◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■◇■  JCRB 研究資源バンク メールマガジン          
◆    【第34号 2009/10/17】
◆          http://cellbank.nibio.go.jp/cellbank.html
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
メルマガバックナンバーは細胞バンクのホームページに掲載しております。
( http://cellbank.nibio.go.jp/information/magjcrb/ )

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●*重要!*=細胞株利用者の皆様へ=●   
┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯
培養細胞の『クロスコンタミネーション』に関するお知らせ
┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻
   
JCRB細胞バンク・ヒューマンサイエンス研究資源バンクをご利用いただき、
誠にありがとうございます。JCRB細胞バンクは、細胞株寄託受付、品質管
理、ストック作成を行い、ヒューマンサイエンス研究資源バンクは、細胞
分譲を担当し、相互に連携して厚生労働省の細胞バンク事業を運営してお
ります。

弊細胞バンクに登録されておりますKP-1N細胞 (登録番号JCRB0177.0)、
ならびにKP-1NL 細胞 (登録番号JCRB0177.1)に問題が見いだされたことを
ご連絡致します。

KP-1N細胞, KP-1NL細胞は、日本人・ヒト膵臓がん由来細胞として樹立され
た細胞株です。この細胞の利用者からご連絡をいただき、当バンクにおい
て寄
託時よりのデータを確認したところ、JCRB細胞バンクに寄託された株のSTR
分析法(*1)による個体識別データと、他細胞バンクに登録されている別の
ヒト膵臓がん由来細胞株 PANC-1(ATCC PANC-1:登録番号CRL-1469、理研
バイオ
リソースセンターPANC-1:登録番号RCB2095)の個体識別データが一致する
ことが明らかになりました(*2)。

PANC-1細胞の樹立は、米国において1975年にInt J Cancer. 15: 741-747で
その樹立が報告されております。一方 KP-1N,KP-1NLの樹立は、1990年に
Jpn J.Cancer Res, 81: 987-993で報告されております。これらのことから、
細胞バンクに寄託されたJCRB0177.0 KP-1N,JCRB0177.1 KP-1NLの各株につ
いては、PANC-1により置換されている可能性が高いと考えられます(*3)。

今後KP-1N細胞, KP-1NL細胞の更なる詳細解析を進めるとともに、今回の事
例から、JCRB細胞バンクにおきますSTR分析データベースのさらなる拡充な
らびに新たに解析システムの改善を行うことといたしました。また、他の
バンクとの連携もさらに強めていく所存です。また、利用者の方々からの
情報もお待ちしております。今後ともJCRB細胞バンク・ヒューマンサイエ
ンス研究資源バンクの事業にご理解ご協力を賜りますようお願い申し上げ
ます。
 
(*1)STR分析法はヒトゲノム中の特定遺伝子座における繰り返し配列の繰り
返し数を決定することによる個人識別法であり、犯罪捜査等にも利用され
ています。本検査法導入以来、細胞バンクに寄託される細胞のうち6%程
度にクロスコンタミネーションが検出されています。
(*2)JCRB細胞バンク・ヒューマンサイエンス研究資源バンクにおいては、
培養細胞のクロスコンタミネーションについて、1999年にSTR分析法による
調査を開始し、遺伝子パターンから細胞を個別に識別し、新規に登録され
た細胞にクロスコンタミネーションが無いかを確認して参りました。しか
し、これまで世界の細胞バンクがもつSTR分析のデータは、各機関で独自に
運用されており、相互比較等のシステム整備が確立されておらず、今回の
クロスコンタミネーションの発見が遅れました。
(*3)STR分析法による検査では、検査結果(ピーク)が単一個体由来のピー
クを示していても、少ない割合の別個体由来細胞の存在は否定できません。
寄託されたKP-1N, KP-1NL細胞とされる細胞集団においてPANC-1が大多数を
占めているのか、あるいは完全に置換しているのかの区別はSTR分析では困
難であるのが現状です。

=この件に関するお問い合わせ先=
〒590-0535 大阪府泉南市りんくう南浜2−11
(財)ヒューマンサイエンス振興財団
ヒューマンサイエンス研究資源バンク hsrrb@osa.jhsf.or.jp

JCRB細胞バンクにおきましては、ヒト細胞個別識別検査(有償受託試験)
を行っております。下記参照して頂けましたら、幸いに存じます。

ヒト細胞個別識別検査(有償受託試験)
http://cellbank.nibio.go.jp/information/jutaku/jutaku/cellidflow.html

ヒト由来培養細胞関するクロスコンタミネーションの可能性の有無をSTR-
PCR法にて解析いたします。研究に使用されている細胞のSTR解析データを取
得し、当細胞バンクで構築したSTRデータベース
           http://cellbank.nibio.go.jp/str2/top.html   
によって比較し結果をご報告します。また、特に比較したい細胞があれば、
その細胞とのクロスコンタミ可能性を評価分析して結果をお返しいたします。

=検査お問い合わせ先=

(独)医薬基盤研究所・細胞資源研究室 e-mail:cell@nibio.go.jp


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ インデックス ◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
I  JCRB細胞バンク

 1.事業紹介   
   =JCRB細胞バンクからのお知らせ= 
   =研究倫理に関する活動=
 2.新規細胞のご案内 

II  実験動物バンク事業
 1.事業紹介

 2.新規マウスの分譲情報

 3.疾患モデルマウスの紹介
   【Col11a2-LacZflox-Smad7マウス】

III あとがき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆I◆  ★★ 細胞バンク事業 ★★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
** JCRB細胞バンクからのお知らせ **

<=ヒトiPS細胞分譲中=>
   
  分譲依頼手続きを行った方には培養指導を行っております

http://cellbank.nibio.go.jp/cellbank/deposit/ips/ips_list.html


<=受託業務=> @ 細胞検査業務マイコプラズマ汚染検査

        A STR分析による細胞のクロスコンタミ検査

B 細胞保護預かり (セーフデポジット)

有料ですが、皆様が利用しておられる培養細胞の品質に関するデータを
取得しておくことは科学的にも重要なポイントとなりますので、是非ご
検討ください。
http://cellbank.nibio.go.jp/information/jutaku/index.html
                              

● 人体由来組織・細胞と情報の研究利用をめぐる最近の動き(34)

生物資源の研究利用は多岐にわたりますが、その中で、ここでは、ヒト試
料等の利用について考えてきました。今回は、厚生労働省の生物資源活動
の紹介をナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)という文部科学省
の活動の中で紹介した文章を紹介せさせていただきます。ヒトの生物学と
しての医学が成り立つためには、多くの視点が必要です。それは、バクテ
リアの遺伝子であったり、霊長類の病態モデルであったり、マウスのゲノ
ム研究であったり、ショウジョウバエの細胞構成の問題であったりさまざ
まです。それらが、すべてヒト疾患の研究に貢献しているのです。その意
味では、ヒト試料等を取り扱わないNBRPの活動は大切なものです。NBRPは、
マウス、ラット、ショウジョウバエ、線虫、メダカ、カイコ、ネッタイツ
メガエル、ゼブラフィッシュ、カタユウレイボヤ、ニッポンウミシダ、シ
ロイヌナズナ、イネ、コムギ、オオムギ、藻類、広義キク属、アサガオ、
ミヤコグサ、ダイズ、トマトを取り扱っています。ご覧ください。

http://www.shigen.nig.ac.jp/shigen/news/n_letter/2009/nl200906.pdf

(増井 徹)

研究倫理に関するページ (JCRB細胞バンクホームページ内)
http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/kiban01/index.html

ご質問やご意見があれば、是非 cell@nibio.go.jp へお寄せください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆2◆  ★★    新規細胞    ★★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
● 新規分譲細胞のお知らせ ●

○ヒト急性前骨髄球性白血病患者由来の細胞株

 JCRB1319: PL-21
http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1319.htm

○抗CD307 (IRTA2/FcRH5/FCRL5)抗体産生マウスハイブリドーマ細胞株

JCRB1323:F25
http://cellbank.nibio.go.jp/celldata/jcrb1323.htm 

♪☆=--=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-♪☆

● JCRB細胞バンクのホームページから細胞株の情報を入手できます。
   http://cellbank.nibio.go.jp/
                            (小原 有弘)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆II◆  ★★ 実験動物バンク事業 ★★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●10月より新たに2系統のマウスが分譲可能となりました。現在、全部
 で98系統が公開され、利用可能です。どうぞご利用下さい。また、現
 在、疾患研究や創薬研究に有用な多くのモデルマウスを資源化中で、
 近々公開予定ですので、ご期待下さい。
 また、有用なモデルマウスの収集も積極的に行っていますので、是非、
 寄託を御願いします。
●分譲マウス一覧に、関与遺伝子別一覧を追加しました。遺伝子名から目
 的のマウスを検索できるようになりました。次をご覧下さい。
            http://animal.nibio.go.jp/j_gene_mice.html

1.疾患モデルマウスバンクの事業
  ――――――――――――――

○疾患モデルマウスの収集/収集したマウスの品質管理、凍結胚での保存

◆★疾患モデルマウスの寄託をお願いします!★◆

○疾患モデルマウスの分譲
   マウス胚50個/チューブを融解し、胚移植後、生まれた産仔すべてを
分譲します。 (97000円/1件)

○凍結胚・凍結精子の保護預かり業務(動物の情報は非公開で預かります)
   クライオチューブ4本保管で 11000円/1年
   ストロー16本/1年保管で 11000円/1年
        凍結胚・凍結精子作製サービスも行っています。

○疾患モデルマウス関連情報発信

2.新規マウスの分譲情報
  ――――――――――

今年10月より次のマウスの分譲を開始しました。どうぞご利用下さい。

 MacATF3 Tg(#25, #35)マウス (肥満研究用モデル)

        http://animal.nibio.go.jp/j_macatf3-tg.html
 
 
3.疾患モデルマウスの紹介
  ―――――――――――

【Col11a2-LacZflox-Smad7マウス】
資源番号:nbio127
由来:大阪大学大学院医学系研究科,骨・軟骨形成制御学
 樹立者・寄託者:妻木範行先生
 分譲条件:提供承諾書が必要


軟骨細胞特異的にSmad7を発現させるconditional transgenic mouseシステム
(Cre/loxPシステム)で用いるfloxマウスです。組織特異的時期特異的にCre
酵素を発現するトランスジェニックマウスと交配することで,さまざまなス
テージの軟骨細胞においてSmad7を過剰発現させることができます。このマウ
スを用いて、実際にSmad7がさまざまなステップで軟骨細胞の分化を抑制する
ことが示されています。トランスジーンは,Col11a2(XI型コラーゲン?2鎖遺
伝子)promoterとSmad7 cDNAの間にLacZ遺伝子が挿入されており,さらにLac
Z遺伝子を挟むようにloxP配列が導入されています。従って,このマウス単独
では軟骨細胞特異的にLacZを発現しますが,Cre酵素存在下ではLacZ遺伝子が
切り取られ,Smad7を軟骨細胞特異的に発現するようになります。
このメルマガで前回紹介しました、Col11a2-Smad6マウス(nbio130)と同様に、
このマウスは骨・軟骨形成に重要な骨形成因子
(bone morphogenetic protein, BMP)のシグナル伝達におけるSmad7の生体
での役割解明に有用なマウスであり,整形外科運動器疾患の治療に向けた基
礎研究に貢献することが期待されています。なお,SmadはTGF-βスーパーフ
ァミリーの増殖分化因子の細胞内シグナルを伝達する蛋白質で,その機能か
ら特異型Smad, 共有型Smad及び抑制型Smadに分類されており,Smad7はSmad6
と同じく抑制型Smadです。

参考文献
Iwai T, Murai J, Yoshikawa H, Tsumaki N (2008) Smad7 Inhibits
chondrocyte differentiation at multiple steps during endochondral
bone formation and down-regulates p38 MAPK pathways.
J Biol Chem 283:27154-27164. [PMID: 18644788]

                       (松田潤一郎)

分譲をご希望の方は、larb@nibio.go.jpまでご連絡ください。


医薬基盤研究所 疾患モデルマウスバンクのホームページ
 http://animal.nibio.go.jp/

分譲可能な動物、サポートサービスの情報はこちらのホームページで
公開しています。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
III あとがき

基盤研に入社してもうすぐ半年になります。初めはわからないことがたく
さんあり戸惑うことばかりでしたが、培養や様々な検査を行っていくうち
に少しずつ理解できるようになってきました。まだわからないことがたく
さんありますが、より多くのことを学べるように頑張りたいです。
                              (M.I)