厚生労働省(旧厚生省)細胞バンク事業沿革

医薬基盤研究所、生物資源研究部、細胞資源研究室
部長・研究リーダー兼任:水澤 博
Updated: 2006.4.21.


2001年から現在まで (Read Up)
平成19年
2007年
4月 ---

平成18年
2006年
10月 ヒト試料所在データベースの構築について。

ヒトに由来する各種材料についての所在情報データベースを構築して欲しいという要望が持ち上がった。さらに、ヒト疾患のモデルになるマウスの所在情報の整理を希望する声も聞かれた。次年度の予算要求に含めることについて検討。現場では対処が可能か否か検討。ヒト資源合は研究倫理の側面から問題が生じがちなので、それに対処できなければならないが、細胞バンクでは研究倫理について検討してきているので対処可能と考えられた。
8月 メールマガジンの発行開始。

各種評価委員会によるJCRB細胞バンクに対する評価。1.医薬基盤研運営評議会指摘事項(運営一般)、および、2.平成18年度厚生労働科学研究費申請時の事前評価(申請研究課題)。
5月 受託検査業務開始。マイコプラズマ汚染や細胞のクロスコンタミの防止を促すために、細胞バンクが積極的に支援する必要があると判断し、受託検査を実施することとした。検査結果の統計については我が国の汚染状況を反映したデータとして示せるようにしたい。
4月 細胞バンク事業を維持するために交付されていた厚生科学研究費(ヒトゲノム研究事業枠から指定研究として支出)は趣旨に合わないとして突然停止すると通告されたが、バンクの維持が不可能になるので本省と交渉して新たに生物研究資源枠で課題を立てて継続する方向で調整を開始した。細胞バンクの現場では、『一般的な研究費』という概念と『研究者支援のための事業に必須な研究課題の遂行経費』とを分離して欲しいとの希望がある。

平成17年
2005年
1月-4月 東京用賀から大阪彩都へ移転。細胞の搬送。基盤研の立上げ。

国立医薬品食品衛生研究所・変異遺伝部第三室 (JCRB細胞バンク)
室長:水沢 博

平成16年
2004年
11月20日頃 基盤研施設に用賀から液体窒素保存容器2台を第二陣として搬入する予定。計5台を用いた細胞保存の準備が完了する予定。約1ヶ月の試験稼動を経て細胞の移動を1月に実施予定。
11月26日 基盤研施設において液体窒素保存容器の搬入始まる。第一陣3台の245Lタンク搬入、液体窒素充填注入開始、状況モニターシステム運転開始。細胞保存システムの試運転開始。
9月 基盤研情報ネットワーク運用開始。細胞バンクWEBサーバの設置、試運転開始(http://jcrb.nihs.go.jp/)。
8月 国立医薬品食品衛生研究所からの移転開始(トキシコゲノミクスの一部、遺伝子治療研究プロジェクト移転)
7月 基盤研独立行政法人化法案可決(国会)
3月 基盤研建物完成・引渡し完了。細胞バンク研究室の様子
2月 基盤研現地設計会議。基盤研工事の進捗状況

平成15年
2003年
12月 基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況
11月 基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況
10月 基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況
9月 厚労省、基盤研設置法案を来年の通常国会に提出へ(日経バイオテクニュースから. 2003.9.5)
基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況
8月 移転に向けた諸作業が始まる。引越し準備。法人化法案の作成など。

基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況

3月 Biological Resource Center の国際協調に関する政府検討
研究資源中核機関府省連絡会議(2003.3.25), OECDの動きに関する報告及び意見交換。

基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況

2月 基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況

平成14年
2002年
12月 基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況
10月 基盤研現地設計会議、基盤研工事の進捗状況
9月 基盤研開設準備プロジェクトチーム発足

8月 基盤研現地設計会議、工事の進捗状況
8月まで 厚生省創薬技術開発基盤技術開発研究所(大阪茨木市)建設開始。工事の進捗状況
4月 内閣府: 研究資源中核機関府省連絡会議設立準備委員会設置
3月 文部科学省、バイオリソース領域小委員会が報告書を提出。  

1. 報告書(PDF)
2. 報告書概要(PDF)

平成13年
2001年
21世紀
10月 文部科学省におけるバイオ研究用研究資源政策に関する検討。 文部科学省:『科学技術学術審議会 研究計画・評価分科会 ライフサイエンス委員会 バイオリソース領域小委員会』がリサーチリソースワーキンググループを設置して、研究資源整備の方策についての検討開始。

文部科学省の委員会であるが、国内全体を視野に入れた検討を実施したいとした。

6月 『JCRB細胞バンクはこのような問題点あります(1999.7.1)』
のその後(2年後の今)。
2001.6.26. (Mizusawa,H.)
  1. 施設の狭隘化と人材難により、資源の収集がはかどらない.

    細胞培養責任者、1名.補助培養技術員2名.品質管理責任者、1名.品質管理技術員、1名.データ管理担当者1名.同補助員、1名.(計6人が担当).

    =>非常勤職員1名プラス:非常勤職員のレベル向上によって、細胞の培養能力を徐々に高めています。が、あまり多くの細胞を培養すれば誤りが発生する恐れがありますので限界はあります。限界に挑戦することが良いこととは限らないというのが、室長の立場です。

  2. 品質管理の充実を目指しているため、細胞の処理速度が遅くなる.

    品質管理課題:マイコプラズマ検査(染色・PCR法)、一般細菌・真菌検査、STR-PCR法による個別識別.染色体検査(FISH、Gバンド、核型分析)、アイソザイム検査(動物種識別).

    =>この問題は品質管理の質を高める努力を行っているので、仕事の速度はむしろ遅れ気味の方向に動いています。職員の努力で何とか早めたいと思います

  3. 保存スペースが狭隘で、新規細胞の保存に支障が出はじめている.

    =>平成12年末に補正予算で細胞保存棟が建設され、この問題は解消されました。

    ということは、細胞の培養が増加したことを意味していますので、職員の数が制限要因となったことを意味します。なかなかうまく行かないものですが、各担当者の努力で新規細胞の登録速度は速まっています。なお、厚生科学研究費による細胞バンク整備に関する研究費においては、新規細胞の収集を強化し始めています。

  4. 徐々に、改善されております。

4月 厚生省創薬技術開発基盤技術開発研究所(大阪茨木市)設置を含む予算が国会通過。
基本設計開始
3月 発酵研究所、動物細胞バンクが閉鎖となる。これに伴い発酵研究所で管理していた細胞をJCRBで受け入れた。分譲はHSRRBのチャンネルを利用。発酵研究所から移管された細胞は番号が「IFO」で始まり、JCRB細胞同様カタログに掲載した。

この件についてのコメント
2001.7.2

JCRB細胞バンク室長:水沢 博

発酵研究所は武田薬品工業株式会社の財団法人ですが、微生物研究資源の保存管理については長い歴史を持ち世界的にもその存在が認知されておりました。しかし、この不況の時期に突入し収益を期待できない事業の維持が困難となり、このたび細胞バンク業務を停止することになったそうです。

現在、国の様々な研究機関においては独立行政法人化が進められていますが、この中で研究資源保存管理組織をどのような運営形態にするかが問われているように思います。国が期待する姿は『収益』の上げられる事業ということのようですが、民間企業が手放さざるを得なくなった事情を考えると、なかなか難しい問題でもあるように思います。

発酵研究所では細胞の分譲価格を1アンプルあたり5000円程度にしておりましたが、これは研究資源という性格から価格を抑制していたという背景があります。一方、現在HSRRBからの細胞の分譲は1アンプルあたり15000円程度となっております。その根拠はなかなか難しく、この価格でも細胞バンク運営全体からみれば赤字となっております。

問題は、この赤字をどこが負担したらよいかということだろうと思います。このような研究資源の利用者は、研究者ですが基礎研究に従事する方の大部分は収益が見込めない研究機関に所属し、国からの研究費で研究を維持しているわけです。すると、研究者が代金を支払って購入しても、無料で購入しても、細胞を維持管理するために必要な経費は国(即ち税金)から出ているということになります。

これを一切税金を使わずに自立的に運営できるようにするのが良いのか、それとも、ある程度国の補助の下で運営するのが良いのかという点について色々と議論があるところでしょう。

一つ考えなければならないポイントは、細胞バンクの第一義的な目的とは、『① 研究資源の収集と保管(遺失防止)』なのか、『② 研究資源を分譲して収益を上げること』なのかについての合意を得ることにあるように思います。

JCRB細胞バンク事業、平成12年度事業実績(5月23日集計)。

1月 基盤研設立準備のための準備委員会が国立医薬品食品衛生研究所で作業開始。基本構想の整理、設立プロジェクトチームの立ち上げ等の準備作業徐々に始動。

平成13年1月6日 政府組織再編により厚生省は厚生労働省となる。



css