Q.1 ガラスアンプルを開封するには?

A.1 細胞はガラスアンプルに入っていますので、注意に従って、下記の方法で開封してください。

注意1
細胞バンクでは,細胞の保存にガラス製アンプルを使用しています。そのため稀に液体窒素タンクから取り出す際に爆発事故が発生することがあるので注意してください!!!液体窒素(液相)から取り出す際には必ず長袖の実験着,厚手の手袋,フェイスプロテクターを着用し,腕や顔など皮膚を露出させないよう注意してください

注意2
硬質ガラス製なのでかなり強く力を入れないと開封できません。そのため指先を切るなどの事故の発生も多いので注意して下さい。

方法 (用意するもの:滅菌ガーゼ、消毒用アルコール、2mLピペット)

  1. 遠心管に培地を約10mL用意する。
     
  2. 37度前後の温水中でアンプルを融解し、アンプルの頚部を消毒用アルコールで十分に清拭する。
     
  3. 滅菌ガーゼでアンプル全体を包むようにする。
     
  4. 包んだガーゼの上からアンプルの胴体を持ち、アンプルの頭部を親指で強く押し、折り曲げるようにして首を折る。
     
  5. ガーゼを静かに開いてアンプルを取りだし、2mLピペットなどを使用して細胞浮遊液を採取し、これを1)で準備した遠心管に移して1000-1200 rpmで3-5 min遠心して細胞を沈殿させる。
     
  6. 遠心後上澄を捨て、沈殿を新鮮培地に再浮遊する(遠心は1回)。
     
  7. 細胞数、細胞生存率を計数した後、培養を開始する。

 

Q.2 細胞が増えません

A.2 培地、培養環境、細胞などに問題があるかもしれません
(分譲された細胞の品質(特に増殖性)についてのクレーム等は発送日以降3ヶ月以内に限り受け付けます)

培地
最初は必ず細胞情報で指定された培地を使用してください.指定された培地以外の物を使用した場合は、保証の限りでは有りません.まずはカタログ記載の培地を利用して細胞が記載どおりに増殖するかどうかを確認し、必要があればその後独自の培地を試してください。

  1. 培地が古くありませんか
    冷蔵なら液体培地で3ヶ月、粉末培地で12ヶ月を目安としてください。
     
  2. 保存状態が悪くありませんか
    繰り返し加温した、あるいは保存温度が適正でないなどにより培地の劣化を起こしていませんか。
     
  3. 血清、Growth Factorsは適正に添加されていますか
    血清は、ロット差メーカー差で細胞の増殖に大きな影響を与えます.血清以外の増殖因子の場合は、適正濃度でない場合や不適当な扱いで失活することが考えられます。
     
  4. 増殖培地のpHは適正ですか
    粉末培地から調製する場合、pHの調整を必要とするものが有ます。
     
  5. その他のsupplement成分は適正に添加されていますか
    粉末培地より調製する場合、炭酸水素ナトリウムやHEPESなどの成分はユーザーが添加する場合が有ります.特にオートクレーブ可能な培地の場合は、使用前に予め別に滅菌した炭酸水素ナトリウム及びL-グルタミンを加える必要が有ります。

 

培養環境
CO2インキュベーターは、年に一度は校正しましょう。また定期的に清掃を行いましょう。

  1. 温度は適正ですか
     
  2. 湿度は適正ですか
    インキュベーター内の加湿バットに充分な水がありますか?
     
  3. CO2濃度は適正ですか
    ガスボンベが空になっていませんか?

 

細胞
正しく解凍培養が行われないと、その後の細胞培養が非常に難しくなります。

  1. 密度は適正ですか
    細胞密度が低いと増殖の立ち上がりが遅れます。
     
  2. Viabilityが低く有りませんか
    浮遊系細胞の場合は生細胞と死細胞の分離が困難なので、培養を開始する場合は必ずチェックしましょう。
     
  3. 細胞の分裂速度を確認しましたか
    細胞によって分裂に要する時間は異なります.早い細胞では12時間程度、遅い細胞になると2~3日に1回の分裂速度です.概ね癌由来の細胞と血球系の細胞は早く24時間以内で、正常細胞は比較的遅く24時間以上かかります。
     
  4. 分化や老化を起こしていませんか
    分化や老化によって増えない細胞になることがあります。培養条件を厳守してください。
     
  5. 培地交換の頻度は適正ですか
    培地交換のタイミングは、細胞の密度により異なります。低密度ではやや間隔を長めに取ってください。
     
  6. 継代培養は適正な時期に行われましたか
    接着系細胞の場合はコンフルエントになると、細胞死や分化等の性状の変化を起こす細胞があります。浮遊系細胞の場合は最大細胞密度になると、早急なViabilityの低下を起こす細胞が多くあります。

 

Q.3 アンプルに記載されている文字の意味はなんですか?

A.3 細胞番号、細胞名、継代数などの情報です

アンプルに記載された文字 説明
JCRB1217 細胞番号
MT-3 細胞名
P12☆ 継代数⇒寄託までの継代数が不明の場合は、 当バンクで継代された数を☆で表わしています
04282011 ロット番号

 

Q.4 細胞を取り扱う際のBSLを教えてください。

A.4 ヒト由来の細胞はすべてBSL2での取り扱いをお願いします。

JCRB細胞バンクにてヒト由来の細胞はウイルス検査を実施するようにしていますが、検査の検出限界、未知なるウイルスが存在する可能性を否定できませんので、基本的にBSL2としての取り扱いをお願いしております。また、他の動物種においても一部のウイルス産生細胞はBSL2での取り扱いが必要になります。

 

Q.5 細胞培養に用いる培地は何を選んだら良いですか?
(細胞情報と異なる培地を使用しても良いですか?)

A.5 基本的には細胞情報に記載のある培地をご使用ください。

論文等に記載のある培養条件等に記載のある培養条件等に関しましては、当バンクですべてを確認できておりませんので、お答えすることができません。培地、培地添加物に関しては原則としてメーカーは指定されておりませんので、適宜必要な試薬を準備して頂き、培地の調製をお願いいたします。

 

Q.6 培地には抗生物質の添加が必要ですか?

A.6 当バンクでは通常の細胞培養の場合、原則として抗生物質を入れずに培養を行っています。

当バンクでは、クリーンな環境で熟練した技術者が培養しており細菌等の混入の可能性は極めて低く、原則として抗生物質を入れずに培養を行っています。これによって、意図しない細胞への影響や、耐性菌等の出現の可能性も回避できます。

 

Q.7 血清の非働化はどうやって行うのですか?(血清の非働化って何?)

A.7 血清の補体成分を失活させるため、56℃で30分間の加熱処理を行います。

血清に含まれる補体成分が活性化されると、細胞に傷害を与えることがあるので、血清を56℃で30分間加熱して補体成分を失活させることが必要となります。

 

Q.8 細胞を受け取ってまずすることは?

A.8 アンプルに破損がないかを確認し、液体窒素保存容器などに保存してください。

細胞の輸送には細心の注意を払っていますが、輸送における破損が起こる場合もあります。

  1.輸送の容器に破損がないか?

  2.ドライアイスによって十分に低温が維持されているか?

  3.細胞の入った容器に破損等はないか?

  4.送付された細胞が注文内容と一致しているか?

などを確認し、すぐに培養しない場合には液体窒素保存容器などで細胞を保存してください。

 

Q.9 大量購入の場合の価格割引はありますか?

A.9 現在複数購入における割引サービスは行っておりません。

当細胞バンク事業は厚生労働省の支援を受けて実施しております。多くの研究者の皆様に高品質な細胞を提供するため日々努力をしております。ご理解ご協力をお願い致します。

 

Q.10 購入した細胞を他の人に譲渡することはできますか?

A.10 原則として第三者への譲渡は禁じられています。

細胞分譲の際にご提出頂く、分譲依頼書には第三者への細胞の譲渡を禁じるとの内容が明記されています。これは細胞樹立者の知財を保護し、細胞バンクから供給される細胞の品質を保証するためにも重要なことですので、ご理解ご協力をお願いいたします。判断に迷われる場合には、問い合わせ窓口よりご相談ください。

 

Q.11 細胞を注文したいのですが利用するためには何が必要ですか?

A.11 ユーザー登録後、web注文をお願いします。

ご利用いただくには、まずユーザー登録(無料会員登録)が必要です。登録が完了しましたら、ログイン後、細胞検索画面よりご購入手続きを行ってください。なお、ご注文完了後には注文完了のお知らせメールをお送りしますのでご確認ください。 詳細はこちらをご参照ください。

 

Q.12 細胞の保存はどのようにしたらよいですか?

A.12 液体窒素保存容器などで保存をお願いします。(-80℃での長期間保存は避けて下さい)

液体窒素中では半永久的に保存できると言われています。凍結されていた細胞の生存率が低いときは、多くの場合保存中か、他の細胞を取り出す際などに何らかの原因で温度が上昇してしまった可能性が高いと思われます。-80℃の超低温フリーザーでは半年あるいは1年くらいの保存は可能ですが、その生存率は徐々に低下します。

 

Q.13 注文時のセキュリティはどうなっていますか?

A.13 注文時の情報はSSLにより暗号化されて送信されます。

ご注文時に送信される個人情報は、SSLにより暗号化されて送信されますのでご安心ください。

 

Q.14 細胞保護預かりの依頼の際には、預ける細胞の詳細な情報を開示する必要がありますか?

A.14 細胞の詳細情報の開示は必要ありません。(ウイルス産生など安全性に関する情報開示は必要です)

細胞保護預かりの依頼の際には、細胞の詳細情報を開示して頂く必要はありません。細胞の名前等に関しても依頼者が管理できる番号や名前をお付けいただければ結構です。ただし、作業者の安全のために、微生物感染やウイルス産生など安全性・病原性に関する情報の開示は必要です。

 

Q.15 細胞保護預かりにおける細胞の保存はどのようになっていますか?

A.15 -190℃の液体窒素保存容器(気相)内に大切に保管いたします。

細胞保護預かりでお預かりした細胞は自動供給装置の付いた-190℃の液体窒素保存容器(気相)内にて保存します。当細胞バンクで細胞を培養することは一切ございません。

 

Q.16 見積・納品・請求書の宛名の指定は可能ですか?

A.16 見積・納品・請求書の宛名は指定可能です。(書類は細胞に同封されます)

WEBオーダーの際に、見積・納品・請求書の宛先をご指定いただければ、宛先を変更して書類を作成いたします。原則として再発行は行いませんので、経理担当者にご確認頂き、間違いの無いようにご記入願います。WEBオーダー画面下部のプルダウンメニューで宛名をご指定頂けます。ご不明な点が御座いましたら、お問い合わせよりご質問ください。

 

Q.17 細胞の購入には分譲手数料以外の費用が必要ですか?

A.17 分譲手数料のみのお支払いでお手元にお届けします。

細胞分譲手数料には消費税、輸送費などの経費が含まれておりますので、細胞購入の際に他の経費は発生致しません。また、分譲手数料は細胞の種類とご依頼者様のご所属(営利団体または非営利団体)によって異なります。詳細に関しましてはこちらのページでご確認下さい。

 

Q.18 代理店を通しての細胞分譲依頼は可能ですか?

A.18 代理店を通しての細胞分譲依頼はご遠慮いただいております。

細胞分譲依頼の際にご提出頂く書類(細胞分譲依頼書・同意書等)には依頼者の署名が必要になりますので、依頼者と直接お取引をさせて頂いております。手数料のお支払いを代理店を通して行う場合には、請求書等の宛名の変更がWEBオーダーの際に可能ですので、必要な宛名をご記入ください。(Q16をご参照ください)

 

Q.19 細胞がマイコプラズマに汚染された場合は?

A.19 購入(入手できる細胞は再度購入(入手)することをお勧めします。

細胞のマイコプラズマ汚染が判明した時は下記の理由から、購入(入手)できる細胞は再度購入(入手)することをお勧めします。

 1.どの時点からマイコプラズマに汚染されているのかわからない

 2.マイコプラズマ除去には多くの時間を要する

 3.汚染除去ができても細胞の性質が変わってしまうことがある

JCRB細胞バンクではマイコプラズマフリーであることを証明した細胞を分譲していますので安心してお使いいただけます。(マイコプラズマ除染の方法はこちら

 

Q.20 ユーザー登録情報の修正は可能ですか?(転勤・転職等で所属が変更になった場合など)

A.20 細胞検索のページにあるユーザーメニューより登録情報の変更が可能です。

転勤・転職等でご所属などのユーザー情報が変わった場合には、ユーザー登録情報(特に細胞送付先など)の変更が必要となります。細胞検索ページにあるユーザーメニューより登録の変更が可能ですので、細胞の分譲依頼される前に登録情報のご確認をお願いします。