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■◇■  JCRB 研究資源バンク メールマガジン   
◆    【第8号 2007/ 3/22】         
◆=========== 医薬基盤研究所・生物資源研究部
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◆♪∽高発がん性遺伝病患者由来細胞コレクション(京大放生研)♪∽◆

京都大学放射線生物研究センターは、厚生労働省細胞バンク事業開始以来、
提携機関として事業に協力頂いてきましたが、当該研究所で1970年代から
収集してきたコレクションは、発がんの遺伝的背景の解明に役立つ日本人
における高発がん遺伝病患者とその家系に由来する細胞です。
このたびこれらの細胞を広く公開して、疾患の解明ならびに治療法の確立
などの研究に役立てていただくことを目的に、医薬基盤研究所・JCRB細胞
バンクに寄託されることになりました。

細胞は、現在移管作業が終了してリストの整理が終わった段階です。品質
管理と分譲用細胞の作成はこれから開始するところで、まだ資源として配
布できる体制にはなっておりません。細胞の種類が膨大なため、満遍なく
作業を行うことはかえって非効率的ですので、まずは概要のリストを公開
し、分譲の希望が出てきた細胞から順に作業を開始したいと考えておりま
す。従って、興味のある細胞がありましたらJCRB細胞バンクまでご相談く
ださい。あまりに希望者が多い場合には必ずしも御希望に添えないことも
生じるかもしれませんが、出来るだけご希望に添えるよう努力したいと考
えております。

お問合せはFAX又はメールでお願いいたします。
医薬基盤研究所、生物資源研究部、細胞資源研究室
〒567-0085 大阪府茨木市彩都あさぎ 7-6-8
FAX:072-641-9851, e-mail:cell@nibio.go.jp

◆♪∽名称変更のお知らせ♪∽◆

2006年11月に開始した医薬基盤研究所実験動物研究資源バンクは

2007年4月より「疾患モデルマウスバンク」となります!

疾患・創薬研究を支える疾患モデルマウスの分譲、サポートサービス、
関連情報の発信を行いますので、是非ご利用ください。


◆♪∽今年は大阪で日本組織培養学会を開催します∝♪◆

    日本組織培養学会ホ−ムペ−ジ => http://jtca.umin.jp/ 

日本組織培養学会第80回大会は(独)医薬基盤研究所 生物資源研究部
細胞資源研究室が主催し、北摂の中心地、千里中央にあります千里ライ
フサイエンスセンタ−にて開催する運びとなりました。参加型プログラ
ムとしまして、マイコプラズマ検査を実施いたします。是非多くの研究
者の方々に参加していただき、学術、人的交流のお役に立てればとスタ
ッフ一同準備をさせていただいております。

【開催日】 平成19年5月14日(月)・15日(火)
【場所】  千里ライフサイエンスセンタ−
         => http://www.senri-lc.co.jp/lc-index.html
【最寄駅】 千里中央駅
     〔北大阪急行(地下鉄御堂筋線経由)または大阪モノレ−ル〕 
         
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◆ インデックス ◆
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I 細胞バンク事業
1.事業紹介
2.新規細胞情報
3.細胞バンクが出来た頃
(第8回:バンク事業の確立)

II 遺伝子バンク事業
事業紹介

III 実験動物バンク事業
事業紹介

IV あとがき

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◆T◆  ★★ 細胞バンク事業の紹介(8)★★
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細胞バンクでの品質管理(5)ヒト細胞個別識別検査と研究倫理のお話。

** 細胞バンクでの品質管理(5) **

細胞の品質管理の中でヒト細胞個別識別検査を実施しております。培養細胞
のクロスコンタミネーション(混入や置き換わり)は複数の細胞を同時に扱
う場合に注意しなければならないことです。特に細胞の形態が似ている細胞
は気付かないうちにコンタミしてしまいます。

細胞資源研究室ではプロメガ社製PowerPlex1.2システムで当バンクが保有す
るヒト由来細胞のゲノム上(9ローカス)のShort Tandem Repeat数をデータ
ベース化しています。このデータベースを用いることで、新しく寄託された
細胞がこれまでに樹立されている他のどの細胞とも異なる細胞であると証明
することができます。

研究室に代々受け継がれている細胞はいつ、誰が、どんな使用をしたのか、
わからないものがあると思います。自分がコンタミをさせていなくても、最
初からコンタミしていたら別の細胞になっているかもしれません。
是非、一度自分の使っている細胞を調べてみて下さい。

 < ★PR★ =受託検査業務=>
   @ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査
   A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査

 受託検査は有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関す
 る データを取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなります
 ので、是非ご検討ください。

** 研究倫理に関する活動 **

 ● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(8)
 
ヒト由来の研究資源を二次利用、第三者提供することは、個人情報保護法の
考え方から禁止されていると述べました。今回は、ほかの原則から考えたら、
どうして二次利用や第三者提供が禁止されているかについて考えてみたいと
思います。この話しは、思っているより複雑です。ゆるゆると参りましょう。

現在、人体から由来する研究資源の利用は、次の3つの柱を持つ研究倫理指針
によって支えられているというお話しをしました。
 1.自己決定による研究への提供
 2.倫理審査委員会による審査
 3.個人情報の保護

ここで、自己決定というのは、インフォームド・コンセントというプロセス
を研究者と提供者が行うことを意味します。私が「『私のもの』を研究に関
する説明を受けて納得した上で、研究に提供する」といういうものです。

倫理審査委員会の原理は、合議制の原理であり、ひとりの人間が決められる
ものではありません。倫理と科学の側面から研究計画の妥当性を審査し、こ
の研究の実施は妥当性を持つと判断するのです。「妥当性」がどのようなも
のを意味するかは状況によって大きく異なります。現在は、指針を規範とし
て考えるのですが、幾つかある指針が異なった考え方に依拠しているので、
適応指針を考えその範囲で議論するということが行われます。ここで、大事
なことは最初に申し上げた、合議性で、妥当性という基準で判断されること
です。

1と2は同じようなことをいっているように思われます。ところが、1の自
己決定においては、それが妥当性を持つとだれか別の人が、あるいは別の人
たちが判断することはできないのです。それが典型的に示されているのは、
理由を示す必要がなく研究参加を撤回できるということです。もし、倫理審
査委員会が、一旦行った審査結果を撤回しようとすれば、理由が求められま
す。そして、その理由が周りの一般的な判断力を持った大人が見て「妥当」
であることが厳しく求められます。

今回、強調したいのは、自己決定ということと、合議性によって行われる倫
理委員会の審査が異なった原則やレベルの原則により成り立っていることで
す。その2つを並べたときに、どうしても自己決定の持つ力が強いのです。い
やだという提供者から研究試料を得ることができるのは、集団にとっての脅
威、例えば鳥インフルエンザなどの脅威となる感染症や、犯罪行為に係わる
場合だけです。

この次には、ここで述べた明らかな人権の抑制が行われる場合と、研究資源
の二次利用や第三者提供がどのような関係にあるか考えてみたいと思います。

*** 研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
  http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html

ご質問やご意見があれば、是非 cell@nibio.go.jp へお寄せください。


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◆2◆  ★★    新規細胞    ★★
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● 新規分譲細胞のお知らせ:下記細胞3株が新たに分譲可能になりました。

○ ヒト骨髄腫由来細胞株, B細胞分化後期段階の細胞株

  JCRB1179:KMS-11
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1179.htm
  

  JCRB1180:KMM-1
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1180.htm
  ⇒λ-chain産生能がある

JCRB1185:KMS-21BM
  http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1185.htm

♪☆=--=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-♪☆

● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
   http://cellbank.nibio.go.jp/

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◆3◆  ★★    細胞バンクが出来た頃(第8回)    ★★
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**バンク事業の確立**

話がだいぶ脱線してしまいました。思いつくまま話を進めると、趣味に走っ
てしまいます・・陳謝。

さて、細胞バンクが発足した当時、どのようにバンク事業を進めるかが重要
なポイントとなりました。それにしてもやはりモデルになるのはアメリカの
システムです。アメリカではATCCが大変有名で多くの方がご存知と思います
が、CIMRというヒトの初代培養細胞を主に集めている細胞バンクもあります。
歴史的にはCIMRのほうが古く、研究活動のほうに重点を置いているのですが、
ATCCはNIHの資源部門のような働きもしておりまして、品質管理や標準細胞
の確立に重点を置いた運営をしています。HeLaコンタミという問題が発生し
たときに、ATCCが徹底的に調査をしたことはアメリカでは有名です。

そういったものをお手本にしながら、私達は、国内で最初に設立する細胞バ
ンクなので、細胞の標準化や品質管理に重点を置いた、ATCCに近い活動にす
るのが良いのではないかという議論をしました。

そこで、マイコプラズマ検査、アイソザイムによる動物種確認をまずスター
トさせましたが、細胞の収集をどう進めるかが問題でした。研究者にとって
自分が樹立した細胞は分身のようなものですから、強制的にご提供ください
といってもおいそれと出せるものではありません。そこで、バンクに提供す
ることで細胞の樹立者の方々にも大きなメリットがあるということを示して
寄託したくなるような細胞バンクとしなければならいだろうと直感はしたの
ですが、待っていて集まってくるものではありません。そこで、細胞培養に
実績のある先生方にお手伝いを頂き、細胞バンク提携機関として運営などに
ついて意見を頂くのと同時に細胞の提供も頂くというお願いをしました。そ
の結果、医科学研究所、横浜市立大学木原研究所、京都大学放射線生物研究
センター、放射線影響研究所、東京都老人総合研究所、岡山大学医学部、食
品薬品安全センター秦野研究所の7機関にご協力いただきました。この体制
で対がん10ヵ年総合戦略での細胞バンク事業を進め、細胞をおよそ500種類
収集して年間分譲件数を4500アンプルまでゆきました。無償だったこともあ
っての4500アンプルの分譲ですが、それなりの成果があがった最初の10年間
でした。

             生物資源研究部(JCRB細胞バンク)水澤 博 

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◆U◆  ★★ 遺伝子バンク事業 ★★
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■ マウス129系統BACクローンの分譲開始

JCRB遺伝子バンクでは、マウス129/Ola系統BACクローンのスクリーニン
グ分譲サービスを2006年12月1日より開始いたしました。この BACクロー
ンは東海大学医学部大塚先生より寄託を受けたものです。

129/Ola系統はES細胞作製に用いられるマウスの系統で、そのBACクローン
はトランスジェニックマウスやノックアウトマウス作製に有用です。納期、
価格、スクリーニング方法についての詳細はWebサイトをこ参照ください。

http://genebank.nibio.go.jp/gbank/bac_mouse.html


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◆V◆  ★★ 実験動物バンク事業 ★★
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**疾患モデルマウスバンクの事業**

○疾患モデルマウスの収集/収集したマウスの品質管理、凍結胚での保存
○疾患モデルマウスの分譲
  マウス胚50個/チューブを融解し、胚移植後、生まれた産仔すべてを
  分譲します。  (97000円/1件)
○ 凍結胚・凍結精子の保護預かり業務
  (動物の情報は非公開でお預かりします)
   ・クライオチューブ4本保管で11000円/1年
   ・ストロー16本/1年保管で11000円/1年
  凍結胚・凍結精子作製サービスも行っております。
○疾患モデルマウス関連情報発信

**疾患モデルマウスの紹介**

C57BL/6-Dll3oma マウス(別名omaマウス)
資源番号:nbio022
由来:岡山大学大学院自然科学研究科
樹立者・寄託者 :国枝哲夫先生
分譲条件:提供承諾書が必要

omaマウスは、岡山大学農学部において維持されていたC57BL/6J、C3H、DBA/2、
BALB/c系統を由来とする四元交雑系統において発見された骨格異常を呈する
突然変異マウスです。
omaマウスは、椎骨の著しい変形と融合、そして肋骨の変形および分岐が生じ
ます。omaマウスの表現型は、Delta-like3(Dll3)遺伝子の第8エクソン内に生
じた一塩基置換により、 409番目のアミノ酸残基グリシンがシトシンへ変化す
ることに起因することが明らかとされています。C57BL/6-Dll3omaはこのomaマ
ウスをC57BL/6Jに17世代の戻し交配を行うことにより作出されたコンジェニッ
ク系統です。

医薬基盤研究所 疾患モデルマウスバンクのホームページ
http://animal.nibio.go.jp/

分譲可能な動物、サポートサービスの情報はこちらのホームページで公開して
おります。

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あとがき
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当研究所のある彩都では、3月19日からモノレ−ルが利用可能となりました。
最寄の駅は彩都西駅です。駅の周辺には商業施設が出来、お買い物も便利に
なり、お食事できる場所も増え、少しずつですが利便性も高まっています。
モノレールの開通に伴って彩都の住民、彩都に会社のある通勤者など少しず
つ賑わいを見せています。4月には大きなマンションの入居も始まることです。
今後のますますの発展を期待したいものです。
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☆☆      JCRBメ−ルマガジンへのアクセス      ☆☆
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★ JCRB e-mag へのご意見・お問い合わせ先:
  (独)医薬基盤研究所 メールマガジン発行事務局
  メール: cell@nibio.go.jp

★ 細胞分譲の依頼先
  (財)HS研究資源バンクまでどうぞ。親切丁寧に対応いたします。
  メール: hsrrb@osa.jhsf.or.jp
  
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★ 発信元
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独立行政法人医薬基盤研究所
◆ 細 胞 バ ン ク (http://cellbank.nibio.go.jp/)
◆ 遺伝子バンク (http://genebank.nibio.go.jp/)
◆ 実験動物バンク (http://animal.nibio.go.jp/)
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