【勝田班・総括】


1961:

  • 増殖系細胞(L、JTC-4)をDAB、60COで処理する。
  • 生存系細胞(ラット肝)を4NQ、DABで処理する。DAB処理で増殖誘導発見。
  • 双子管培養の開発。

1962:

  • DABによる増殖誘導確認、復元ラットに腫瘍を作らず。
  • 第二次刺激として、ステロイドホルモン処理、嫌気培養、pH変動、成長ホルモン。

1963:

  • 培養内DAB代謝をしらべる。
  • ハムスター腎をスティルベステロールで処理する。増殖促進あり。
  • L細胞に正常あるいは腫瘍細胞を貪食させて形質転換をはかる。
  • L細胞は非選択的に貪食し、自己のDNA合成に利用する。
  • 脾臓細胞を貪食したL細胞の培養に、脾臓細胞の抗体をコートしたラテックスを添加すると40日間にわたって、L細胞にラテックスが吸着。

1964:

  • 「なぎさ培養」による細胞変異を発見。
  • 細胞の復元接種法。ハムスター頬嚢内、ラッテ新生児脳内。
  • 吉田肉腫の少数培養に赤血球を添加。効果は焦性ブドー酸、オキザロ酢酸でも同様。

1965:

  • 「なぎさ培養」変異細胞出現は再現性があるが、復元ラットに腫瘍を作らない。
  • さらにDAB処理を加える。
  • なぎさ培養による変異細胞系はすべて染色体異常を起こしていた。
  • DAB飼育中ラットの異なる時期の肝臓から培養を開始した。生体内で悪性化へ進行していたものは培養系になってラットに腫瘍を形成した。
  • DABによって増殖誘導された細胞系を、さらに3'メチルDABで処理し、総培養日数が1011日にラットへ復元し腫瘍を作ったが、無処理群も1091日培養で復元し腫瘍を形成した。
  • ウサギ子宮膜細胞の初代培養に女性ホルモンを添加し、増殖促進を認めた。

1966:

  • なぎさ培養やニトロソアミン処理のラット肝細胞をさらにDABで処理すると変異が起こる。変異細胞はDAB代謝に関しての対応に系による差が大きかった。
  • DEN処理を始める。
  • ハムスター胎児細胞に4NQO、4HAQO、6chloro4NQO、4AQOを処理し、動物レベルで発癌性の証明された群では細胞変異が起こった。ハムスターへの復元接種成功。
  • ハムスター皮膚の器官培養に4NQOを添加すると表皮の肥厚が起こる。
  • マウス、ヒトの皮膚の器官培養にメチルコラントレンを添加し、表皮細胞の遊出と肥厚を認める。
  • マウス骨髄細胞に4NQOを処理すると、対照群に比して小型細胞の増殖が認められた。

1967:

  • ラット皮下組織、膵臓由来細胞に4NQO処理し変異確認。
  • ラット全胎児細胞に4NQO処理し、肉腫化を確認。
  • 発癌剤の最少有効時間、コロニー法による定量的解析、変異細胞出現率、変異細胞出現から真の悪性化への経過を分析。
  • ラット繊維芽細胞を4HAQOで処理し、変異細胞出現確認。
  • ヒト、ハムスター、マウスの皮膚をMCA、4NQOで処理。器官培養では悪性化像を示さないが、細胞培養では変異細胞が出現する。
  • 4NQOによる変異細胞の染色体分析。トリソミック、モノソミック、異数性、倍数性の変化に着目。

1968:

  • ラット肝系の4NQO処理実験を体系的に繰り返す。復元ラットは3〜7カ月後に腫瘍死。対照群もおくれて腫瘍死。
  • 発癌実験の細胞形態変化を顕微鏡映画に連続記録。
  • ラット胸腺細胞をNGで処理。復元腫瘍は多型性肉腫。
  • 細胞電気泳動法で培養細胞を分析。細胞の悪性度は細胞表面荷電にかなり合致。
  • LP3と4NQOの結合を調べる。特異的に結合する蛋白はなく、rRNAによく結合。
  • エールリッヒ培養株では、4NQO障害とUV障害の回復機構には関連性がないこと、
  • 4NQO感受性の差は還元能の差であるらしい。
  • 4NQOは細胞サイクルのどの時期にも作用し、その時間を延長させる。
  • ラット肝細胞の培養内変異に伴う抗原変化を免疫学的に分析。
  • 軟寒天培地内集落形成能と腫瘍性の比較検討。

1969:

  • ラット肝系の4NQO処理後の分析。動態、可移植性、染色体、軟寒天内増殖能、細胞電気泳動像、顕微鏡映画法による動態観察、経時的な集落形成頻度など。
  • ラット胸腺および肺センイ芽細胞のNG処理後の分析。
  • N-OH-AAF処理による染色体異常と増殖誘導の確認。
  • 軟寒天法により腫瘍性の高い細胞を選出。
  • 細胞電気泳動法により、4NQO処理後細胞の細胞群構成純度、シアリダーゼ感受性、平均電気泳動度の増加について経時的変化を検討。
  • 4NQO処理による悪性化細胞とその対照細胞をMHAとIA法で調べ、癌化により新しい抗原ができることを確認。
  • 各種の細胞系で、4NQO、4HAQO、UV、X線処理によるDNA損傷と修復能を比較検討。
  • P3系細胞を4NQOで処理し、DNA切断をしらべた。
  • マウス胎児細胞を4NQOで処理し、増殖率の上昇を認め、細胞世代時間をしらべた。

1970:

  • ラット肝4NQO処理で悪性化は、細胞形態、動態、染色体上の変異は劇的ではない。ラット肝4NQO癌化細胞は、旋回培養による細胞集塊形成能が増大。
  • 悪性細胞と正常細胞を各種比率に混合して復元接種。
  • なぎさ変異P3は細胞電気泳動的に安定していて、4NQOの繰り返し処理によって悪性細胞型に変化する。
  • ラット肝組織の酵素処理による初代培養にDAB、3'メチルDABで処理すると、肝実質細胞のみ脂肪変性と核の萎縮を示すが、ABでは変化しない。
  • ハムスター胎児などの培養をN-OH-AAF、3-HOAで処理すると軟寒天内細胞集落形成能を獲得したが、6カ月以上培養した対照群も形成能を得る。
  • P3細胞とFM3Aを用いて、4NQOによるDNA切断とその自然修復を検索。
  • L、PS、エールリッヒを用いて、4NQO障害とUV障害の回復機能の間には関連性がないことを発見。
  • 正常ラット肝細胞を初代培養でクローン化し、発癌実験に備える。
  • ラット肝細胞系、4NQO癌化系、再培養系について、免疫学的に変異抗原を検討。

1971:

  • 3T3をDMBAで処理して3〜4週間で変異させる実験系の確立。
  • プロタミンで前処理した染色体を細胞内に取り込ませて変異を狙う。
  • 細胞の培養内悪性化を同定する各種指標の検討。
  • 化学発癌剤で切断された細胞DNAの誤修復が癌化するか否かの検索。
  • 3-OH-AAFnitrosobutylureaなどによる悪性化の確認。benzoyloxy-MABは染色体レベルでは切断を認めなかったが、DNA鎖は切断。
  • 悪性細胞系と正常細胞系の混合復元。混合比率によって結果が異なる。

1972:

  • ラット肝、肺、腹膜などの細胞系と4NQO、NG、DABなどによる発癌実験。
  • チャイニーズハムスター細胞系で、レプリカ培養法を確立し、放射線および化学発癌薬剤による変異の機構を追及。
  • 接触阻止能の強い細胞系をDMBAで処理し、阻止能を失った変異細胞を得た。
  • 培養内悪性化細胞を選択的に増殖させるために培地を工夫した。
  • 電気泳動度測定装置を改良し、悪性化した細胞はConAやPHA添加で細胞表面の荷電 密度が増加するが、正常肝などでは低下する。
  • 腫瘍細胞各種のリンパ球幼若化能を測定。
  • MNNGによって悪性化したハムスター繊維芽細胞をDNA-RNA融合法で調べ、悪性化すると遺伝情報の読み取り部位が多くなることを発見した。 ハムスター胎児細胞の培養で、細胞集落周辺部の細胞配列に注目すれば、悪性化が判定できる。
  • 細胞の悪性化に伴う酵素活性の変化の一つとしてアルカリホスファターゼの変化をしらべた。
  • 各種発癌剤処理後のDNA切断と修復を調べたところ、培養初期よりも継代の進んだ細胞の方が切断度が大きいことがわかった。
  • JTC-15細胞系から、可移植性を有するものともたないものを軟寒天法で分離した。

1973:

  • ディスパーゼを使用してラット肝から新しい系を樹立した。
  • ラット肺由来細胞系にAAACNを処理したが、復元して腫瘍は作らなかった。
  • C32K細胞にDMBAを作用させ、悪性形態を示すコロニーを得た。
  • ニトロソアミン、アフラトキシンによる発癌実験をすすめている。
  • 亜硝酸処理でハムスター細胞の癌化を認めた。
  • 培養哺乳動物細胞のレプリカ培養法を確立し、栄養要求株および非要求性株を分離した。
  • サイトカラシンBにより正常細胞は2核までだが、悪性化細胞は多核を形成する。2デオキシグルコースの取り込みにKmは正常と悪性に差がなくVmax悪性細胞が上昇していた。
  • ラット肝細胞の培養内悪性化に伴い、ConAに対する反応が著しく変化する。
  • チャイニーズハムスター細胞系のアルカリフォスファターゼは、変異の出現頻度が高く性質が不安定であった。
  • サイクリックAMP結合蛋白が酸性癌結合蛋白と類似していることを発見。
  • 発癌剤投与によって細胞DNAのaggregateやcomplexではないDNAそのものの遠沈パターンの経時的変化が、正常細胞と異なることを発見。
  • 寒天平板法を利用して発癌剤による変異コロニーをクローンとして分離。

1974:

  • ディスパーゼとDM-153を使って新たに培養したラット肝培養の肝臓特異的酵素活性をしらべた。培養細胞の酵素活性はその材料の年齢に依存していた。
  • 発癌実験のためにラット膵ラ氏島細胞の長期培養を試みた。
  • サイトカラシンBによる多核形成は世代時間や可移植性と必ずしも相関しない。
  • 各種化学発癌剤によるFM3A細胞のBAG耐性突然変異率は対照群の数倍〜50倍に上昇。経胎盤的に化学発癌剤は、短時日の内に胎児組織細胞の染色体異常を起こす。
  • ヒト正常2倍体細胞を4NQOで処理して無限増殖系を得た。
  • ハムスター系を用いてレプリカ法で、栄養非要求性株から要求性への前進突然変異検出系を、また栄養要求性亜株から要求性へ、抵抗性から感受性へなどの復帰突然変異検出系を作った。
  • インドホエジカの培養系を樹立し、染色体を検索した。
  • ラット肝癌細胞の放出する毒性物質がスペルミンに似た物質であることを確認。
  • リンパ球との混合培養で悪性化細胞の細胞性免疫のモデルを確立した。

1975:

  • ラット胃細胞系をMNNGで処理し、顕微鏡映画による動態追跡を行った。
  • 腹水肝癌培養系を使って、復元部位を検討した。
  • ラット膵ラ氏島細胞の4NQO処理を試みた。
  • ラット肝初代培養からクロンを樹立し、アフラトキシンB1を添加、増殖巣を得た。ヒト培養細胞に対する各種化学発癌剤の効果を比較検討。
  • ローズチャンバーの改良型でマウス胎児肝臓を器官培養。
  • ヒト遺伝病XP20S細胞で、放射線や化学発癌剤によるDNA損傷の修復能と突然変異誘発能との関連性の解析。
  • 細胞電気泳動法で自然発癌の解析を試みた。
  • 培養細胞とリンパ様細胞との混合培養でリンパ球の幼若化について検索。
  • 経胎盤法で3,4Bp、Bp、2FAA、AF-2の標的細胞を追跡した。

1976:

  • インドホエジカの培養開始。
  • ヒトリンパ球の幼若化の過程を顕微鏡映画で追跡。
  • ラット肝細胞系をDENで悪性化成功、同系ラットに腫瘤形成。
  • 平板寒天とグラスフィルターの併用による浮遊細胞のコロニー形成法確立。
  • ヒト正常細胞とマウス正常細胞の培養内変異の起こり方について検索。
  • サル(Zupaineade)の肺、脾、心、肝、皮膚からの培養系樹立を試みた。
  • ハムスター胎児培養系をAF-2で処理し悪性化に成功。
  • 細胞電気泳動法で培養内悪性化に伴う形質表現の変化を検索。
  • 変異細胞の動物への復元接種法の検討。
  • ひきつづきローズ還流培養法の改良。
  • 培養腹水肝癌細胞の放出する毒性物質の検討。
  • ヒト癌の培養細胞系の樹立とその性質の解析。
  • 経胎盤法を用いて、芳香族炭化アミン、アゾ色素、ニトロソ化合物による培養細胞悪性化成功。

1977:

  • インドホエジカ初代培養細胞を4NQO処理、コバルト照射し、顕微鏡映画法で異常分裂の追跡。
  • V79細胞系を4NQO、MNNG、EMSで処理し、その後の培養条件の影響をしらべる。
  • ラット膵ラ氏島細胞、ヒト繊維芽細胞をEMSで処理。
  • ラット肝由来細胞からAFB1、BPへの感受性の異なるクローン樹立。
  • ヒト繊維芽細胞に60COを頻回照射し変異細胞系を樹立。
  • ハムスター胎児細胞をAF-2処理で悪性化成功。
  • 培養内での細胞増殖とそれに伴う細胞表面荷電の変化を追及。
  • 培養細胞を化学発癌剤で処理し、ガンマGTP活性を酵素組織化学的に検索。
  • ラット肝由来細胞を使って、アゾ色素とアゾ色素代謝活性体の細胞毒性の検索。
  • 悪性変化に伴って顕著な分子種変動を示すガングリオシドの分析法を検討。
  • ヒト癌由来細胞系の樹立。
  • 亜硝酸、亜硝酸+モルホリンの経胎盤法による染色体異常、8AG耐性突然変異について検索。