JCRB細胞バンク:大西清方
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1995.Nov.27
培地名 | 略称 |
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Basal Medium, Eagle | BME |
Eagle's Minimum Essential Medium | EMEM |
Dulbecco's Modified Eagle's Medium | DME |
RPMI-1640 Medium | RPMI1640 |
ES Medium | ES |
これらの培養液のうち BME を除く 4 種類,EMEM, DME, RPMI-1640, ES の各培地は,高圧滅菌 可能な粉末培地として,日水製薬株式会社などから販売されている.最近 Basal Medium, Eagle は,日水製薬株式会社では製造を中止した.
市販されている培地には高圧蒸気滅菌が可能なものと不可能なものがあるが,マイコプラズマによ る汚染の問題を考慮すると,高圧蒸気滅菌可能な培地を使用することが望ましいので,それを中心に 記載する.濾過滅菌をしなければならない場合は,調製段階でマイコプラズマが混入しないよう,十分な注意を払うことが必要である.
また,日水製薬株式会社の製品には,抗生物質,カナマイシン,が添加された製品と,無添加の製 品がある. 通常の研究には抗生物質を添加した培養液を使用して構わないが,細胞バンクでシードカ ルチャーとして長期保存を目的とするような場合は,出来る限り抗生物質を含まない製品を使用すべ きであり,頻繁に汚染検査をくり返すなどの注意深い取り扱いが必要である.抗生物質無添加の製品 の日水製品のコード番号は MEM(code 05902)、 DME(code 05919)、RPMI-1640(code 05918) となる.これ以外のコード番号を持つ製品にはカナマイシンが添加されているので注意されたい.
大日本製薬株式会社製の高圧蒸気滅菌可能な製品は, Auto-pow, MEM-Earle(No. 11-100-20), Auto-pow, MEM, suspensionculture (No.11-170-20) である.
使用頻度からすると,最も多用されるのは EMEM で,次いで RPMI-1640,DME であり,BME, ES 各培地の使用頻度は比較的少ないようである.
調製された培養液 1 ml づつを前記のブドウ糖ペプトン培地または Bacto Nutrient Broth,および Thioglycollate Broth に添加する.ブドウ糖ペプトン培地または Bacto Nutrient Broth は 25〜27 ℃ で 10日間,Thiglycollate Medium は 37 ℃で 1 週間培養する.微生物の増殖は目視的に判定出来る.
Thiogllycolate Medium の試験管上部の Resazurin の赤い色調が消失し,濁りを生じたら好気性菌が増殖したことを示し,試験管の深部に濁りを生じたら嫌気性菌が増殖したことを示す.
培養細胞にはその細胞に最適の種々の培養液,および各種の動物血清が指定されている.Eagle's Basal Medium(BME), Eagle's Minimum Essential Medium(EMEM), RPMI-1640 Medium, Dulbecco's Modified Eagle's Medium 以外に各種のアミノ酸,ビタミン類,その他を含む種々の合成培養液が普及し,かつ安価に入手出来るようになった.それに伴ない培養できる細胞種も飛躍的にまた広範囲に増大した.現在種々の細胞株に一般的に汎用され,入手可能な各種合成培養液は表のとうりである.
オートクレーブ滅菌する場合はグルタミン・重炭酸ナトリウムを添加する前に滅菌する.