患者の権利の確立に向けての主な動き

患者の権利の確立に向けての主な動き

年表

日本の動き世界の動き
1946
第2次世界大戦終結
1946日本国憲法公布
1947「ニュールンベルク綱領」
1964世界医師会(WMA)「ヘルシンキ宣言」
ヒトにおけるバイオ・メディカル研究に携わる医師のための勧告(1975改訂,1983改訂)
1972アメリカ病院協会「患者の権利章典に関する宣言」
1975世界医師会(WMA)「ヘルシンキ宣言」改訂
1980人権大会宣言(日本弁護士連合会)
1981世界医師会(WMA)「患者の権利に関するリスボン宣言」
1983日本病院協会「患者の権利と責任」(「勤務医マニュアル」の四項)
世界医師会(WMA)「ヘルシンキ宣言」改訂
1984患者の権利宣言全国起草委員会「患者の権利宣言案」
1989全国保険医団体連合会「開業医宣言」
1990日本医師会・生命倫理懇談会「『説明と同意』についての報告
1991患者の権利法をつくる会「患者の諸権利を定める法律要綱案」(1993改訂)
日本生協連医療部会「患者の権利章典」
国際連合「精神病者の保護及び精神保健ケア改善のための原則」
1992日本弁護士連合会「患者の権利の確立に関する宣言」
1993患者の権利法をつくる会「患者の諸権利を定める法律要綱案」改訂
1994日本病院会「『インフォームド・コンセント』についてー病院の基本姿勢」
世界保健機関(WHO)ヨーロッパ会議「ヨーロッパにおける患者の権利の促進に関する宣言」
1995患者の権利法をつくる会「医療記録開示法要綱(案)」
世界医師会(WMA)「患者の権利に関するリスボン宣言」改訂
1997厚生省関係「薬害等再発防止システムに関する研究会」中間報告ー「患者の権利法」制定などを提言
2000世界医師会(WMA)「ヘルシンキ宣言改訂」



患者の権利をめぐっての動き

(世界)

世界医師会(WMA)総会は、1981年にポルトガルのリスボンで、「患者の権利に関するリスボン宣言」を採択した。そして、1995年9月にインドネシアのバリで、その宣言を改訂した。

この宣言では、「以下の宣言は、医療専門家が確認し促進する患者の基本的権利の一部を表すものである。保健医療にかかわる医師その他の個人もしくは団体は、これらの権利を認容し擁護していく上で共同の責任を担っている。医師は、立法、政府の行為あるいはその他の行政機関や組織が患者に対してこれらの権利を否定する場合にはいつでも、これらの権利を保証しもしくは回復するために適切な手段を講じなければならない」として、「良質の医療を受ける権利」「選択の自由の権利」「自己決定の権利」などについて規定している。

新聞報道によれば、日本医師会はこの議決について棄権したとのことで、その理由は「反対ではないが、宣言の形式としてふさわしくない」とのことであるが、もしそうだとすると、どうも理解しにくい理由である(朝日1996.9.3)

また、WHO(世界保健機関)ヨーロッパ会議は、1994年3月にアムステルダムで、「ヨーロッパにおける患者の権利の促進に関する宣言」を採択した。なお、この宣言でいう「患者」とは「健康であるか病気であるかを問わず、保健医療サービスの利用者」とされている。

国連総会は1991年に「精神病者の保護及び精神保健ケア改善のための原則」を決議したが、その中には各種の患者の権利が含まれている。

アメリカ病院協会は、1972年に「患者の権利章典に関する宣言」を発表した。

(日本)

患者の権利宣言全国起草委員会が、1984年に「患者の権利宣言案」を、九州・山口医療問題研究会が一九八七年に「患者の権利宣言」を、患者の権利法をつくる会が一九九一年に「患者の諸権利を定める法律要綱案」を発表し、1993年10月に改訂した。

 また、日本弁護士連合会は1992年に「患者の権利の確立に関する宣言」を発表した。

 日本病院会も1994年に「『インフォームド・コンセント』について ー病院の基本姿勢ー ご来院の皆様へ」を発表した(http://hospital.or.jpを通じてアクセスできる。)。

 さらに、薬害エイズの真相究明と再発防止策を検討してきた総合研究開発機構(NIRA、官民共同出資のシンクタンク)の「薬害等再発防止システムに関する研究会」(座長黒田勲氏)は1997年4月に中間報告書を厚生大臣に提出したが、患者中心の医療を政策の根幹にすること(「患者の権利法」の制定し、インフォームド・コンセントを中核として盛り込むこと、患者に医療記録の閲覧謄写請求権を認め、いつでも利用可能とすることなど)など8項目の提言を行った

(各紙1997.4.4、http://www.nira.go.jp/menu2/index.htmlなど参照)。


弁護士藤田康幸(東京弁護士会所属)氏によるプライム・ローのWEBサイトから引用させて頂きました。