JCRB細胞バンクではバンク事業に必要な品質管理法開発、細胞特性解析法開発などの研究活動を行っています。

マイコプラズマ否定試験

マイコプラズマは細胞培養液中に混入しても培地を濁らせることなく細胞に寄生するため、汚染が起こっても非常に検出困難なものの一つです。しかし、汚染された細胞にはマイコプラズマによって遺伝子発現変化や免疫反応の異常など様々な影響が与えられます。信頼性・再現性の高い研究を行うにはマイコプラズマフリーの細胞を研究に使用することが必要ですが、我々が行った全国調査では25%程度の細胞がマイコプラズマに汚染された状態で研究に使用されています。

JCRB細胞バンクでは検出感度の高い新規マイコプラズマ検出法の開発や簡便迅速な検査法の普及、マイコプラズマによる細胞汚染の知識の普及など研究者への啓蒙活動を行っています。

                 

ヒト細胞認証試験(ヒト細胞クロスコンタミネーションの検出:STR-PCR解析)

細胞の取り違いや混入によって細胞の置き換わり(クロスコンタミネーション)が起こる。これを調べるため世界の細胞バンクにおいては、STR-PCR解析を用いたヒト細胞認証試験が行われ、そのデータがデータベース化されている。

JCRB細胞バンクでは世界の細胞バンクと協力し、ヒト細胞認証試験に関するガイドラインの策定を行うとともにSTR-PCR解析のデータベースを構築し、細胞の比較解析ができるようシステム開発を行っています。

Matching Analysis by STR Profiling Database (STR解析サイトへのリンク)

ウイルススクリーニング検査(培養細胞へのウイルス混入否定試験)

培養細胞へのウイルス混入は研究成果に影響を及ぼすことに留まらず、研究者の安全を脅かすものであるが、これまで細胞バンクにおいてウイルス混入の詳細に関して検査を実施していなかった。2006年より東京医科歯科大学の清水則夫先生との共同研究により、マルチプレックスリアルタイムPCR法を用いたウイルススクリーニング検査を開発・確立し、登録細胞の検査を実施している。

         

染色体・ゲノム詳細解析による細胞プロファイル

研究ツールとして培養細胞は広く用いられているが、研究に用いる細胞を選択する際の情報として、染色体やゲノムの詳細解析の情報は非常に有用だと考えられる。これら細胞プロファイルの情報を細胞バンクでデータベース化し、提供することによって研究基盤を構築しています。