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MEB5細胞の培養法
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1.継代と維持について
MEB5細胞は継代・維持に際しては、通常の組織培養グレードのプラスチック上で培養してください。コーティングはしてはなりません。プラスチック上でMEB5細胞は継代直後はnon-specificに付着する細胞がありますが、増殖とともにsphere(浮遊細胞塊)を形成します。
解凍時には過度の希釈をすると、細胞塊を形成する前に死滅してしまいます。アンプル一本当たり、T-25フラスコ一本程度から培養を開始してください。もし、細胞密度が低いようでしたら、いったん小スケールに移して(たとえばwell)培養を継続してみてください。一週間たっても細胞塊が形成されないようでしたら、細胞が死滅しています。
[基礎培地]
high glucose D-MEM:sodium pyruvate, L-glutamine含有、HEPES非含有の製品を使用しています。
これを基礎とし、下記添加物を添加して培養用培地とします。
[添加物のストック溶液]
いずれも1000倍のストック溶液を調製し、ろ過滅菌後、凍結保存。
EGF:1000倍ストック(10 ug/mL)を0.05-0.1% BSAを含むPBSに溶解。
EGFが滅菌済み製品の場合には、BSA溶液の方をあらかじめ滅菌して、無菌的に調製するほうがロスが少ない。
Insulin:1000倍ストック(5 mg/mL)を1%酢酸に溶解。
Transferrin: 1000倍ストック(50 mg/mL)をPBSに溶解。
D-Biotin:1000倍水溶液(水に溶けにくいため、次の方法を推奨)
1 mgを100 mLの純水に入れ、スターラーで攪拌しながら、0.5 M程度のNaOH溶液を黄チップ等を用いて慎重に一滴づつ滴下
溶解したことを確認したら滴下を止める。
Sodium Selenite: 1000倍ストック(30 uM)を純水(またはPBS)に溶解。
トランスフェリンはapoよりもholoタイプの方がよいと思います。holoタイプは鉄が含まれています。バンクでの培養に使用されたものは伊藤ハム製(和光純薬販売)の品番300-01291(現在製造中止)、またはGIBCO 品番11107-018です。また、一般に培養に使用されている抗生物質の添加は問題ありません。
継代に際しては、細胞塊をsingle cellにする必要がない場合は(単に細胞をexpandするような場合)、細胞塊をパスツールピペットでピペッティングすることにより小細胞塊にほぐし、新たな培地に希釈します。希釈倍率が高い場合、遠心せずに単にほぐして希釈することも可能です(むしろ遠心操作を入れると細胞がプラスチックに非特異的にくっついてしまい、回収が悪くなります)。対数増殖期の場合は当方では1:15希釈くらいでも大丈夫でした。対数増殖期には増殖速度が速いので、継代時の希釈系列は、数ポイントとっておいた方が安全です。しかしこの時期でも希釈しすぎますと全く増えなくなる場合もあります。5-20倍までの希釈系列をとって、うまくいった培養を残すという方法が安全かもしれません。
single cellにする必要がある場合は、トリプシン処理を行います。
①細胞塊を遠心で回収し、0.1%結晶トリプシン in PBS(-)で2-3分処理
通常の組織培養用トリプシンはトリプシン以外の活性も含むので不可。
和光のカタログの結晶トリプシン207-09891などをご使用ください。
②処理後、finalで0.1%となるようにトリプシンインヒビター(Sigma type I-S)を
加え混合。トリプシンインヒビターは、PBS(-)に10倍のストック液を作って凍結
保存しておくとよい。
③遠心して回収し、新たな培地にサスペンド後、新たな培養器にうつします。
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2.培養器のコート
分化誘導時、あるいは、接着した状態で実験をする場合はpoly-L-lysine(PLL)コートでは不十分です。PLLコート単独では、接着はしますが、上皮様の形態にはなりません。細胞の伸展を企図する場合は、さらにフィブロネクチン・ラミニンコートする必要があります。条件は下記のとおりです(カバースリップ上の培養を想定)。
①カバーグラスの種類:松浪カバーグラス 14 丸 No. 0(松浪ガラス工業(株))
カバーグラスの種類は適当なもので大丈夫だと思いますが、他のメーカーのものはこれまで使ったことがありません。
②カバーグラスの洗浄:これはカバーグラスに油脂が残っている場合があるために行っているものです。
1.乾熱滅菌したカバーグラスを24 wellプレートに入れる。
2.オートクレーブ滅菌した 1N NaOHを0.5 ml加えて、1-2時間置く。
3.NaOHをのぞき、濾過滅菌した 1N HClを0.5 ml加えて、1-2時間置く。
4.HClをのぞき、滅菌水で3回洗う。
5.すぐ使用しない場合はフタをしめたまま放置して風乾する。
③poly-L-lysinコート:
1.poly-L-lysine塩酸塩を用いていますが、臭化物でも構いません。また
poly-L-ornithineの使用も可能です。
2.濃度は 100 ug/ml を使用しています。10 ug/mlでも大丈夫かとも思います。
3.バッファーはPBSを使用しています。ホウ酸バッファーでももちろん構いませんが、
残る可能性がある毒性がやや心配なのでそのようにしています。
4.滅菌は濾過滅菌です。
5.wellに0.5-1.0 mlの溶液を入れ、2時間からovernight処理。
6.滅菌水で3回洗い風乾します。滅菌水で洗う段階でカバーグラスが水でしっとり濡れ
る場合は非常にうまくいっています。
④フィブロネクチン・ラミニンコート
このステップが最も影響します。というより、フィブロネクチンのメーカーによっては、細胞がほとんど伸展しないことがあります。使用実績があるフィブロネクチンは、Thermofisher (GIBCO)のカタログ番号33010018 Fibronectin (from bovine plasma)です。ラミニンは各メーカーを使用しています。
1.20 ug/ml fibronectin 10 ug/ml laminin in PBSを少量(300 ul程度でぎりぎり。
余裕があれば500 ul程度ほしいです)wellに加え、37℃インキュベーター中で2-
3時間、または冷蔵庫中でovernight処理。(overnihgtの方がよい)
2.風乾はしない。処理後直ちに使用しています。保存した場合、良い成績は得られて
いません。
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3.保存法
対数増殖期に保存してください。凍結保存の方法は以下の通りです。
凍結保存液の組成
0.1% methylcellulose, 10% DMSO を含む培養用無血清培地
メチルセルロースは4000 cPのものを用いています(和光純薬136-02155)。滅菌法は以下の通りです。1%メチルセルロース原液をDMEMに100ml作ることを想定しています。
1.1gのメチルセルロース粉末を滅菌可能な100ml瓶にいれ、さらにスターラーの
マグネットも瓶に入れて、オートクレーブする。(溶かしてから滅菌することは
できませんので注意してください)
2.冷えたら、滅菌したDMEMを100ml加え、密封し、冷蔵庫中でスターラー上で
攪拌する。溶解まで2日ほどかかるかもしれません。また溶解しても、顕微鏡で
みるともやもやしたものが見えますが、気にしないでください。
3.これをストック溶液とし、冷蔵庫に保存する。
4.凍結に使用時は最終濃度10% DMSO、0.1% メチルセルロースとなるように
培地に混合する。
あとの凍結法は通常の細胞と同じです。また特に細胞をsingle cellにする必要はありませんが、あまり大きな細胞塊は避けた方がよいと思います。
なお、無血清培養細胞用に、凍結保存培地FM−1(株・極東製薬工業)が市販されています。(使ったことはありませんが大丈夫だと思います)
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4.その他の注意
MEB5の場合、増殖がきわめて速いので、過増殖によって細胞が死滅してしまうことがままあり、また、分化誘導がかかったりします。先ほども述べましたが、MEB5では継代時の希釈系列をいくつかとって、うまくいった培養を残すという方法をとったほうが安全かもしれません。好調な培養では、光沢のある均一な細胞からなる細胞塊が形成され、その表面には毛のようなものが観察されます。また、培養の状態が悪くなると、巨大な細胞が出現するようになります。過増殖しますと、突起を持つbipolarな細胞が培養器に多数接着するようになります。この場合、過増殖でない培養から培養を再スタートすべきです。いずれにせよ、早めに凍結ストックを多数ご作製されることをお奨めいたします。
[Close]
JCRB No. |
JCRB0145 |
Cell Name |
MEB 5 |
Profile |
Multipotent CNS stem cell line of mouse. Cells differentiate into neuron, astrocytes and oligodendrocytes. |
Other Name |
MEB 5 |
Animal |
mouse |
Strain |
C3H/He |
Genus |
Mus |
Species |
musclus |
Sex |
|
Age |
14.5 d-fetus |
Identity |
|
Tissue for Primary Cancer |
neural |
Case history |
normal fetus |
Metastasis |
|
Tissue Metastasized |
|
Genetics |
cells immortalized by E7 oncogene of HPV type 16 |
Life Span |
infinite |
Crisis PDL |
|
Morphology |
aggregate-form |
Character |
Multipotent CNS stem cell line. Differentation in to neurons, astrocytes and oligodendrocytes. Epitherial-like morphology can be observed when the cells are cultured on the coated dishes. |
Classify |
transformed |
Established by |
Nakagaito, Y. et.al. |
Registered by |
Yoshida,T. |
Regulation for Distribution |
not applied |
Comment |
|
Year |
2000 |
Medium |
Dulbecco's modified Eagle's medium with high glucose, 5ug/ml insulin, 10ng/ml EGF, 50ug/ml transferrin, 10ng/ml biotin and 30nM Na2SeO3 (Serum free medium). |
Methods for Passages |
Pipetting, or 0.1% crystalline trypsin in Ca, Mg-free PBS, and the action of trypsin is stopped with 0.1% soybean trypsin inhibitor. |
Cell Number on Passage |
2-6 x 10^4 cells/ml |
Race |
|
CO2 Conc. |
5 % |
Tissue Sampling |
forebrain |
Tissue Type |
|