物資源研究部
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★★新年を迎えまして、
      いっそう皆様のお役に立てる研究資源バンクとして
        一同頑張りますのでよろしくお願い申し上げます★★

◆2006年11月1日・実験動物バンク事業が正式にスタートしました。

現在は19種のマウスを保有しておりますが今年もどんどん増やします。

卵を凍結胚で保存し、動物に戻して分譲する効率的なマウス胚バンクの確
立を目指します。

皆様のお役に立つ動物胚バンク事業とするよう一同頑張りますので、宜し
くお願いします。

詳細情報はこちらへ=> http://animal.nibio.go.jp/

◆2006年12月1日。マウス129系統BACクローンの分譲開始!!!

JCRB遺伝子バンクでは、マウス129/Ola系統BACクローンのスクリーニン
グ分譲サービスを2006年12月1日より開始いたしました。

詳細情報 → http://genebank.nibio.go.jp/gbank/bac_mouse.html

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◆ インデックス ◆
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T細胞バンク事業

1.事業紹介
2.新規細胞情報
3.細胞バンクが出来た頃(第6回:まずは培養細胞管理データベースの作成)

U遺伝子バンク事業

V実験動物バンク事業

 事業紹介

Wあとがき

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◆T◆  ★★ 細胞バンク事業の紹介E ★★
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細胞バンクでの品質管理Bマイコプラズマ汚染検査と研究倫理のお話。

** 細胞バンクでの品質管理B **

細胞の品質管理の中でマイコプラズマ汚染検査を実施しております。
培養細胞のマイコプラズマ汚染は培地が濁ることもなく細胞と共存してし
まうために研究者は、なかなか汚染には気づきません。細胞バンクに寄託
された細胞の約20%程度が汚染されており、研究の信頼性において深刻
な問題となっています。

マイコプラズマの検出法にはいろいろな種類がありますが、細胞バンクで
は指標細胞(Vero)を用いた蛍光染色法とネステッドPCR法の2つの方法で
検査を行っております(詳細はホームページ参照)。
また、最近は高感度で非常に簡便な検査キットも販売されています。
是非、一度自分の使っている細胞を調べてみて下さい。

  < ★PR★ =受託検査業務=>
   @ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査
   A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査

 受託検査は有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関す
 る データを取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなります
 ので、是非ご検討ください。

** 研究倫理に関する活動 **

 ● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(6)
            
◇ 匿名化と包括同意の問題 ◇

昨年は、包括同意について解説しました。今年はそれに対するJCRB細胞
バンクの対応についてお話して行きたいと思います。

細胞バンクが培養・保管・管理する細胞は誰がどのように使うかが予測
できない状態で保存されます。これまで決まりきった利用しかできなか
ったものについて、「こんな新しい、思いもしなかった利用法がある」
ことを示すことが、科学研究の進歩です。それを支えようとしているの
が細胞バンクです。

この前提があるために、細胞バンクの細胞は誰のものであるかわからな
いように匿名化することにより、提供者のプライバシーを保護しています。

誰のものであるかわからないようにしたことで、個人に関する情報(例えば
「胃がんの細胞ですよ」)は個人情報ではなくなります。しかし、個人識別
性がなければ、どのような取り扱いをしてもよいというわけではありません。
誰のものかわからないものでも、大切に取り扱う必要があるのです。

現在取り扱いに関して特に厳しい規制があるのはヒトES細胞です。これは、
人の萌芽であるヒト胚を滅失して作成され、且つ人個体を作る潜在能力があ
ると考えられているからです。

1970年代イルメンゼーという研究者がマウスのがん細胞からマウスの個体を
作ることに成功したと発表し、大きな話題になりました。この研究は結局
「いつわり」であったとして、今は認められていません。そのときに、私た
ち学生は、これはすごいといって、喜んでいたのですが、その結果が本当で
あったら、がん細胞も今のES細胞のように厳しく規制されていたかもしれな
いのです。科学的な結果によって、細胞の取り扱いに違いがでる場合もある
のです。

また、細胞のようなデリケートなものだと、いくつもの条件下で用意して、
実験の時にもっともよい状態の細胞を利用するのです。研究では注意深く
「誰のものだかわからない細胞」を大切に利用するということになるのです。
細胞バンクが細胞の品質管理に力点を置くのは、「注意深く研究する」研究
者を支えるという細胞バンクの責務を重視しているからです。

**2007年新春展望を日経バイオテクのWebに掲載しております。

http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/genome.jsp?jreq=btjnews&id=20041178&pg


*** 研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
  http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html

ご質問やご意見があれば、是非 cell@nibio.go.jp へお寄せください。


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◆2◆  ★★    新規細胞    ★★
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● 新規分譲細胞のお知らせ:下記細胞3株が新たに分譲可能になりました。

○ チンパンジー末梢血リンパ球由来(Herpesvirus saimiri)

  JCRB1165:HSP-239
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1165.htm

  JCRB1177:HSP-250
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1177.htm

○ マウス骨芽細胞様株

  JCRB1181:9-15c
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1181.htm


♪☆=--=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-♪☆

● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
   http://cellbank.nibio.go.jp/


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◆3◆  ★★    細胞バンクが出来た頃(第6回)    ★★
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まずは培養細胞管理データベースの作成

細胞バンクが出来た当時(1985年)、色々なことがあったことが改めて思い
出されます。それまで私は微生物(大腸菌)を使って研究をしていたので、
細胞培養の経験はありませんでした。これは私の負い目になっておりました。
おまけに、それまで定職についていなかった私に突然6000万円もの研究費
(名目は研究費ですが実質的には細胞バンクを構築する事業費です)が付い
たのですから、大変なことになったとビビッたものでした。

そして、この6000万円の研究費がどういう目的で支出されているのかを考え
たものでした。『研究費』という名目ですからどのように使っても良かった
のかもしれませんが、10年後20年後に細胞バンクがうまく稼動していないと
すれば大変なことになると考えたものです。特に私は『細胞培養の専門家』
ではありませんでしたから、個々の細胞をどうするかというよりは、細胞バ
ンクというシステムの構築を常に考えておりました。

そして、当時キーとなるだろうと考えた課題が、培養細胞情報のデータベー
ス化でした。というより、当時本格的なビジネス用コンピュータを導入して
大掛かりなシステムを構築すれば1億以上はかかったのではないかと思いま
すが、その数年前に登場したパーソナルコンピュータを使って低価格で安定
な細胞管理データベースシステムを構築しようと考えたのです。そこで考え
た結果、40万円でIBM PC/ATの互換コンピュータを導入して、dBASEIIを使っ
て培養細胞データベースとその管理プログラムを構築したのです。プログラ
ムの作成は大学生のアルバイトとしてお願いをしてプロトタイプのプログラ
ムを作成しました。総額200万円ぐらいではなかったでしょうか。

プログラムは、各細胞の、学術的情報、培養記録情報、在庫管理情報の3つ
の情報と、細胞を提供する利用者のデータベース化と細胞に関連する文献情
報のデータベース化を果たしました。このデータベースによって細胞の分譲
作業がスムーズに行えた他、カタログの作成や資金提供先のがん研究振興財
団などへの報告書の作成に威力が発揮されました。少人数で仕事をしなけれ
ばならない状況でしたので、登場したばかりのパーソナルコンピュータとデ
ータベースプログラムには大変助けられました。

実は細胞の収集を開始するまでの数ヶ月の間にやった仕事がこれでした。情
報を記録するシステムを作っておかなければ業務は大混乱することになるだ
ろうと恐れたのです。そして、このシステムを核として、後の画像データベ
ースやWEBによる細胞情報の公開に至ったのです。


              生物資源研究部(JCRB細胞バンク)水澤 博 

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◆U◆  ★★ 遺伝子バンク事業 ★★
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■ マウス129系統BACクローンの分譲開始

JCRB遺伝子バンクでは、マウス129/Ola系統BACクローンのスクリーニン
グ分譲サービスを2006年12月1日より開始いたしました。この BACクロー
ンは東海大学医学部大塚先生より寄託を受けたものです。

129/Ola系統はES細胞作製に用いられるマウスの系統で、そのBACクローン
はトランスジェニックマウスやノックアウトマウス作製に有用です。納期、
価格、スクリーニング方法についての詳細はWebサイトをこ参照ください。

http://genebank.nibio.go.jp/gbank/bac_mouse.html


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◆V◆  ★★ 実験動物バンク事業 ★★
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医薬基盤研究所では2006年11月に実験動物資源バンク事業を正式に開始い
たしました!疾患・創薬研究を支える疾患モデル動物の分譲、関連情報の
発信を行いますので、是非ご利用ください。

**実験動物バンクの事業**

○疾患モデルマウスの収集/収集したマウスの品質管理・凍結胚での保存

○疾患モデルマウスの分譲
マウス胚50個/チューブを融解し、胚移植後、生まれた産仔すべてを
分譲します。(97000円/1件)

○凍結胚・凍結精子の保護預かり業務
(動物の情報は非公開でお預かりします)
クライオチューブ4本保管で11000円/1年
  ストロー16本/1年保管で11000円/1年

○疾患モデルマウス関連情報発信

**凍結胚・凍結精子の保護預かりサービスのご案内**

保護預かりサービスは、マウスから凍結胚・凍結精子を作製し、保管する
サービスのことです(もちろん凍結胚・凍結精子作製技術をお持ちの場合
は、チューブあるいはストローを送っていただくことも可能です)。
マウス系統情報は非公開で、各研究者が所有権を維持したままであり、
第3者に分譲することはありません。

・・・では、凍結胚・凍結精子どちらで預けたらよいのでしょうか?

○ 保護預かり依頼した資源から「頻繁に生体を作出する」予定がある場合
は、「凍結胚」で預けることをお薦めします。その理由は、「凍結胚」
保存・胚移植は、技術的にも安定しており、効率よく生体作出できるか
らです。・・・それに比べ、精子は凍結すると受精能が顕著に低下しま
すので、体外受精を行っても得られる胚の数は少なく、生体として分譲
できる個体数が少なくなります。
○ 今後、「生体にする可能性が低い」場合は、費用が安い凍結精子で十分
です。例えば、コンジェニック作成過程で万が一に備えての保存という
場合などにご利用ください。

医薬基盤研究所 実験動物バンクのホームページ
http://animal.nibio.go.jp/

分譲可能な動物、サポートサービスの情報はこちらのホームページで公開
しております。


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あとがき
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お正月はゆっくり過ごし、リフレッシュされましたでしょうか。
お正月と言えばお餅がつきものですが、先日餅つき会に参加しました。
定番の雑煮、きな粉もち、ぜんざいなど以外にバナナチョコの入っ
た餅、チキンラ−ンをまぶした餅、たこ焼き餅(甘辛く煮詰めた蛸が入っ
た餅にマヨネ−ズとソ−スをかけた物)などの変わり種もありました。こ
の変り種は、子供たちのアイデア作でした。とてもおいしくて、あっと言
う間に、なくなっていました。意外なものの取り合わせは実験にも通ずる
ところがありますね。

今年も皆様にとって実り多き年でありますように。


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★ JCRB e-mag へのご意見・お問い合わせ先:
  (独)医薬基盤研究所 メールマガジン発行事務局
  メール: cell@nibio.go.jp

★ 細胞分譲の依頼先
  (財)HS研究資源バンクまでどうぞ。親切丁寧に対応いたします。
  メール: hsrrb@osa.jhsf.or.jp
  
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★ 発信元
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独立行政法人医薬基盤研究所
◆ 細 胞 バ ン ク (http://cellbank.nibio.go.jp/)
◆ 遺伝子バンク (http://genebank.nibio.go.jp/)
◆ 実験動物バンク (http://animal.nibio.go.jp/)
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