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■◇■ JCRB 研究資源バンク メールマガジン
◆ 【第30号 2009/2/26】
◆ ===== 医薬基盤研究所・生物資源研究部
◆ http://cellbank.nibio.go.jp/cellbank.html
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メルマガバックナンバーは細胞バンクのホームページに掲載しております。
( http://cellbank.nibio.go.jp/information/magjcrb/ )
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◆ インデックス ◆
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I JCRB細胞バンク
1.事業紹介
=日本におけるヒトiPS細胞研究標準化=
=JCRB細胞バンクからのお知らせ=
=ヘルシンキ宣言2008年ソウル改正について(2)=
2.新規細胞のご案内
II 実験動物バンク事業
1.事業紹介
2.疾患モデルマウスの紹介
【SIK2-KOマウス】
III あとがき
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◆I◆ ★★ 細胞バンク事業 ★★
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** 日本におけるヒトiPS細胞研究標準化 **
1998年にThomson教授 らによりヒト胚性幹(ES)細胞が樹立され、米、英
国など国際的には、さかんにヒトES細胞研究が進められています。さらに、
2007年に山中教授らによりヒト人工多能性幹(iPS)細胞が開発されました。
ヒト iPS 細胞を自分で作製して培養しているという研究者も増えつつあるの
ではないでしょうか。米国や英国を中心としたEUでは、ヒトES細胞研究の情
報交換も頻繁に行われており、ヒトiPS細胞を培養することも、さほど問題に
はならないでしょう。しかし、日本においては、ヒト ES 細胞の使用経験の
ある研究者は少なく、また、情報交換もさかんではありません。このような
状況では、ますます日本は遅れるばかりです。そこで、私が英国に短期間で
すが滞在して得たヒト ES 細胞についての知識を簡単にまとめて総説を書き
ました。この総説では、ヒト ES、iPS細胞についての基本的な培養方法につ
いて紹介してあります。ご興味のある方は、お読み頂けたらと思います。
日本組織培養学会 ‘組織培養研究’ 第27巻4号2008年12月号 p139-147
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jtca/27/4/27_139/_article
(古江−楠田美保)
** JCRB細胞バンクからのお知らせ **
◎全国調査継続実施中(無償でマイコプラズマ汚染検査を行います)
http://cellbank.nibio.go.jp/fieldtest/
< ★PR★ =受託検査業務=>
@ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査
A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査
受託検査は有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関す
るデータを取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなりますの
で、是非ご検討ください。
** 研究倫理に関する活動 **
● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(30)
ヘルシンキ宣言2008年ソウル改正について(2)
先回に続いて、ヘルシンキ宣言の改正について紹介します。
http://www.med.or.jp/wma/helsinki08_j.html
もう一つの特徴は、2000年版で取り入れられた、「個人を特定できるヒト
由来の試料およびデータの研究」について、明確な規定が与えられたこと
である。生きている人間を丸のままで研究対象とする文字通りの「臨床研
究」と「個人を特定できるヒト由来の試料およびデータの研究」をともに
「医学研究」と2000年版は位置づけている。それは、人体から離れた資料
(モノと情報)の取り扱いについて、「臨床研究」に準じる厳しい方針を
示したという側面があると同時に、現在の研究技術の進歩の中で、人体か
ら離された資料であっても、まるのままの人間についての情報を十分に引
き出すことができることへ注意を喚起した点で有用ではあった。しかし、
実際に研究の現場の混乱もあり、人体への侵襲(ある種の観察研究も含ま
れると思うが)を伴う研究と、侵襲の無い研究での区別を付ける必要が生
じていた。
そこで、ヘルシンキ宣言の第25条に、新しく以下のような条文が書き込ま
れた。
「第25条 個人を特定しうるヒト由来の試料またはデータを使用する医学研
究に関しては、医師は収集、分析、保存および/または再利用に対する同意
を通常求めなければ ならない。このような研究には、同意を得ることが不
可能であるか非現実的である場合、または研究の有効性に脅威を与える場合
があり得る。このような状況下 の研究は、研究倫理委員会の審議と承認を
得た後にのみ行うことができる。」
ここで注目されるのは、資料についての同意が無い場合の取り扱いについて、
3つの場合が書かれている。
@ 同意を得ることが不可能である場合
A 同意を得ることが非現実的である場合
B 同意を得ることが研究の有効性に脅威を与える場合
日本の指針においては、Bの場合は考慮対象となっていない。この点は、興
味深い。
ヘルシンキ宣言が第6条「人間を対象とする医学研究においては、個々の研究
被験者の福祉が他のすべての利益よりも優先されなければならない」と述べ
ていることと、どのような整合性を取るのか。また、このようなある種の矛
盾を含むがゆえに、宣言は最初の部分で「本宣言は、総合的に解釈されるこ
とを意図したものであり、各項目は他のすべての関連項目を考慮に入れず適
応されるべきではない」と述べる必要があったと考える。
(増井 徹)
研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html
ご質問やご意見があれば、是非 cell@nibio.go.jp へお寄せください。
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◆2◆ ★★ 新規細胞 ★★
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● 新規分譲細胞のお知らせ ●
○抗17α-hydroxyprogesterone抗体産生
(サブクラスIgG(κ))マウスハイブリドーマ細胞株
JCRB1316.1: OHP57.G6.1
http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1316.1.htm
○ヒト慢性骨髄性白血病患者由来骨髄細胞株
JCRB1317:KCL-22
http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1317.htm (近日公開予定)
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● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
http://cellbank.nibio.go.jp/
(小原 有弘)
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◆II◆ ★★ 実験動物バンク事業 ★★
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●日本のマウス・ラット資源のデータベースであるJMSR(Japan Mouse/Rat
Strain Resources Database)に新規マウス系統を追加しました。
現在、67系統が利用可能です。詳しくはJMSRのページ
(http://www.shigen.nig.ac.jp/mouse/jmsr/top.jsp)をご覧下さい。
1.疾患モデルマウスバンクの事業
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○疾患モデルマウスの収集/収集したマウスの品質管理、凍結胚での保存
◆★疾患モデルマウスの寄託をお願いします!★◆
○疾患モデルマウスの分譲
マウス胚50個/チューブを融解し、胚移植後、生まれた産仔すべてを
分譲します。 (97000円/1件)
○凍結胚・凍結精子の保護預かり業務(動物の情報は非公開で預かります)
クライオチューブ4本保管で 11000円/1年
ストロー16本/1年保管で 11000円/1年
凍結胚・凍結精子作製サービスも行っています。
○疾患モデルマウス関連情報発信
2.疾患モデルマウスの紹介
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【SIK2-KOマウス】
別名: C57BL/6 SIK2-KOマウス
資源番号:nbio071
由来:株式会社プロテイン・エクスプレス
樹立者・寄託者:高木広明先生
分譲条件:提供承諾書が必要
AMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)ファミリーに属する蛋白リン酸化酵素
であるSIK2のノックアウトマウスです。 SIKはアルドステロンの合成調節に
関わる因子として高塩食を投与したラットの副腎から単離され,塩誘導性キ
ナーゼ(Salt Inducible Kinase, SIK)と名付けられ,SIK1, SIK2, SIK3の
3つのアイソフォームがあります。 SIK2は脂肪細胞で高発現しており,また
インスリンシグナル伝達への関与も示唆されていることから, SIK2-KOマウ
スは糖・脂質代謝研究に有用と考えられます。
参考文献
Horike N, Takemori H, Katoh Y, Doi J, Min L, Asano T, Sun XJ, Yamamoto H,
Kasayama S, Muraoka M, Nonaka Y, Okamoto M. Adipose-specific expression,
phosphorylation of Ser794 in insulin receptor substrate-1, and activation
in diabetic animals of salt-inducible kinase-2. J Biol Chem.
2003 May 16;278(20):18440-7. (PMID: 12624099)
分譲をご希望の方は、larb@nibio.go.jpまでご連絡ください。
医薬基盤研究所 疾患モデルマウスバンクのホームページ
http://animal.nibio.go.jp/
分譲可能な動物、サポートサービスの情報はこちらのホームページで公開
しています。
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III あとがき
今冬、彩都の2月も暖かく、雪が積もって往生することは無い冬でした。庭
のチュ-リップの芽がどんどん成長しています。先日彩都の中学校で阪大の
先生による緑についての講演会がありました。お話の中で、植物は移動でき
ないので大きな地球環境の変化にも対応して進化するが、動物は絶滅をする
というくだりがありました。今地球環境問題がクロ−ズアップされています
が、人類の存続が大変であるという認識です。私自身は大阪に育ちましたが、
小さいときは淀川に川えびがいたり、蛭の居る田んぼで蛙の卵を採り、おた
まじゃくしを育てたり出来ました。また中学生の時は夜空の美しい星を見て
自分はめっちゃ小さい存在やなあと思ったりしました。そういう経験から自
然に対するに畏敬の念や興味を持った気がします。若い頃は週末は青い海や
琵琶湖をボ−っと眺めたり、年を重ねた今は森林浴や土を触ることが自分に
とっては落ち着くなあと感じます。今の子供たちの多くはそのような環境に
恵まれず、結局お膳立てされた自然体験になってしまうのが残念です。私は
彩都は自然と隣り合わせで生活できる街ということで引越しして参りました
が、街の機能と自然との両立は難しいですね。若ければ田舎もいいのですが、
老いることを考えざる得ない世代にとっては病院などを含めた街の機能拡充
は必要と痛感致します。
(E.T.)